17 / 156
1章
なぁ空、協力してくれよ
しおりを挟む教室に戻りながら藤野の話の続きを聞いたけど、犯人は元々一人だったらしい。藤野のいつも一緒に連んでた一人で、柳瀬太一って言う男だ。
俺も名前ぐらいなら聞いた事があった。空は「太一がぁ?」って驚いてたけど、話した事あるみてぇだな。藤野といる奴なら薄っすら覚えてなくはねぇけど。
空って意外とクラスの奴らと話してるよな。藤野ともそうだった。俺は話した事なかったのに「ココ」なんてあだ名で呼ぶぐらいだ。男嫌いとか言ってたけど、そうでもねぇじゃんよ。
「んで、柳瀬ってどんな奴だ?」
「貴哉、マジで分からないのか?半年以上も同じ教室にいるのに……」
「話した事ねぇからしょうがねぇじゃん」
「太一は明るくて楽しい奴だよ。俺らの中ではムードメーカーみたいな存在」
「えっ!そんな奴が脅したりして来たってのかよ!」
「だから俺も驚いたんだよ。太一って誰とでも明るく話すぜ?ちょっと抜けてるとこあるけど、憎めない奴だよな」
「ふーん。んで、他の二人は柳瀬に便乗してる感じか?」
「多分そんな感じ。初めは俺に対して気まずそうにしてたけど、今では太一の後ろピッタリくっ付いてるよ」
「友達なのに酷ぇ奴らだな。んじゃまずは柳瀬って奴と話すか~」
「待ってよ。何を話すんだ?」
「何って、藤野を脅すの辞めるように言うんだよ」
「無駄だって。むしろ秋山にチクったと思われて写真の事バラされるだろっ」
「何で無駄だって分かるんだ?あ、じゃあさ俺らもあいつらの弱み握ればいいんじゃね?脅し返すんだよ。そうすりゃお互い様だから文句言えねぇだろ」
「弱みね~。あればいいけどな」
ここで空がしっくり来ないような顔して言った。
「もし弱みがあったとしてもどうやって知るんだ?俺と貴哉は藤野と昼休み一緒にいるの見てるかもだし、もう警戒されてるかもしれないぜ?」
「それをこれから考えるんだよ」
「あのさ二人共、気持ちはありがたいけど、太一達をこれ以上刺激したくないからさ……」
「んな事言ったって、お前これからも金むしり取られるぞ?藤野って紘夢みてぇな金持ちなのかよ?ん?紘夢?あ!」
「どうした?」
「紘夢に相談してみようぜ♪あいつなら良い解決策出してくれっから♪」
「貴哉~、藤野の話は他の奴には秘密なんじゃないの?」
「紘夢にだけ!なぁ、藤野いいよな?」
「……ごめん。他の人に事情を話すのはちょっと」
紘夢だったら余裕で何とかしてくれるのに、藤野は気まずそうに下を向いた。
くそー、簡単に解決出来ると思ったのによぉ!
「仕方ねぇよ。これはデリケートな問題だし」
「話を聞いてもらえただけでも良かったよ。これから俺は少し大人しくしてるけど、気にしないでくれよ」
「なぁココ~?俺が太一達に近付くのは不自然じゃねぇよな?たまに普通に話したりするし」
「ああ、話してるよな。不自然じゃないけど、俺の話はしないで欲しい」
「うん、分かった」
空がそう言って俺達は教室に辿り着く。
藤野はそのまま自分の席に戻って行ったけど、俺と空は再び廊下に出て立っていた。
俺は何とか出来ないかとムッとして考えてると、空はニッコリ嬉しそうに笑っていた。
「貴哉、優しいな♪」
「ん?ああ、藤野のにはテニスで世話になったからよ。それに金は大事だろ?同じクラスで起こってる事だしすぐ解決出来そうだなって」
「そうかな?結構難しくない?相手は藤野が周りに知られたくない秘密知ってるんだし、下手に出たら危ないだろ」
「そうだけど、柳瀬って奴を止めりゃいいんだろ?普通に話してその画像も消させりゃいいんだろ?」
「てか何で友達だったのにいきなりそんな事をし出したのかだよな。本当に柳瀬って良い奴だから信じらんねぇよ」
「俺、柳瀬と話してぇ」
「絶対ココの事言わない自信あるならいいんじゃない?クラスメイトだし」
「なぁ空、協力してくれよ」
「もちろん協力するよ。貴哉一人にしたらすぐに周りにバラしちゃいそうだし~」
「……まぁうっかりってのはあるよな!」
「こればっかりはうっかりじゃ済まないから気を付けような~」
空に言われて俺は藤野の事を考えた。
俺は自分がゲイかは分からないけど、男としか付き合った事がない。でも周りに隠したいとかは別に思わねぇ。でも藤野は隠したがる。
気持ちは分かる。普通じゃないからだろ。
でもそんなの本人の気の持ちようだと思うんだ。
今じゃ俺にとって空や伊織と付き合うのは普通だけど、それは異性愛者からしたら異様な事なんだろうな。
俺も直登や空や伊織と出会わずに男と付き合うってのを知らなかったら藤野みてぇに思ってたのかもしれねぇ。
実際、中学の終わりに楓に告られた時は裏切られたって思った事もあったもんな。
今では楓の事は普通に好きだしな。
仕方ねぇ、藤野の気持ち考えて行動してやるかぁ~。
10
あなたにおすすめの小説
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2025.12.14 285話のタイトルを「おみやげ何にする? Ⅲ」から変更しました。
■2025.11.29 294話のタイトルを「赤い川」から変更しました。
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
病んでる愛はゲームの世界で充分です!
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。
幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。
席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。
田山の明日はどっちだ!!
ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。
BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。
11/21
本編一旦完結になります。小話ができ次第追加していきます。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる