25 / 44
一章
25.旅行の準備
しおりを挟む数日後、俺はアースにアキトから受信した情報を聞いて部屋を飛び出してエレベーターに乗り込む。が、すぐに追いかけて来たアースに捕まった。
「落ち着けウル!旅行は逃げないから!」
「落ち着いてられるか!一週間後とか早く準備しなきゃだろ!」
そう、この前話に出ていた旅行の日程が一週間後に決まったんだ。社員全員参加の旅行だ。俺はいろいろ必要な物を揃えようと店がある階に行こうとしていた。
「はは、気持ちは分かるけど、準備って何をするのか知ってるのか?」
「そりゃ……何をするんだ?」
旅行なんてした事が無いから思い付かなくて逆にアースに聞いてしまった。そもそも旅行ってどこに行くんだ?俺はただ地上に行けるって事で喜んでいたけど、旅行に必要な物って何だ?
「よし、ここは俺に任せろ。まずは着替えだな。それからそれを入れておくバッグ。移動で暇になるとアレだからおやつとか本とかも用意した方がいい」
「おおー!アース凄いな!早速それが揃う店に行こう!」
アースの頭の中は万能辞書みたいになっていて、一通りの事は質問すれば登録した性格に合わせて答えてくれる。アキトに制限されてなければな。
アースにリードしてもらい、俺はワクワクしながらエレベーターの中を過ごしていた。
途中で、アースがまた何かを受信したのか話し始めた。
「ウル、午後になったらアキトの研究室に来いって」
「あー、はいはい。時間になったら教えてくれよ。まずは買い物だ」
「了解~」
最近は任務が無かったから適当にアースと模擬戦やったりして過ごしていたから研究室へ行くのはスズに会いに行った時以来だな。
そういやスズも旅行行くのかな?社員全員出払うのに、スズだけ置いて行くのってまずくねぇか?
「アース、スズって分かるか?」
「スズ?」
「そう。アースは見た事ねぇよな。斧男」
「斧男って、この前ウィルを壊した男だろ。スズって名前なのか」
「らしい。あれから結構話が進んだんだけどよー。どうやらスズが仲間になりたがってるらしいんだよな。で、今回の旅行であいつをどうするのかなーって思って」
「仲間にか……アキトは何て?」
「アキトは裏切られるのも考えていて、スズの超人としての能力を利用出来たらって言ってる。仲間にする方向で考えてるらしい」
「そんな良い力持ってるのか?」
「怪力だって。羨ましい能力だぜまったく」
男として素直に羨ましかった。
そう言うとアースは「はは」と笑った。
「そりゃ使えるなー。それであんな無茶な侵入の仕方が出来たのか」
「アキトが手を加えたらレオを越えるかもしれない。力だけならな」
もしも純粋に仲間になるというなら大きな戦力になる事は間違いない。
でも裏切られた時の損失は大きい。
ただ俺はスズから奴らの話を聞きたい。今はそれだけだった。
午後にアキトに呼ばれてるし、スズに会えるか聞いてみるか。
エレベーターが目的の階に到着したので、俺とアースはとりあえず旅行の事を考える事にした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~
こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。
人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。
それに対抗する術は、今は無い。
平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。
しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。
さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。
普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。
そして、やがて一つの真実に辿り着く。
それは大きな選択を迫られるものだった。
bio defence
※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる