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9章
おかえり!元気そうじゃん♪
しおりを挟む短い冬休みはあっという間に終わり、とうとう明日からまた学校が始まる。
俺は休みの最終日が近付くにつれて憂鬱で仕方なく、今日という日は思い切り寝て過ごそうと前の日の夜から張り切っていたけど、夜中にゲームをやっている時に伊織からの電話でそうはしていられない状況になってしまった。
とうとう伊織が旅行から帰って来たらしい。
日本に着いてからすぐに連絡をくれたんだけど、今日会いたいと言われたんだ。俺も空との事とか話さなきゃいけない事があるから、勿論会う約束をした。
それに、純粋に伊織に会いたいと思っていたんだ。伊織が旅立ってから二週間ぐらいか。いつも派手でうるさい奴がいないとやっぱり寂しいものだった。
朝早くに待ち合わせ場所の駅前で俺は赤い髪のあいつを探す。メッセージでは到着してるって来てたけど、どこにいるんだ?
俺は一度スマホを確認しようと立ち止まり下を向いた瞬間、後ろから誰かに抱き付かれた。驚いたけど、フワッと香る甘くて爽やかな匂いがして、とても懐かしく思った。
「伊織!」
「よう貴哉♪久しぶりだな♪」
俺をぎゅーっと抱く腕を掴みながら顔だけ振り向くと、そこには変わらない笑顔の赤い髪の伊織がいた。あ、髪が伸びてる。前髪とか横に流してて大人っぽく感じた。
「おかえり!元気そうじゃん♪」
「ただいま♡貴哉も元気そうで良かった」
愛おしそうにそのまま顔を埋めて来る伊織にくすぐったくて離れようとすると、ほっぺにキスをされた。こ、こいつっ!こんな大勢の前で大胆だな!
腕から逃れて向き合うと、伊織の全身が見えて再び懐かしくなり、ちょっと感動しちまった。
相変わらずお洒落だな~。スタイルも良いし、めちゃくちゃ周りが見てんじゃん。
「お前な~!ここ日本なんだからそういうのやめろって」
「あはは♪貴哉は相変わらず人前でこういうのするの嫌がるな~。変わってなくて良かったわ」
「なぁ伊織、話があるんだ」
「そんじゃどっか入って話すか。飯は食った?」
「うん」
「じゃあカフェとかでいっか」
そう言って自然と手を繋いで来る伊織。俺は振り払わなきゃいけないのに、そのまま繋いだまま歩いていた。
正直伊織に会えたのと、またこうして仲良く出来る事が嬉しかった。
近くのカフェに入ってそれぞれ飲み物を頼んで向かい合って座る。伊織はずっとニコニコ機嫌良さそうにしていた。
「伊織、髪伸びたな」
「貴哉は短いのが好きなんだよな。切ろうか?」
「いや、似合ってるしいいんじゃん?」
「そ?あ、これお土産~。凛子さん達にもよろしく言っておいて♪」
「サンキュー。てかどこ行ってたんだっけ?」
「フランス。母さんが住んでる国だよ」
伊織から手渡されたお土産の袋の中を覗くと、菓子っぽい箱と、縦長の重ための箱が入っていた。あ、ワインだ。
それから伊織は更に隣の椅子に置いたバッグから手の平サイズの長方形の箱を出して渡して来た。
「それとこれは貴哉に♪」
「え、何だ?」
「開けてみ♪」
言われて箱を開けてみる。
すると中には大きなレンズのサングラスが入っていた。
かっけぇ!
「すげぇかっこいい!これくれんの!?」
「なんと!俺とお揃いでーす♪そんな濃くないし、ブルー系だからお洒落だろ?」
伊織は、じゃーんとバッグからもう一個同じのを取り出してそれを装着してニヤッと笑った。
俺もすぐに貰ったサングラスをしてニヤッと笑ってやる。
あ、すげぇ楽しい♪
こうやってちゃんとお土産とか用意してくるとことか、ファッション系を選ぶとことか、明るくして楽しませようとするとことかが伊織らしくて安心した。
この時、一瞬でも空の事が頭から離れてしまって俺は一度頼んだアイスティーを飲んで落ち着いてから大事な事を話そう思った。
10
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