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2章
大和の謎の行動
しおりを挟む大和が現れてあんな事を言ってから律はいつも以上に俺から離れなくなった。
ジュースを買う時も、トイレにも着いて来た。
「律ー、大和なんて気にするなよ。久しぶりに俺に会えたから、からかってるだけだって」
「だったとしても許せない」
「大和の奴、ほんとどうしちまったんだろ」
「夏樹がみんなのものとか言ってたけど、分からなくは無いよ。夏樹は人気者だからね。でも望月くんの好きはみんなの好きとは違う」
「そこが難しいよな!友達として好きなら拒否る必要ないだろ?」
「俺は拒否してもいいと思うけど」
「…………」
「望月くんのは明らかに友達としてじゃない」
「でも、本当に大和はあんな奴じゃなかったんだ!もっと大人しくて、人を困らせたりするような奴じゃない」
「でも同一人物なんでしょ?会わない間に何かあって本性が出たんだよきっと」
「そうなんかなぁ?」
「夏樹、まさか望月くんの肩持つの?」
「違うって!何か上手い方法ねぇかなって」
「上手い方法?」
「大和を元に戻す方法!」
「…………」
「あれ?律ー?」
「はぁ、夏樹は何もしなくていいよ。俺が何とかするから」
「何とかって?何するんだ?」
「望月くんて頭悪そうだから、そこを上手く利用するつもり」
「分かった。なら俺はいつも通りにしてればいいんだな?」
「いつも通りって、望月くんと仲良くするの?」
「しないしない!律の嫌がる事はしねぇよ。クラスメイトとしては話すけど」
律に睨まれて焦って言うと、フッと優しく笑った。
こういう律なら俺も楽だからいい。
俺は律に任せる事にした。
「夏樹、俺の事好き?」
「おう!好きだぜ」
「俺も大好き♡あー、早く夏樹とエッチしたいなぁ」
「おまっ!んな大きな声で何言ってんだ!」
「今週末とか出来るかな?お尻、まだ痛い?」
「違和感はあるけど、もう平気だ……だけどまだダメだ!あ!そうだ今度は俺が律のを……」
「夏樹ー、一緒にアイス食べない?俺が買うから」
「ん?おー、食べるけど、今誤魔化さなかったか?」
「コンビニで買ってカップル石の公園で食べようか」
ニッコリ笑う律はいつもの律に見えた。
絶対誤魔化したよな?
何でか律は俺が律を気持ち良くさせようとすると嫌がる。ちょっと痛いけど、それ我慢すれば普通に気持ち良いのに何でだろ?
まぁ次の機会があったらやるけどな。
俺と律はアイスを買って公園のベンチに座った。
「夏樹は夏休み、家族と予定はあるの?」
「ねぇよ!俺、律と遊ぶつもりだったんだけど、律は予定あるのか?」
「嬉しいなぁ♪俺も夏樹と過ごす予定だったんだ」
「楽しみだな!」
「どこか旅行とか行かない?費用は俺が持つから」
「旅行行きたい!でも律にばかり負担掛けられねぇよ……」
「気にしないでよ。俺が自分の使いたい事に使うんだから。どこ行きたい?」
「海!やっぱり夏と言えば海だろ!」
「夏樹の水着姿も見たい……けど、周りに夏樹の半裸を見せる事になる……うーん」
「何ブツブツ言ってんだ?なぁ、律の行きたいとこは?」
「俺はね、どこかの旅館で夏樹と温泉に入りたいんだ。広いお風呂とか楽しそうじゃない?」
「いいな!楽しそうだな!」
「あ、夏樹、アイス溶けてる」
「うわっやべ制服に付く!」
話に夢中になり過ぎて、アイスが溶けて腕を伝っていき制服に垂れそうになった。
何とか垂れ無かったが腕はベトベトになった。
「うわぁ、気持ち悪いから水道で洗ってくる」
「うん。行ってらっしゃい」
トイレにある水道まで行って肘まで水を掛けて洗う。
あ、ハンカチ持ってねぇや。律なら持ってそうだから借りればいいか。
「なっちゃん、タオル貸してあげるよ」
「まじ?サンキュー♪」
俺が腕を振って水滴を落としてるとサッとタオルを手渡された。
ん?なっちゃん?
「って、大和ぉ!?お前何でここに?」
タオルをくれたのはまさかの大和だった。
ニコニコ笑って立ってるけど、いつからここに?
「なっちゃんてば変わらないなぁ。あの頃も俺がよくハンカチ貸したよね」
「大和、お前一人なのか?」
「うん。たまたま通りかかったんだ。なっちゃんが見えたから来てみた」
ニッコリ笑う大和。あの頃はこんな風に笑わなかったから何だか変な感じだ。
「そ、そっか!あ、タオルサンキューな!じゃあ俺戻るから」
「またねなっちゃん」
逃げるようにトイレから出て律の所へ戻る。
着いて来るかと思ったけど、そうじゃないみたいでホッとした。
律には話さない方が良さそうだな。
「おかえり夏樹。ちゃんと洗えた?」
「おう!バッチリ♪」
「あれ、濡れてなくない?どこで拭いたの?」
「へ?あ、親切なお爺さんが居てハンカチ貸してくれたんだよ」
「お爺さん?そんな人、入って行ったかなぁ?」
ヤバいな。バレる前に公園から出よう。
俺は律を連れてさっさと帰る事にした。
「夏樹ってば何か変だよ?」
「あ、アイス食べたら急に寒くなったんだよ!風邪かもしれねぇから今日は帰るな!」
「大丈夫?ちゃんと薬飲んでね?」
心配そうに俺を見て来る律。
嘘ついてるから心が痛い……
それにしても何で大和があそこに居たんだ?
たまたまにしては偶然過ぎないか?
あの公園って少し入った所にあるし、学校の帰り道って訳でもないのに、おかしい。
まさか跡をつけてきたのか?
いや、考え過ぎか……
大和はそんな奴じゃない。
きっと誰かと待ち合わせでもしてたんだろう。
半ば無理矢理そう考えてさっきの出来事を忘れようとした。
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