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一章
25.旅行の準備
しおりを挟む数日後、俺はアースにアキトから受信した情報を聞いて部屋を飛び出してエレベーターに乗り込む。が、すぐに追いかけて来たアースに捕まった。
「落ち着けウル!旅行は逃げないから!」
「落ち着いてられるか!一週間後とか早く準備しなきゃだろ!」
そう、この前話に出ていた旅行の日程が一週間後に決まったんだ。社員全員参加の旅行だ。俺はいろいろ必要な物を揃えようと店がある階に行こうとしていた。
「はは、気持ちは分かるけど、準備って何をするのか知ってるのか?」
「そりゃ……何をするんだ?」
旅行なんてした事が無いから思い付かなくて逆にアースに聞いてしまった。そもそも旅行ってどこに行くんだ?俺はただ地上に行けるって事で喜んでいたけど、旅行に必要な物って何だ?
「よし、ここは俺に任せろ。まずは着替えだな。それからそれを入れておくバッグ。移動で暇になるとアレだからおやつとか本とかも用意した方がいい」
「おおー!アース凄いな!早速それが揃う店に行こう!」
アースの頭の中は万能辞書みたいになっていて、一通りの事は質問すれば登録した性格に合わせて答えてくれる。アキトに制限されてなければな。
アースにリードしてもらい、俺はワクワクしながらエレベーターの中を過ごしていた。
途中で、アースがまた何かを受信したのか話し始めた。
「ウル、午後になったらアキトの研究室に来いって」
「あー、はいはい。時間になったら教えてくれよ。まずは買い物だ」
「了解~」
最近は任務が無かったから適当にアースと模擬戦やったりして過ごしていたから研究室へ行くのはスズに会いに行った時以来だな。
そういやスズも旅行行くのかな?社員全員出払うのに、スズだけ置いて行くのってまずくねぇか?
「アース、スズって分かるか?」
「スズ?」
「そう。アースは見た事ねぇよな。斧男」
「斧男って、この前ウィルを壊した男だろ。スズって名前なのか」
「らしい。あれから結構話が進んだんだけどよー。どうやらスズが仲間になりたがってるらしいんだよな。で、今回の旅行であいつをどうするのかなーって思って」
「仲間にか……アキトは何て?」
「アキトは裏切られるのも考えていて、スズの超人としての能力を利用出来たらって言ってる。仲間にする方向で考えてるらしい」
「そんな良い力持ってるのか?」
「怪力だって。羨ましい能力だぜまったく」
男として素直に羨ましかった。
そう言うとアースは「はは」と笑った。
「そりゃ使えるなー。それであんな無茶な侵入の仕方が出来たのか」
「アキトが手を加えたらレオを越えるかもしれない。力だけならな」
もしも純粋に仲間になるというなら大きな戦力になる事は間違いない。
でも裏切られた時の損失は大きい。
ただ俺はスズから奴らの話を聞きたい。今はそれだけだった。
午後にアキトに呼ばれてるし、スズに会えるか聞いてみるか。
エレベーターが目的の階に到着したので、俺とアースはとりあえず旅行の事を考える事にした。
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