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1章 異色のメンバー
とにかく俺は絶対着ないし買わねぇぞ
しおりを挟むハンバーガーを食った後は、七海の要望通りショッピングタイムになった。
七海行き付けの店に連れてかれたけど、まず俺は店に入るのに戸惑った。
ちょっと待て。
ここって女物の店じゃね?
客も女ばっかだし、飾ってある服も女物じゃん。
「七海、何で俺をこの店に連れて来たんだ?」
「そんなの貴哉の服選ぶからに決まってるじゃん♡」
「はい!?」
「デシーノの姿の貴哉を見て絶対着て欲しいと思ったんだぁ♡友達と一緒に買い物するの夢だったんだよぉ♡」
キャッキャとはしゃぐ七海。
いやいやいや、デシーノは文化祭のみのキャラであって、もう俺は秋山貴哉だ。
女装するつもりはさらさらねぇ。
そんな俺の気も知らずに七海は慣れたように店に入って行き、服を物色し始めた。
「貴哉~!やっぱりスカートが可愛いよね♪これから冬になるし、セーターとかも可愛いよね~♪」
俺も意を決して店に入って七海の横に張り付く。
男二人でこんな店目立つだろ!
俺は周りの目を気にしない七海に付いて行くしかなかった。
「うーん、貴哉にはこっちの色かなぁ?どう思う?」
「お前さ、良く女ばっかの店に入れるな……俺、ちょっと恥ずかしいんだけど」
「あはは!貴哉でも恥ずかしいとかあるんだぁ?てか周りは俺の事、男だと思ってないんじゃない?多分男女のカップルだと思ってるよ」
改めて七海の全身を見てみる。
黒髪ロングウェーブにバッチリメイク。可愛いピンクのダボダボカーディガンに茶色いヒラヒラミニスカート。太ももまである靴下から見える足には毛なんか生えてない。細い足。華奢な体付き。
確かにこいつの事知らない奴は女だと勘違いするな。
「だから貴哉も俺を彼女だと思って楽しんで♪そうすれば恥ずかしくないだろ?」
「それもそうか……って恥ずかしい事に変わりねぇよ!俺女とデートとかした事ねぇし!」
芽依に拉致られた事はあるけど、あん時は戸塚もいたし、あれはデートじゃねぇ。
俺は女からは怖がられてばっかだったからまともに話した事すらねぇよ。
「じゃあ初体験だね♡いいよ。俺がリードしてあげる♡貴哉、楽しもう♡」
そう言って焦る俺の手をギュッと握って来た。
伊織や空とは違うか細い手に俺はまたドキッとしちまった。
あー、こいつが人気なの今分かったわ。
可愛いじゃんこいつ。
「分かった分かった!付き合ってやるよ。でも俺は女装はしねぇ!てか女物の服に金出せるか!」
「えー、貴哉の服選ぶ為に来たのに~」
「残念だけど他当たれ。茜とかいいんじゃね?」
「二之宮……あはは!二之宮は何か違うんだよ~。あいつも小柄だから似合わなくはないけど、二之宮にはあのままでいて欲しいの♡」
「そうですか。とにかく俺は絶対着ないし買わねぇぞ」
「分かった!俺が半分出すよ!お願ーい!一緒に女の子の格好してお出掛けしたいのー!」
「やめろ!俺に甘えるんじゃねぇ!」
俺の腕にしがみ付いておねだりするように言い寄られたから後退りする。
こいつどこまで女を演じられるんだ?
とここで俺のスマホが鳴った。
助かった!話逸らせるぜ!
俺は急いでスマホの画面を見る。
「って、茜からだ。ちょっと電話して来るわ」
「えー、俺も行くよ~」
俺の後ろを付いて来て二人で店を出る。
茜からの電話に出ると、少し息切れしてる茜が出た。
『あ、秋山今どこだ?』
「七海と女物の店にいる」
『分かりづらいな。目印になるものはあるか?』
どうやらもう向かってるらしいな。
茜にはどこの駅近くにいるってのは伝えてあった。
目印になりそうな物を探すと、近くにコンビニと薬局があった。コンビニの名前と薬局の名前を伝えると分かったらしく、すぐに行くと言われた。
「茜もう来るって」
「本当!?ヤバい♡緊張して来た!ねぇ、俺変じゃない!?」
「え、女装してる事以外は変じゃねぇよ」
「オーケー!それなら大丈夫!」
「なぁ茜来たら少し話したいんだけど、いいか?」
「何言ってるの!貴哉もいて!」
「はぁ?二人きりにするって話じゃん。俺いていいのかよ?」
「やっぱり二人きりだと上手く出来ないかもだから貴哉もいて欲しいの!そんで俺の事フォローして!」
「お前がいいならいいけど……」
さっきまでのルンルンだった七海はどこへやら。
茜が来るってなった途端、慌て出して身なりを整えて始めた。
俺は茜の様子が気になったから話が出来ればそれでいい。
とりあえず茜が来るのを待つ事にした。
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