カラフルパレード

pino

文字の大きさ
上 下
8 / 44
一章

8.死と隣り合わせ

しおりを挟む

 風呂から上がってレオの髪をドライヤーで乾かしてやると、フワフワに仕上がった。さすがアキトのトリートメントだ。

 そしてそのまま俺の部屋のベッドにダイブしてた。
 俺も髪を乾かして寝る準備をする。
 俺の寝床は床だ。床に布団を敷いて寝ている。俺の部屋にあるベッドは普段はアースが使っている。

 いつもならアースが布団を準備してくれるけど今日は自分でやらなきゃいけないから少し面倒だった。


「へ?まさかそっちで寝るのか!?」

「そうだよ。ベッドは嫌いなんだ」

「相変わらずだなぁ。んじゃ俺もそっち行く♪」

「空いてんだからベッド使えよ。アースが毎日シーツ変えてるから綺麗だぞ」


 そもそもアース達、人造人間は汗をかかない。だからシーツが汚れるなんて事は無い。だけど、アースは毎日変えていた。そう言う人間っぽい所が俺は好きだった。
 もちろん俺の布団も毎日変えて、クリーニングに出してくれてる。


「アキトが寝る時も一緒って言ってたもーん♡」

「なぁ、それさ、変だと思わねぇ?」

「何が?ご褒美が?」

「レオが俺に懐くのにやきもち焼く癖に、アキトがそんな事を言い出したのがだよ」

「でも最近は結構許してくれてるぜ?俺、ウルと一緒の事増えたから嬉しいもん♪」

「そこなんだよ。最近になって俺とレオをペアにしようとしてんだ」

「だから~!俺達が仲良いの認めてくれたんだって~♪」


 お気楽能天気のレオに言っても無駄か。
 こういう時アースかウィルがいたらまともに会話出来たのにな。

 もうこの会話は諦めて敷いた布団に包まり寝ようと思った。今の所、今回脳をいじられて後遺症や副作用は出ていない。眠っていてそのまま目が覚めないなんてのも聞いた事があるから、俺に次の目覚めが来るのかと言ったら絶対大丈夫とは言えないけど、俺は気にせずに目を閉じる。
 
 何年もそんな生活してたら慣れても来るもんだ。

 レオも俺の布団に入って隣にピッタリくっ付いて来た。暖かいなぁ。


「なぁ、レオ」

「んー?」

「さっきの斧男さ、超人かな?」


 ふと気になってた事を口にすると、レオがピクッと反応した。
 しまった。レオは斧男にウィルを壊されてたんだ。
 今は話すべきじゃなかったか。
 レオは俺をギューっと抱き締めて答えた。


「さぁ……少なくとも普通の人間ならもう死んでるよな」

「レオ、ごめん」

「何でウルが謝るんだ?」

「だって、ウィルが」

「ウィルなら大丈夫だろ!あのアキトが直してくれる!でもウルが壊れたら直せねぇからな。もっと自分を大事にしてくれよな」

「それはお前だろ」

「俺、ウルみたいに暴走した事ないもーん」


 レオが笑ってた。良かった。思ったよりも大丈夫そうだな。

 確かに、俺自身戦った時の記憶が残ってるのなんてあまり無い。記憶が無いって事は暴走して記憶を消された。もしくは改ざんされた。

 今いる五人の人造人間の中で一番死に近いのは俺である事は間違いなかった。

 そしてしばらくしてレオの寝息が聞こえて来て、見るとスヤスヤと寝ていた。
 俺に会う直前まで寝てたって言ってたけど、やっぱりさっきの戦いで疲れてたんだろう。
 一度レオの頭を撫でてから俺も目を閉じて寝る事にした。


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【SF短編】エリオの方舟

ミカ塚原
SF
地球全土を襲った二一世紀の「大破局」から、約二〇〇年後の世界。少年エリオ・マーキュリーは世界で施行された「異常才覚者矯正法」に基づいて、大洋に浮かぶ孤島の矯正施設に収容された。無為な労働と意識の矯正を強いられる日々の中で、女性教官リネットとの出会いが、エリオを自らの選択へ導いてゆく。

サクラ・アンダーソンの不思議な体験

廣瀬純一
SF
女性のサクラ・アンダーソンが男性のコウイチ・アンダーソンに変わるまでの不思議な話

【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~

こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。 人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。 それに対抗する術は、今は無い。 平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。 しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。 さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。 普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。 そして、やがて一つの真実に辿り着く。 それは大きな選択を迫られるものだった。 bio defence ※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。

処理中です...