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1章 異色のメンバー

うるせぇよお前。てか早く食えよ

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 七海と街を歩いてると、周りから見られる見られる。多分みんな七海の事見てるんだろうけど、伊織とはまた違った見られ方って言うか、やっぱり見て来る奴らは男が多いな。


「秋山ってばあんなアドリブ出来るんだな~♪楽しかったぁ♪」

「あんなのやった事ねぇよ。でも面白そうだったからからかってやったんだ」


 さっきのカフェでの出来事を楽しそうに話す七海。今日は見た目こそ違うけど、話してるといつもの七海だった。


「そうだ、茜は夕方からなら空いてるってよ」

「えー、今は桃山といるのかなぁ?」

「いや、家にいるって言ってたけど、桃山とは会わないって言ってたぞ」


 七海んとこに来るまでに電話したんだけど、何か変な感じだったんだよな~。犬飼との事も聞こうとしたんだけど、会ったら話すって答えてもらえなかったんだ。
 うーん、犬飼と何かあったのか?
 

「そうなんだぁ♪えへへ♪二之宮に会えるの楽しみだな~♪」

「みんな茜の事好きだよな。まぁ俺も好きだけど」

「そこなんだよね~。初めは俺だけだったのにさ~。ちょっとガッカリだよぉ」

「でもお前は付き合えなくてもいいんだろ?茜と仲良く出来れば」

「うん。そりゃ両想いになれたら嬉しいけど、付き合ったら付き合ったで嫌われるのが怖いかな?ほら、男同士だし何があるか分からないじゃん?」

「お前って結構まともな考えしてるんだな」

「それに来年は受験があるしね~!二之宮と同じ進路進めるとは限らないし、俺は二之宮と笑って話せるだけで満足しようと思ってるよ」


 男同士で付き合うとか周りにうじゃうじゃいるから七海の考えを聞いて、そういう考えもあるのかと思った。
 確かに、普通のカップルよりは付き合いにくいよな~。俺とか俺の家族は気にしねぇけど、そんなのは稀だろ。ほとんどのカップルは周りには言えずに隠れて付き合ったりしてそうだもんな。


「ふーん。なら協力してやる♪俺も茜が楽しくなるなら嬉しいからな」

「秋山って良い奴だよな。なぁ、貴哉って呼んでもいい?」

「今更かよ。まぁいいけど」

「貴哉♪俺、お前の事も好きだぞ♪だから今日とても楽しみにしてたんだ♪」


 ニッコリ笑って言う七海。俺を連れて行きたい店があるらしいけど、随分気に入られたもんだ。特別何かした訳じゃねぇから不思議な気持ちだった。


「そうかよ。甲高い声出さなきゃ俺もお前は好きだぜ。とりあえず腹ごしらえな!」

「美味しいハンバーガー屋さんあるんだ♪貴哉、一緒に行こう♪」


 楽しそうに歩く七海は俺の手を自然に握って引っ張った。その行動に、俺は一瞬ドキッとしちまった。
 危ねぇ危ねぇ……
 女装してるだけでこいつの中身は男であって七海だぞ。
 まるで女といるような気にさせてくれるなこいつは。女といた事ねぇけど。

 七海オススメのハンバーガー屋で皿に乗ったデカいハンバーガーにかぶりつく。皿にはポテトも乗っていた。
 七海はすぐには食わずに自分の分のハンバーガーにスマホを向けてパシャパシャ写真を撮っていた。


「何やってんだ?食わねぇの?」

「インスタに載せるの~♪この旗可愛いくなーい?」


 旗って、ハンバーガーに突き刺さってたお子様ランチとかに付いてるような爪楊枝の事か?
 俺は邪魔だからすぐに抜いて今は皿の端にあるけど、え?こいつそんなとこに感動してんの?
 俺は言われた旗を摘んで見てみるけど、白地に星のマークが付いてるだけのゴミにしか見えなかった。


「俺は食えりゃ何でもいいや」

「あはは、貴哉はそうだろうね~♪」


 そう言って今度は俺にスマホを向けた。
 あ?今度はハンバーガー食ってる俺を撮る気か?インスタとかいうやつに載せねぇだろうな?
 俺は普通に食いながらピースしてやった。


「記念記念~♪」

「勝手にどっかに載せるなよなー」

「…………」

「おい、聞いてんのか?」


 俺を撮った後、画面を見て黙り込む七海。
 こいつもう載せてるとか言わねぇよな?
 正直どうでもいいけどな。


「あのさ、貴哉ってさ」

「何だよ?」

「隠れイケメンか?」

「はぁ?何だそりゃ?それを言うなら桃山だろ」

「見てよ!めちゃくちゃかっこよくない!?」


 興奮気味にさっき撮ったであろう写メを見せて来る。
 そこにはハンバーガーにかぶりつきながらやる気なさそうにピースする俺がいた。それだけだ。


「俺だな」

「おい、貴哉がイケメンとか知らなかったんだけど!」

「うるせぇよお前。てか早く食えよ」


 良く綺麗な顔してるとは言われるけど、実際自分では分からねぇ。母ちゃん似なのは認めるけど、そんな騒ぐ程か?
 まぁ悪い気はしねぇけどよ。


「なるほどね~。それでいーくんが夢中になってるのかぁ」


 ブツブツ言いながらハンバーガーをナイフとフォークを使って食い始めた。
 え、これってそうやって食うの?
 俺間違ってね?早く言えよ。
 俺は見様見真似でナイフとフォークを使って食ってみるけど、何か面倒くさかったからすぐにいつもの食い方に戻した。



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