カラフルパレード

pino

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一章

17.賑やかな食卓

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「ウルー!すき焼き食いに来たぜー♡」

「失礼します」


 うるさいのが来た来た。
 俺とアースだけで静かだった部屋が一気に賑やかになった。

 食卓には既にアースが作ったすき焼きが用意されていて、いつでも食事が出来るようになっていた。

 またまたタンクトップとハーフパンツ姿のレオ。絶対それで寝てただろって思うぐらいシワシワだった。相変わらずの逆立った金色の髪には黒のカチューシャをしていた。
 そしてそんないつも通りのレオの後ろから顔を出したのは俺のよく知るウィルだった。
 何も変わらない、いつもの物腰の柔らかそうな好青年が笑顔でそこにいた。


「ウィル。復活おめでと」

「ありがとうございます。ウルさん、レオのお世話ありがとうございました」


 深々と頭を下げて礼を言ってくるウィル。相変わらずしっかりしてんなー。
 主人であるレオはお構いなしに部屋に入って来てテーブルの上のすき焼きの蓋を開けて眺めていた。

 そしてキッチンから出て来たアースは二人を見て笑って言った。


「レオにウィル。昨日は自分が不甲斐ないばかりに迷惑を掛けてすまなかった。ウルを守ってくれて本当にありがとう」

「おっアス!って、何か逞しくなってね!?」

「アース、迷惑だなんて。気にしないで下さい。私なんて実戦経験も無いのに出しゃばったから、危うく真っ二つになる所でしたから」

「いや、ウィルのお陰でウルが無事だったんだ。二人には感謝してる。だから今日は楽しんでくれよな♪」

「おいおい!俺が一番活躍したんだけどー?」

「レオうるさい。唾が入るからそこで喋るな」


 俺がレオを引っ張ってすき焼きが入った鍋から遠ざけると、アースとウィルが笑った。
 とりあえずまた四人顔合わせられたし、そろそろ食ってもいいよな?


「アース!米!卵!」

「はいはい。レオも卵使うか?」

「勿論♪ウィル!ご飯~!」


 俺とレオは対面して座り、甘える子供みたいに椅子に座って二人が動くのを見ていた。
 アースとウィルは俺達の世話をした後、それぞれの主人の隣に座った。

 そして俺は自分で好きな食材を取り、レオはウィルに取り分けてもらいながら食べ始める。
 こんなに賑やかな食卓は無いから少し変な気分だったけど、悪く無いなと思った。


「うまー♡なぁウィル、肉もっと~」

「肉と野菜、バランス良く食べないとダメです。さあ、コレを食べたら次はお肉を取ってあげますから」

「野菜ばっかじゃん!」

「レオは我儘だな。肉ならまだあるし、ちゃんと食えって」


 レオは既にレトルトのご飯を5杯分もおかわりしていた。俺からしたら信じられない光景だったけど、こんなけ体がデカいから食う量も多いのか。


「そういやレオ、訓練室にいたって聞いたけど、何かしたのか?」

「ん?ああ、何かテストさせられた」


 俺がアースから聞いて気になっていた事を聞くと、レオは思い出したように話し始めた。


「何のテストかは知らねぇけど、いつものやるような模擬戦をやったよ。あと、いろいろ質問されたー」

「レオの実力をテストしたかったみたいですよ」


 ウィルが付け加えるように話し始めた。
 確かにレオはどんどん強くなっている。俺達の中でもずば抜けているのは誰から見ても一目瞭然だ。
 二人の話を聞いてアースに確認してみる。
 

「アース、俺もテストするのか?」

「いや、予定はねぇよ」

「アキトさんはレオの強さが気になっているようです。私にもレオの私生活を事細かく聞いて来ました」

「そうだったのか!?」

「まぁレオは殆ど寝ていますけど、私がいない間はどうでしたか?ウルさんの護衛を任されていたようでしたが」

「いつも通りだったぜ。蒼司が合流したけど、相変わらず言い負かされてたな」

「そうだ蒼司!アイツってば何でいつもああかな!?俺何かしたか~?」

「ウルに懐いてるから嫌なんじゃないか?ほら、ウルと初め仲良かったのって蒼司だったし」


 アースが言うと、ブーブー不貞腐れた顔をするレオ。
 こればかりは仕方ない事だ。
 最初にここに来たのは蒼司でそれから何年かしてからレオが来た。
 蒼司は俺とアキト以外にはみんなにそうだから気にしないでいればいいのにと思う。口では勝てる訳ないのにいちいち反抗するから負けるんだ。


「そうだ、レオ明日暇か?」

「え♡もちろん暇だけど♡」


 俺が聞くと、不貞腐れた顔を嬉しそうな笑顔に変えて即答した。
 二日間動いて無かったから、リハビリも兼ねてアースと模擬戦やろうと思ってたんだけど、どうせならレオも混ぜてやったら面白いかなって。


「んじゃ明日9時に第一訓練場に集合な」

「訓練場!なになに~?遊んでくれんのか!?」


 レオはとても嬉しそうに目を輝かせていた。
 正直、俺はレオに勝てない。だからこそ良い練習相手になるんだ。アースの新しい動きも見てみたいし、レオは丁度良かった。


「明日アースと模擬戦やろうと思ってたんだけど、レオ協力してくれよ」

「するー!ウィル、明日はアキトに呼び出されてねぇよな?」

「ええ。今の所は」

「今の俺ならレオに勝てるかもな」

「アスってば言うね~♪」

「今日アースの耐久性を上げたんだ。起動実験見てたけど、かっこよかったぞ」

「あ、だから体が逞しくなったのか?」


 そう言ってアースに触ろうとテーブルを乗り出して腕を伸ばすレオ。それを行儀悪いと叱るウィル。
 レオに勝てなくても良い経験にはなるだろう。
 
 俺は明日第一訓練場を使う事をアキトに伝える為、アースに頼んでおいた。
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