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3章 年下の友達

お前こんがり兄ちゃんか!

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 朝早くに一人でバスに乗り駅前まで来て街をぶらぶらする。
 まだ店は開いてねぇか。
 とりあえずマックで買う物決めるか~。
 何も思い付かずに出て来たから行き先も決めてなかった。俺はマックに入ってチーズバーガーとホットコーヒーを頼んだ。

 家を出てここへ来るまでに、スーツを着た人や学校の制服を着たやつらがうじゃうじゃいたけど、さすがに少なくなって来たな。
 そう。今日は平日だ。
 本当なら俺も今頃学校で教頭の授業を受けて教室へ向かっていただろう。
 でも今日は休み~♪
 朝から私服着てこんなとこにいても母ちゃんに怒られないもんね~♪

 せっかくだから遊びてぇな。
 本当なら昼過ぎまで寝てる予定だったけど、目覚めちまったし。ゲームやってもいいけど、家出て来たし何かやりてぇな。
 茜は桃山んとこ行っちまったし、なっちとか空いてねぇかな?

 俺は席に着いてスマホをいじる。
 ん?待てよ。俺二年とばっか連んでね?
 たまにはタメと遊ぶのも悪くねぇか。

 同じ一年で一番に浮かんだのは空だったけど、あいつは今日はダメだ。一番の目的はあいつのプレゼント選びだからな。次に浮かんだのは直登と数馬。いやー、あいつらの事だからデートでもするだろ。
 なら戸塚?あいつが生徒会入ってから全然話さなくなったけど、たまには遊ぶのも有り?
 俺は戸塚に電話を掛けてみる事にした。


『はい』

「おっ出た出た~♪なぁお前今日暇?なら俺と……」
 
『暇じゃない』

「いや暇だろ。何があるんだよ?」

『何故お前が決めつけるんだ。今日は先輩達と勉強をするんだ。お前も勉強するなら来てもいいが?』

「戸塚さんお疲れ様でーす!勉強頑張ってくださーい♪じゃあな!」


 チッ!休みの日にまで勉強とか訳分かんねぇ!
 あいつどういう神経してんだ!?

 俺はすぐに戸塚の電話を切って他を当たってみる事にした。
 あとは、瑛二とか?あ、藤野とか連絡してみっか?あいつなら楽しい遊び知ってそうだもんな~。

 今度は藤野に電話してみる事にした。


「……出ねぇな」


 まぁ時間早いから寝てるのかも?
 次は瑛二か~。

 ふと俺は思う。
 俺、一年に友達って少なくね?
 まぁ多い方じゃねぇのは知ってたけど、連絡先も知ってるのって今言った奴らぐらいだしな。

 もう誰かと遊ぶのは諦めようかと思ってた時、背の高い茶髪の男がマックに入って来たのが目に入った。
 あいつ、どっかで見た事あるような?
 そいつは少しこんがりした肌の色してて、切れ長の目をしていた。
 パッと見モデルみてぇなスタイルの良い奴。
 白いTシャツに、ブラウンのジャケット。

 その男はレジで注文した後、店をキョロキョロ見渡して空いてる席を探していた。
 そこで俺と目が合う。
 そいつは俺に気付いて笑顔で近付いて来た。

 あ、やっぱ知り合いか!


「貴哉!また会えましたね♪」

「あ!お前こんがり兄ちゃんか!」


 文化祭で会った男だ。
 名前は忘れたけど、めちゃくちゃ良い奴だったのは覚えてる。
 うーん、何だったかな?何かお洒落な名前だったような?
 名前は忘れたけど、こんな見た目してまだ中学生なんだよな。


「こんがり兄ちゃん……双葉ですよ。浅野双葉。覚えて下さいね♪相席良いですか?」

「双葉!そうだそうだ♪座れよ。お前も一人なのか?てか学校どうした?」

「今日は予定があったんで休んだんです。貴哉は?」

「最近の中学生はこんな堂々と休むのかよ。俺は振替休日~♪そうだ、時間あるか?ちょっと聞きてぇんだけどよ」


 双葉は友達にプレゼントとか詳しそうだから何をあげたら良いのか相談しようと思った。
 俺が聞くと、双葉は「ちょっとごめんなさい」と言ってスマホを慣れたように操作してから、ポケットにしまってニコッと笑った。


「いいですよ♪予定無くなったんで、貴哉に付き合います♪」

「無くなったぁ?そんな急に無くなるようなもんなのか?」

「はい。友達と会う予定だったんですけど、どうやら忙しいみたいで。あ、貴哉は誰かと待ち合わせしてましたか?」

「いや、俺も一人だけど。なら一緒に遊ぼうぜ♪今遊び相手探してたんだよ♪」

「わー♪俺と遊んでくれるんですか?嬉しいなぁ♪こうして会えただけでも嬉しいのに」


 嬉しそうに笑う双葉は明るくて本当に良い奴だ。
 俺も遊び相手が出来て気分が良かった♪
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