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一章
7.正反対の性格
しおりを挟むアキトが部屋から出て行ってから残された俺とレオはとりあえず風呂に入る事に。そしたらレオを寝かせよう。直前まで寝てたらしいけど、さっきの戦いで体力を随分消費してるから回復させないとな。
時計を見ると四時を過ぎていた。窓の外が微かに明るくなって来ていた。
「レオ来い。髪と体洗ってやる」
「はーい♪」
声を掛けると嬉しそうに付いて来た。こういうのは弟が出来たみたいで嫌じゃない。
レオはここに来たばかりの頃はまだ小さくて、周りの人達に対して凄く怯えていた。だけど、俺と遊ぶようになって性格も明るくなった。
そして俺に一番懐き、何かと俺の後を付いて来ては真似したり戯れて来たりした。
アキトは何よりも俺の事を大切にしているが、たまに俺に懐くレオにやきもちを焼く程だが、最近になって結構俺とレオを組ませる事が増えた。
他の超人と比べて自由奔放なレオの世話役は俺が適任だと思ったのか、はたまた何か違う事を考えての事か。アキトが何も考えずに行動するのは考えられない。
俺もレオの事は嫌いじゃない。むしろ懐いてくれるから弟分として世話したりもするが、こういう俺は珍しいらしい。
基本的に俺は一人が好きだ。誰かと行動したりするのは苦手で、一人の方が楽だと思っている。あ、アースは別だ。
だから自分が思っている事をハッキリと主張する分かりやすいレオは楽で嫌いじゃないのかもしれない。性格も単純だしな。
レオは俺より先に全裸になり先に浴室に入り、溜めておいた浴槽に飛び込む音が聞こえた。本当にガキだな。
「ひゃほー!ウルも早く来いよ~楽しいぜー!」
「お前まずは体を洗ってから……あ?コレお前がやったのか?」
「んー?いや、初めからモコモコしてたぜ?」
続いて浴室に入って少し驚いた。何と、レオが浸かる浴槽内が泡風呂になっていたのだ。
普段風呂などの準備はアースがやってくれて入浴剤など入れてくれるんだが、今はアースは居ない。まさかアキトが?
「ウルってばいつもこんな楽しい風呂に入ってんのかー」
「違う!これはアキトの趣味だ!」
「楽しいから何でもいいけどな~♪」
「クソ!レオ!出てこい!さっさと体を洗うぞ」
「はいはーい♪」
ザバンと豪快に飛び出してシュタッと猫のように座るレオ。俺はレオの頭からシャワーをかけて泡を流した。
レオが飛び込んだせいで浴室内の壁にも泡が飛んでるじゃないか。アースが戻るまでは俺が掃除しなきゃいけないのに。いや、レオにやらせるか。
そんな事を考えながらレオのフワフワの金髪にシャンプーを馴染ませて頭を洗ってやる。大人しく気持ち良さそうにしていた。
「なぁレオ」
「何ー?」
「さっきはありがとうな」
「いいって事よ♪アイツむかつくし」
「アイツ何者なんだろうな。レオが殴っても生きてるなんて、普通の人間だったら一発でアウトじゃん」
「さぁな。それをアキト達が調べんだろ?任せようぜー。俺はウルとこれから何をしようか考えるのに忙しいんだ♪」
「そうかよ。んじゃ思い付いたら教えろ」
シャンプーを流して今度はトリートメントをしてやる。特別にアキトの使ってやった。
フワッとアキトの匂いがした。
「うわ、コレ良い匂い!」
「サラッサラになるぞ」
「ウルと同じやつか!?」
「アキトのやつ」
「ちぇ、ウルと一緒が良かったな~」
「お前ほんと俺の事が好きだな」
「大好き!ウルも俺の事好きだろ?」
「嫌いじゃない」
「ツンデレだなぁ♡」
トリートメントを髪に馴染ませてると、レオはスポンジにボディソープを付けて俺の体を洗い始めた。
「俺もウルを洗う♪」
「はぁ?自分でやるからいいし」
レオからスポンジを取り上げて、そのままレオの体を洗ってやる。
逞しい腕に、広い背中。年齢は俺より一個下だけど、体格の差は激しい。どちらかと言うと筋肉質なレオに対して俺は筋肉など無く細い。
身長もレオの方が頭一個分は高く、正に男らしいと言う言葉が相応しかった。
少し前までは俺より背が低かったのに、いつの間にか追い抜かれていた。
戦いでもそうだ。元々強かったけど、遊び混じりのレオの戦い方は失敗する事もあった。
だけど今では更に強さを増して、楽しむ場面も見られるけど、昔程失敗する事は無くなった。
弟のように思っていたレオの成長っぷりに俺は思わずため息を吐く。
「はぁ……」
「ん?どうしたー?」
「いや、昔のお前は可愛いかったなぁってさ」
「ああ、今はかっこいいもんな!」
「うん。まぁお前のそういうポジティブなとこ嫌いじゃないぜ」
いつも楽しそうなレオを見ているとたまに羨ましく思う事もある。
普段笑う事は滅多に無い俺は、きっとレオとは正反対の性格なんだろう。
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