未熟な欠片たち

pino

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2章

恋バナ

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 それから時は経ち、とうとう夏休みに突入した。あれから大和は大人しくなり、後を付けて来る事もなかった。やっぱり大和は良い奴なんだ。俺はそう思って特に自分から何をするでもなく過ごしていた。

 そして今日は澪と久しぶりに会う日だ。澪から誘われたんだけど、バイトを始めてからの澪はとても忙しそうで、夏休みに入ってからは毎日バイトに出てるらしい。今日は休みで俺に会いたいと言って来た。律にはもちろん話してある。澪が相手だから快く行ってらっしゃいと言ってくれた。

 澪と待ち合わせのバス停前のファーストフード店に入ると、既に待っていた澪が大きく手を振っていた。


「夏樹ー!こっちこっちー♪夏樹の分も頼んでおいたから座ってー」

「おう、澪久しぶり。元気そうだな」

「元気だよー♪夏樹は元気?」


 久しぶりに顔を合わせる幼馴染は、相変わらず大量のハンバーガーを食べた後らしく、残ったポテトをつまんでいた。変わらない澪に俺はホッとして椅子に座った。


「元気っちゃ元気かな。お前バイトばっからしいじゃん。体大丈夫なの?」

「まぁね~!仕事にも慣れて来て充実してるよー♪」

「それは良かった」

「もっちゃんの話、聞いたよー。あれから大丈夫なの?」

「ああ、特に変わりないよ。大和も必要以上に声掛けて来ないし、律も落ち着いてる」

「そっかぁ、このまま落ち着いてくれればいいね~」


 本当にそう思う。大和とは友達として仲良くやっていきたいし、律ともこのまま何もなく平和に付き合っていきたい。
 それにしてもやたら澪は機嫌がいい。バイトが順調だからか?


「澪、良い事でもあったのか?顔がニヤけてるぞ」

「えへへ~♪実は好きな人が出来たのー♡」

「だからか。同じクラスの奴か?」

「ううん。バイト先の人♡大学生なんだけど、めちゃくちゃイケメンなんだぁ!」

「年上かー。相変わらず面食いだな。今度見に行ってやるよ」

「来て来てー♡佐倉さんって言うんだけど、今度花火大会に連れてってくれる事になったのー!きゃー♡」


 澪は女子モードに突入したみたいだな。こうなったら止まらない。律の件があってからしばらくそう言う話は聞いてなかったから、やっといつもの澪になったようで心から安心した。上手くいくかは別としてな。


「でもやっぱり初めてだから緊張するのー!夏樹と律くんも一緒に来てくれない?ダブルデートしよ♡」

「俺はいいぜ。花火大会とか律と行きてーなって思ってたんだ。律に話しとくわ」

「楽しみー♡新しい浴衣着ようと思ってるんだけど、一緒に買いに行かない!?」

「また買うのか?去年もその前も買ってなかったか?」

「だってー!佐倉さんとの初デートなんだもん!張り切らなくちゃ♪」

「まぁいいけど。脈ありなのか?大学生でイケメンとか相手いるんじゃね?」

「俺、恋人いる人には手出さないもん!ちゃんといないって確認したから大丈夫っ」

「なら良かった。上手くいくといいな。応援してる」

「応援してしてー♪ヒロくんも誘いたかったけど、律くんの方が自然だよね?二人ともってのはまずいでしょ?」

「んー、律が嫌がりそうだよなー」

「それなら仕方ないね。夏樹と律くんに喧嘩されても嫌だし、ヒロくんにはまた違う時に会ってもらうよ」

「悪いな」

「いいのいいのー♪律くんとは順調なのー?」

「順調だよ。大和の事でどうなるかと思ったけど、平気そう」

「もっちゃん、変わっちゃったもんね~。昔はあんなに大人しかったのに。明るくなったのはいいけどね」

「そうなんだよな。一体あいつに何があったんだろうな」

「何もないならいいけど、もしまた寄って来たらどうするの?」

「いや、もう大丈夫だと思ってたから考えてねぇや」

「ふふ、でも律くんが守ってくれるんじゃない?夏樹の事大好きだもんね」

「まぁな」

「ところで、律くんとはどこまで進んでるのー?」

「どこまでって?」

「エッチしたぁ?」

「おまっ!何て事聞いてんだ!」

「だってせっかく夏樹に彼氏出来たんだもん!恋バナしようよぉ♪ねぇねぇ、もちろん律くんが上でしょ?

「何だよ上って?」

「攻めって事♡」

「攻め?あーまぁ、そうなるのか?」

「きゃー♡想像したらめっちゃかっこいー♡」

「人の彼氏で何想像してんだ!やめろ!」

「そんで夏樹が受けでしょー?うわぁ♡かわいー♡」

「俺を想像すんのだけはマジやめて……澪と友達やめたくなるから」

「いいな~♪俺も早く彼氏作ってイチャイチャしたいなぁ♪」

「……頑張れよ。澪ならきっと上手くいく」

「うん!頑張るー♪」


 澪はもう少し大人しくなった方がモテると思うけどな。でもそれじゃ澪じゃなくなる気がしたから言うのはやめておいた。
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