【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ6th season

pino

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4章

※ 神凪さんっ!

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 ※侑士side

 俺と二之宮は中庭から校舎に戻る為、中央玄関で階段を降りて来た柴田先生と秋山くんと遭遇して、そのまま授業の始まりを告げる鐘が鳴った後もその場にいた。
 どうやら秋山くんに何かあったらしい。右足を痛めているのか柴田先生に支えられるように歩いていた。

 二之宮は様子のおかしい秋山くんを抱き締めていて、柴田先生はそんな二之宮に教室へ行くように説得していた。
 俺も柴田先生に従うべきだと思っていた。

 だけど俺は目の前で秋山くんを大事そうに抱き締めてる二之宮を見て葛藤していた。
 
 そもそも秋山くんは何か問題を起こして柴田先生に連れられているんだと思う。だから仕方のない事だし、その処理は柴田先生に任せるべきだと思うんだ。言ってしまえば俺達は無関係の人間だ。
 それがわざわざ間に入ってより大事おおごとにするのは避けるべきだ。
 いくら二之宮と秋山くんが仲良くても、物事の決まりは守らなくてはいけない。

 でも、一生懸命に秋山くんに付いてようとする二之宮を見て俺の心臓は早くなった。
 俺は焦っている?今のこの状況に何故焦る?
 いつも通りに道を外れそうになった者を正しい道へ導くだけなのに、何故だかこの時ばかりは緊張していた。
 「俺は……秋山の側にいたいっ」
 二之宮のその言葉を聞いてから、俺の胸の鼓動が早まり、ドキドキするような感覚が収まらなかった。二之宮のしたいようにさせてあげたい。そう思ってしまったんだ。
 二之宮に対して個人的な感情があるからだろう。

 なかなか言う事を聞かない二人に気の弱い柴田先生が助けを求めるように見て来る。
 ごめんなさい柴田先生。俺は今道を踏み外そうとしています。


「ま、前田くんっ、早く二之宮くんを連れて行ってくれないかい?」

「お言葉ですが、柴田先生」

「ん!?」

「今回の件、他の生徒が口を出すのは間違えているとは思います。ですが、友を心配するのは間違えていないと思います。二之宮は秋山くんの親友で誰よりも信頼し合っているのは周りは勿論、この俺でも周知の事です。ですから、二之宮だけでも付き添いとして連れて行ってくれませんか?二之宮は真面目で優秀な生徒です。決してサボりたいとかではないと思います。それに、秋山くんの状態を見る限り心の支えになれる人が付いていた方が安心かと思います」

「えっと……ええー!!前田くんどうしちゃったのー!?」

「前田……」


 俺が思った事を口にすると、柴田先生と二之宮が驚いていた。無理も無い。俺は一度も先生達に逆らったりした事が無かった。上の人間の言う事は聞くものだと思っていたから、当然の事だと思っていた。
 でも今は、この件に関係のない人間を参加させようとしている。
 俺は手が震えているのが分かった。
 きっと自分自身でも今発した言葉が間違っているのではないかと不安になったんだ。

 俺は、間違った道に進もうとしているのか?


「困ったなぁ~。これじゃ他の先生に怒られちゃうよ~」

「あのっ、出しゃばった事を言ったりして……」

「素晴らしいぞ侑士!やはり私が見込んだ男なだけはある!」

「「「!?」」」


 突然聞こえたここにはいない筈の声がして、秋山くん以外の俺と二之宮と柴田先生は驚いて声のした方を見る。
 柴田先生の後ろ、階段を一本に束ねた長い髪を靡かせて颯爽と降りて来る俺の憧れの人、城山高校元生徒会長の神凪葵先輩だった。


「神凪さんっ!」

「神凪くん!?どうしてここに!?」


 神凪さんは階段を降り切って俺の隣に並ぶと、いつもの自身満々な笑顔で俺を見た。
 

「何やら騒がしかったので様子を見に来たのだが、心配はいらなかったようだな。城山高校の生徒会長がいるのならな」

「そ、そんな事ないですっ!俺は……何も出来ずに……むしろ柴田先生を困らせてしまいました……」

「そんな事を気にするな。いいか?生徒会長と言うのは全校生徒の代表だ。普段上に届きにくい生徒の気持ちを伝えるのは立派な仕事の内だ。もっと堂々としていろ。普段のお前なら出来るだろう」

「ですが、二之宮くんを教室へ行かせるべきだったんじゃないかと……」

「それならば行かせればいいだろう。それも仕事の一つだからな。一体お前は何がしたい?先程の言葉は嘘だったのか?」


 柴田先生に偉そうな発言をした後に後悔している俺に、神凪さんは冷たい目で見てそう言った。
 本当に俺は何がしたいんだ?
 ただ俺は真っ直ぐに正しい道を歩みたいだけだ。生徒会長になったのも、道を逸れそうになっている者を正しい道へ引っ張って行ってやりたいと思ったからだ。
 でも今の俺は個人的な感情で判断して、目上の人を困らせている。
 そんなのは間違っている事なのに……


「俺は……」

「前田」

「?」


 俺が答えに迷っていると、秋山くんにしがみつかれたままこ二之宮がこちらを見てニコッと笑った。俺はその笑顔を見て涙が出そうになった。



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