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1章 異色のメンバー
甲高い声に脳みそやられたんだ
しおりを挟む茜と七海の初心者講習を後ろで見ながら笑ってると、隣に座ってる空がジーッと見て来た。
「何だよ?まさかお前も初めてなのか?」
「さすがにやった事あるわ。でもそこまで経験はないかな」
「任せろ。この勝負は俺の圧勝で終わる」
「貴哉、楽しい?」
「楽しいぜ♪焼肉が掛かってるからなお前タマンねぇの?」
「んーん。貴哉に会えて良かった。それに茜さんと小平さんもいて楽しいし♪」
「ああ。変なメンバーだけど、俺も楽しいよ。きっとこれが部活を辞めてまで茜がやりたかった事なんだろうな」
「そうだな。なぁ貴哉、茜さんばっかじゃなくて俺とも遊んでよな?」
空は甘えるように言って俺のパーカーをツンツンと引っ張った。
普通に遊ぶんならいいけどよ~。好きだのそう言うのが絡むのはちょっとな~。
せっかくそう言うのが面倒くさくて二人共突き離したのに意味が無くなるだろ。
「遊ぶのはいいけど、それは友達としてだぞ。それでもいいなら遊んでやる」
「いいよ♪貴哉といられるならそれで」
「…………」
「てっきり今日は桐原さんといるのかと思ってたんだ。だからしつこく電話とかメッセージしてたんだけど、一緒にいないって分かって本当に嬉しかったんだ」
「ぶっちゃけあいつから連絡ねぇのよ。俺からもしてねぇけど」
「マジで?あの人何考えてるんだろ」
伊織は昨日までは別れる件については保留だと言い張っていた。それは俺も空も聞いている。
だからキッパリ別れたとは言えないのが本当の所だ。
でも俺はやりたいようにやるけどな。
「さぁな。あいつも結構そういうところあるぜ?押したり引いたり。まぁいろいろ悩んでたみてぇだけど」
「あー何か分かるかも。やり方がキザっぽいよな。貴哉には逆効果なのに」
「そこはお前のが分かってんな」
「そりゃ貴哉の事は誰よりも分かってるもん♡」
嬉しそうに笑う空を見て何か懐かしく思った。
確かに俺は空と付き合っていた。別れて伊織と付き合ったんだけど、その前はこうして俺の隣に空がいるのが当たり前だったんだよな。
「空、ごめんな」
「ん!?いきなり何!?何かやだ!」
「俺がちゃんとしてねぇから傷付けてばっかじゃん。それなのにお前はずっと俺の事……」
その先を言おうとして辞める。
ずっと俺の事を好きでいてくれる。
それは言っちゃダメだ。
俺から友達としてならいいって言ったばっかじゃん。
「うん。ずっと貴哉の事大好きだよ。傷付いても、他の人と付き合ってても、それは変わらないよ」
「空……」
あ、ヤバい。
俺ときめいてる……
てかこいつまた髪切ってからずっと短いままだよな。まるで俺の好みに合わせてるように。
空と見つめ合って、そのままお互い顔近付けて、まるで付き合っていた頃のようにキスを……
「だから違うってぇ!!その線から足出しちゃファールなの!!もぉ!二之宮運動音痴なの!?」
「分かってる!お前が押すから出ちゃっただけだ!」
脳に突き刺さる甲高い声で現実に戻された。
あっぶねぇ!!
えっ!?今空とキスしようとした!?
ダメだろ!いや、今回ばかりは甲高い声に助けられたわ!
「はぁ、いいとこだったのに」
「どうやら茜はボーリング下手らしいな」
俺と空が見ると、スカート姿の男に手取り足取り教わってる茜が険しい顔をして苦戦していた。
あはは、こりゃ次の番が回って来るまで時間掛かりそうだわ。
「ちょっと飲み物買って来るわ」
「あ、俺も行く~」
空も来るのかよ……
ちょっと気まずいから離れようと思ったのに。
まぁいいか。下手に拒否ってもうるさくなりそうだしな。
俺は空と自販機へ向かった。
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