52 / 52
2章
大人の男性
しおりを挟むそれぞれ食べたい物を頼んで食べていると、佐倉さんらしき人が奥から出て来て俺達の席に向かってやってくるのが見えた。
その人は身長が高く、茶髪で緩いパーマがかかった髪型で、モデルのような体型だ。このファミレスの中では目立っていた。
その人は俺達のテーブルまで来ると、湊に挨拶をして俺達にも軽く頭を下げて来た。なんて礼儀正しい大学生なんだ!
「佐倉さーん♡わざわざ来てもらっちゃってすいません♡」
「気にしないで。二人共初めまして。ここ座ってもいいかな?」
「どうぞ!」
大人に雰囲気に圧倒されたけど、ずっとニコニコしている佐倉さんに、俺と弘樹は少し緊張していた。
「二人共どうしたのー?佐倉さんかっこよすぎて驚いたでしょー?」
「澪、ふざけるな。僕は佐倉駿だよ。二人は澪の大切な友達なんだよね。名前聞いてもいいかな?」
「はい!俺は間宮夏樹です!よろしく」
「高城弘樹です。澪がお世話になってます」
「うん。よろしく。それにしても二人共かっこいいなー!澪から聞いていた通りだ」
近くで見た佐倉さんは、顔までイケメンだった。綺麗な二重の目にスッと通った鼻筋。広角の上がった口元で、愛想まで良い。接客業にはもってこいの顔。
そんな佐倉さんに言われたら恥ずかしくなるだろ。
「でしょー?二人もとてもモテるんですよ♡是非佐倉さんに会わせたかったんです」
「ずっと会わせたい人がいるって言ってたもんな」
「あの佐倉さん、聞いてもいいですか?」
「なにかな?」
勇気を出して聞きたかった事を聞く事に。
澪の為に調査しないとだもんな!
「恋人いるんですか?」
「えー、いきなりだな!残念だけどいないんだぁ」
「夏樹ってば何聞いてるの!」
「だってイケメンだし、いると思って」
「あの、次は俺が質問いいですか?」
「どうぞ」
今度は弘樹が。何聞くんだろー?
「澪の事、どう思ってるんですか?」
「ヒロくん!」
さすが弘樹だ!いきなり確信を突くような質問!慌てる澪に、驚く俺。そして佐倉さんは笑っていた。
「あはは、何だか澪の親と面談してるみたいだなぁ。うん。澪の事はいつも明るくて元気で、仕事頑張ってる良い子だと思ってるよ。いつも俺に懐いてくれてるし可愛いくて側に置いておきたいって思ってるよ♪」
「さ、佐倉さんっ♡」
「そっか~。澪良かったじゃん」
「もー、ヒロくんいきなり辞めてよねー!佐倉さんを困らせちゃダメー」
「え、澪の為に聞いたのに」
「仲良いなぁ。このまま話していたいけど、俺この後用があるんだ。ここは俺がご馳走様するからゆっくりして行ってよ」
そう言って佐倉さんはテーブルの端に五千円を置いて立ち上がった。普通に取った行動がかっけー!
でもさすがに悪い気がして俺が断ろうとすると、ニッコリ笑って手を振った。
「悪いですよ佐倉さーん!俺達がいきなり来たのにー」
「いいの。後輩は黙って奢られてなさい。それじゃまたね♪」
爽やかに立ち去る佐倉さん。
自然な行動が、まるで律みたいだと思ってしまった。律もあんな感じになるのかな……
残された俺達は食事を再開して、佐倉さんの話で盛り上がった。
「はぁ、ヒヤッとしたよ~」
「良い人そうじゃん!安心したぞ」
「良い人だもーん♪いつもあんな風に優しくしてくれるんだよ」
「なんか脈ありじゃね?なぁ?弘樹」
「うん。佐倉さんが他の人にもああ言ってなければだけどね」
「そこなんだよねー!佐倉さんってみんなにも優しいの!今ホールやってるららちゃんとも仲が良くていつも楽しそうに話してるんだよ~」
「え、ライバルじゃん」
「ららちゃんにも聞いてみる?」
「ヒロくん辞めて!これ以上俺のバイト先荒らさないで!」
「まぁ頑張れよ澪。バイトも恋もさ」
「うん!頑張る~♪ねぇ、五千円あればもっと食べられるよね?俺追加しちゃおー♡」
「佐倉さんいなくなった途端にこれだよ」
「澪はこうじゃなくちゃね」
相変わらずの澪にその後も三人で食事を楽しんだ。
1
お気に入りに追加
22
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】
NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生
SNSを開設すれば即10万人フォロワー。
町を歩けばスカウトの嵐。
超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。
そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。
愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。
純粋な男子高校生はヤクザの組長に無理矢理恋人にされてから淫乱に変貌する
麟里(すずひ改め)
BL
《あらすじ》
ヤクザの喧嘩を運悪く目撃し目を付けられてしまった普通の高校生、葉村奏はそのまま連行されてしまう。
そこで待っていたのは組長の斧虎寿人。
奏が見た喧嘩は 、彼の恋人(男)が敵対する組の情報屋だったことが分かり本人を痛めつけてやっていたとの話だった。
恋人を失って心が傷付いていた寿人は奏を試してみるなどと言い出す。
女も未体験の奏は、寿人に抱かれて初めて自分の恋愛対象が男だと自覚する。
とはいっても、初めての相手はヤクザ。
あまり関わりたくないのだが、体の相性がとても良く、嫌だとも思わない……
微妙な関係の中で奏は寿人との繋がりを保ち続ける。
ヤクザ×高校生の、歳の差BL 。
エロ多め。
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる