カラフルパレード

pino

文字の大きさ
上 下
7 / 44
一章

7.正反対の性格

しおりを挟む

 アキトが部屋から出て行ってから残された俺とレオはとりあえず風呂に入る事に。そしたらレオを寝かせよう。直前まで寝てたらしいけど、さっきの戦いで体力を随分消費してるから回復させないとな。
 時計を見ると四時を過ぎていた。窓の外が微かに明るくなって来ていた。


「レオ来い。髪と体洗ってやる」

「はーい♪」


 声を掛けると嬉しそうに付いて来た。こういうのは弟が出来たみたいで嫌じゃない。
 レオはここに来たばかりの頃はまだ小さくて、周りの人達に対して凄く怯えていた。だけど、俺と遊ぶようになって性格も明るくなった。
 そして俺に一番懐き、何かと俺の後を付いて来ては真似したり戯れて来たりした。

 アキトは何よりも俺の事を大切にしているが、たまに俺に懐くレオにやきもちを焼く程だが、最近になって結構俺とレオを組ませる事が増えた。
 他の超人と比べて自由奔放なレオの世話役は俺が適任だと思ったのか、はたまた何か違う事を考えての事か。アキトが何も考えずに行動するのは考えられない。

 俺もレオの事は嫌いじゃない。むしろ懐いてくれるから弟分として世話したりもするが、こういう俺は珍しいらしい。
 基本的に俺は一人が好きだ。誰かと行動したりするのは苦手で、一人の方が楽だと思っている。あ、アースは別だ。
 だから自分が思っている事をハッキリと主張する分かりやすいレオは楽で嫌いじゃないのかもしれない。性格も単純だしな。

 レオは俺より先に全裸になり先に浴室に入り、溜めておいた浴槽に飛び込む音が聞こえた。本当にガキだな。


「ひゃほー!ウルも早く来いよ~楽しいぜー!」

「お前まずは体を洗ってから……あ?コレお前がやったのか?」

「んー?いや、初めからモコモコしてたぜ?」


 続いて浴室に入って少し驚いた。何と、レオが浸かる浴槽内が泡風呂になっていたのだ。
 普段風呂などの準備はアースがやってくれて入浴剤など入れてくれるんだが、今はアースは居ない。まさかアキトが?


「ウルってばいつもこんな楽しい風呂に入ってんのかー」

「違う!これはアキトの趣味だ!」

「楽しいから何でもいいけどな~♪」

「クソ!レオ!出てこい!さっさと体を洗うぞ」

「はいはーい♪」


 ザバンと豪快に飛び出してシュタッと猫のように座るレオ。俺はレオの頭からシャワーをかけて泡を流した。
 レオが飛び込んだせいで浴室内の壁にも泡が飛んでるじゃないか。アースが戻るまでは俺が掃除しなきゃいけないのに。いや、レオにやらせるか。
 そんな事を考えながらレオのフワフワの金髪にシャンプーを馴染ませて頭を洗ってやる。大人しく気持ち良さそうにしていた。


「なぁレオ」

「何ー?」

「さっきはありがとうな」

「いいって事よ♪アイツむかつくし」

「アイツ何者なんだろうな。レオが殴っても生きてるなんて、普通の人間だったら一発でアウトじゃん」

「さぁな。それをアキト達が調べんだろ?任せようぜー。俺はウルとこれから何をしようか考えるのに忙しいんだ♪」

「そうかよ。んじゃ思い付いたら教えろ」


 シャンプーを流して今度はトリートメントをしてやる。特別にアキトの使ってやった。
 フワッとアキトの匂いがした。


「うわ、コレ良い匂い!」

「サラッサラになるぞ」

「ウルと同じやつか!?」

「アキトのやつ」

「ちぇ、ウルと一緒が良かったな~」

「お前ほんと俺の事が好きだな」

「大好き!ウルも俺の事好きだろ?」

「嫌いじゃない」

「ツンデレだなぁ♡」


 トリートメントを髪に馴染ませてると、レオはスポンジにボディソープを付けて俺の体を洗い始めた。


「俺もウルを洗う♪」

「はぁ?自分でやるからいいし」


 レオからスポンジを取り上げて、そのままレオの体を洗ってやる。
 逞しい腕に、広い背中。年齢は俺より一個下だけど、体格の差は激しい。どちらかと言うと筋肉質なレオに対して俺は筋肉など無く細い。
 身長もレオの方が頭一個分は高く、正に男らしいと言う言葉が相応しかった。

 少し前までは俺より背が低かったのに、いつの間にか追い抜かれていた。
 戦いでもそうだ。元々強かったけど、遊び混じりのレオの戦い方は失敗する事もあった。
 だけど今では更に強さを増して、楽しむ場面も見られるけど、昔程失敗する事は無くなった。

 弟のように思っていたレオの成長っぷりに俺は思わずため息を吐く。


「はぁ……」

「ん?どうしたー?」

「いや、昔のお前は可愛いかったなぁってさ」

「ああ、今はかっこいいもんな!」

「うん。まぁお前のそういうポジティブなとこ嫌いじゃないぜ」


 いつも楽しそうなレオを見ているとたまに羨ましく思う事もある。
 普段笑う事は滅多に無い俺は、きっとレオとは正反対の性格なんだろう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~

こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。 人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。 それに対抗する術は、今は無い。 平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。 しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。 さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。 普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。 そして、やがて一つの真実に辿り着く。 それは大きな選択を迫られるものだった。 bio defence ※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

処理中です...