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1章
双葉!お前もやるか?
しおりを挟む何か紘夢が双葉に突っかかってくるなぁと思ってたら、わざと俺といちゃついて挑発してたらしい。
双葉はまんまと挑発に乗りそうで、今にも紘夢に殴りかかりそうになった。ほんと危ねぇ事してくれるな。俺がいなかったら双葉が暴れちまうとこだったぞ。
初め空が紘夢に頼んだのかと思ったけど、どうやらイタズラ好きの紘夢が一人で考えた事らしい。
うーん、少し双葉を可愛がり過ぎたか?んでも双葉が仲良いのって俺だし、放置すんのはどうかと思ったんだ。空にはちょいちょい悪いなとは思ってたけどよ。
後ろで紘夢に文句言ってる空を見て俺は思った。
「おーい、空ちょっと来てみ?」
「えー、何ぃ?本当に俺じゃないからなぁ」
「分かってるって」
空は俺に呼ばれて、罪をなすりつけられそうになったばかりだから嫌そうな反応をしていた。
「んな顔すんなって♪ここでさ、勝負しねぇ?」
「勝負?」
俺はアトラクションの中の方を親指で指して言うと、空は不思議そうな顔をした。
「一緒に歩いて先にビビった方が負け!立ち止まっても先に進んでも、ビビった事になって負け!どうだ?」
「何それ!てか俺こういうのあんま得意じゃねぇんだけど!不利じゃね!?」
「だから~、負けたくなければずっと隣にいりゃいいんだって♪楽勝だろ?」
俺が空の腕を引いて隣に並ばせると、やっと気付いたのか、フワァッと嬉しそうに笑った。
「貴哉ぁ♡うん♡ずっと隣にいる♡」
「せっかくの勝負だから何か賭ければー?負けたら勝った方の言う事何でも聞くとか」
ここで紘夢がニヤニヤ笑いながら入って来た。まぁ別にいいけど、そもそもこの勝負は空と歩けるように提案したやつだから勝敗はどうでも良かった。
「んじゃあそれにすっか!」
「俺頑張るっ!」
「…………」
あ、双葉も誘う?何か寂しそうだしなー。
「双葉!お前もやるか?」
「え……」
「おい待ってくれっ!双葉くんとかめちゃくちゃこういうの得意そうじゃん!ズルいだろ!」
「それ面白そー♪三人でやれやれー♪誰が一番ビビりかなぁ?茜ちゃんの予想は~?」
「早川かな?」
「あはは!空ビビりに見えるってよ~」
「貴哉、本当に俺も参加していいんですか?」
「いいよ?誰が一番ビビってたかは紘夢と茜に見ててもらおうぜ」
「俺、本気出します!」
「本気を出す?」
ゾンビ相手に何を言ってるんだと言う顔をした空が聞いていたけど、双葉もちゃんと輪に入れたし楽しくなって来たじゃねぇか♪
そんな会話をしてたらいつの間にか順番が来て、俺達は五人で中に入る事が出来た。
中は更に暗くて、雰囲気が思ったよりエグかった。道というか、長い廊下が続いていてそこを歩いて行けばいいみたいだ。両サイドには今にも壊れそうなドアがあって、たまにゾンビの人形の手が出てたり、覗き込んでいたりした。
「寒っ!ここめっちゃ寒くない!?」
「ああ、結構雰囲気あるな」
後ろにいる紘夢と茜は寄り添って歩いていた。なんか良いなあのコンビ。
対して俺達三人は、約束通り狭い廊下を俺を中にして左に空、右に双葉といった具合に横並びに歩いていた。
双葉はいつもと変わらない感じで周りをキョロキョロ見ながら歩いていたけど、空は苦手って言ってた通り俺の腕をギューっと掴みながら歩いていた。コレ空の負け確じゃね?
「空ビビってるだろ~?」
「えっだって絶対どっかの扉からゾンビ飛び出て来るだろ!?確かどこから出て来るかは毎回変わってて読めないようになってるんだよ」
「あ、そうなの?こっちから開けて確かめるか?」
「貴哉、ここ入る前にゾンビや備品には触らないでって書いてありましたよ」
「なんだ~。てかお前ここ入った事あるのかよ。なら有利じゃねぇか」
「そんなの一年も前の事だから意味ねぇよ。リニューアルとかで大分変わってるし!」
「一年前ね~。誰と入ったんだか」
「ちょ、貴哉歩くの速いって!」
「貴哉?怒ってます?」
あまり先に行っちまうと負けになるから少しだけ早歩きをすると、二人は気付いて気にして来た。
だって、一年前のこの時期とか絶対女とじゃん!空の事だから男友達とはこういうとこ来なそうだし、何かムカつく。
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