カラフルパレード

pino

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一章

26.久しぶりの任務

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 買い物を終えてアースと共にアキトの研究室へ向かっていた。
 ちなみに俺が買い物をする時は生体認証で全て購入する事が出来る。だからアキトに全てどこで何をいつ購入したか等の情報が行くようになっている。だからアキトは午前中俺が買い物していた事を知ってるだろう。
 まぁ行動自体は買い物に限らずアースを通して筒抜けだけどな。
 これは他の超人達も同じだ。蒼司のように常に人造人間を連れていない場合は除くが。

 アキトの研究室に入ると、真っ先にアキトに抱き付かれた。特に何も思う事もなくそれを受けていると、アキトの後ろに誰かが立っているのが分かった。
 あ、スズだ。


「ウルー♡旅行が楽しみ過ぎてはしゃいでるんだね~♡本当に可愛い過ぎるよ~♡」

「なぁ、俺の行動を監視するのはいいけど、それをわざわざ口に出して言うんじゃねぇよ。何か恥ずかしいだろ」


 それも人前で堂々と言いやがる。
 確かに少し買い過ぎたかなとは思ったけどさ。

 アキトが離れたからスズに声を掛けてみた。


「よう、スズ。奥の部屋から出してもらえたんだな」

「まぁね~。相変わらずこの鬱陶しいのは付けたままだけどな」


 黒い首輪をトントンと指で叩いてベロをベーっとしていた。
 体調は良さそうだな。


「で、用って何だ?任務か?」

「そう。任務だよ♪これは俺からの任務なんだけど、スズの世話をしてあげてくれないか?」

「は?」

「この数週間スズは大人しくしていてくれたからね。もちろん旅行にも連れて行くつもりだ。首輪は付けたままだけど。それに当たってまだスズの事を良く思っていない人達もいるだろう?ウルはそんな人達とは少し違って見えたから、頼めないかな?」

「僕からも指名したんだ。アングリーライオンは無理だろうし、この前いた黒髪のお兄さんにも嫌われてるみたいだからね~。ウル、仲良くしてよ♪」

「えー、そりゃ俺はスズが仲間になろうがなかろうがどっちでもいいけどさー、世話って何すりゃいいの?」

「普通に一緒にいてくれればいいんだよ。スズが少しでも怪しい行動取ったり、危ない事をしそうだったら教えて欲しい。まぁそうなったら首輪で止めるけど。それとスズにいろいろ教えてあげて欲しい」


 何か面倒な任務だな。こういうのはレオの時以来だな。レオもここに馴染むまで俺が世話してやったんだ。あいつの場合はすぐに元気になってあんな風になったけど、スズの場合はこの前まで敵だったしなー。
 俺にはアースが付いていて、首輪もあるとは言え何かあったらと思うと責任重大だな。

 でもまぁ話も出来るからいいか。
 それ以上は難しく考えるのは辞めてこの任務を引き受ける事にした。


「分かった。こいつの部屋はどうするんだ?ここでいいのか?」

「部屋はここだけど、ウル、君も一週間ここで寝泊まりして欲しいんだ。もちろん私もいるよー♡」

「マジかよ……」

「一週間よろしく~♪」


 スズは機嫌良さそうに言った。

 別に俺の部屋と特段変わる所なんてないからここで寝ても構わないけど、そこまで親しい訳でもない奴と同じ部屋で過ごすのは気が引ける。
 
 
「てかアキトもいるとか寝るとこどうすんだよ?仮眠室のベッド一つしかねぇじゃん。アースに使わせたいんだけど」

「アースはどこでも寝れるじゃない。ウルは床に布団敷くんだろ?勿論私がベッドを使うよ。スズもウルと一緒に床で寝るんだよ」

「僕は何でもいいよ~♪ずっと人形しかいない部屋で一人だったから楽しみだな~♪」


 俺はアースには極力人間と同じように行動させるようにしていた。食事や風呂以外は俺と同じように。だからいつもベッドで寝かせているんだ。
 それが出来ない事が不満だった。

 そんな俺に気付いたアースはニッコリ笑った。


「ウル、俺はウルの隣で寝るよ。たまには添い寝も悪くないだろ」

「んー、アースが言うならいいけど」

「添い寝!どうしてもと言うならアースがベッドを使えばいいよ!代わりに私がウルに添い寝しよう♪」

「よーし、スズこの研究所を案内してやるよ。付いて来い」

「わーい♪やっと出歩ける~♪」


 俺はアキトの言う事をスルーしてアースとスズを連れて研究室を出た。
 
 スズはこの間からずっと白いローブのままだ。とりあえずスズに必要な物を揃える為に再びショッピングエリアへ向かう事にした。

 エレベーターへ向かっている時にスズがキョロキョロしながら訊ねてきた。


「なぁ、研究室って何個あんのー?ここもそうなのー?」

「三つだ。さっきの研究室はアキトの。んでそこのは第二研究室。んで、この廊下のずっと奥に第三研究室がある。今はあんま使われてねぇけど」


 言いながら第三研究室の事を思い出す。そう言えば俺が暴走したのって第三研究室だったよな。あれから行ってないけど、工事はもう終わってるだろうし、今度行ってみるか。


「ふーん。思ってたより綺麗な所だよね~。フューボットが優秀なのかな」

「アキトが作ってるからな。お前がいた所は汚ねぇのか?」

「汚いよ。物がたくさんあってごちゃごちゃしてるよ」

「なぁ、お前ってどこから来たの?」

「……多分これ話したら気絶させられると思う」

「じゃあ言わなくていい。アキトに口止めされてる事は答えなくていいから。アースも大体そうだし」


 首輪の性能を既に味わったような口振りだな。盗聴器が付いてる事も知ってるのかもな。スズに黒い首輪が付いている内は無理させないようにするか。

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