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2章
我慢のその後
しおりを挟む目を開けるとそこはベッドの上だった。あれ、いつの間に寝てたんだ?寝返りを打つとお尻に激痛が走ってそのまま動けずに居た。
「ってぇ……何だコレ?あ!」
痛みの原因を思い出して俺は一人恥ずかしくなって布団に潜り込んだ。
そうだ、俺ってば律と最後までしたんだ……
初めての経験だったけど、まさかあんなに気持ち良いなんて。思い出しただけで顔から火が出そうだった。
「って、律は?」
いつも一緒に寝ている筈の律の気配が感じない事に気付き、首だけ捻って隣を確認してみるけど、やっぱり居なかった。
てか何時だ?まだ外暗いみたいだけど……
「二時……」
なるべく動きたくなくて手を伸ばしてベッドの横のサイドテーブルに置いてあるスマホで時間を確認した。確か律とベッドに行ったのが十二時前だったから、一時間ぐらい寝たのか?
いつ寝たのかは分からなかったから定かでは無かったけど、そんな事をぼんやり考えてると部屋に律が入って来た。
「律?」
「あれ、起こしちゃった?」
「ううん。さっき起きた。どこ行ってたんだ?」
「喉が渇いたから水飲んで来たよ」
優しい律の声にホッとした。ベッドに入って来た律は動けない俺を後ろから抱き締めてきた。
「夏樹、体大丈夫?」
「ダメだ。動けねぇ」
「頑張ってくれてありがとう♡」
「律もお疲れ様。あ、律は平気なのか?」
「大丈夫だよ」
首を捻って律の方を向くとチュッとキスをされた。
「夏樹、俺今幸せだよ」
「はは、そりゃ良かった。俺もだ」
「こんな幸せがずっと続けばいいのに」
「続くだろ」
「……そうだね」
「律は眠くないのか?」
「少し眠いかも」
「なら寝ようぜ」
「寝たら勿体ない気がして」
「勿体ないって?」
「律とずっとこうしていたいからだよ」
首筋にキスをされてそれがくすぐったくて小さく声を漏らすと律が笑った。
「なぁ、少し話してもいいか?」
「いいよ」
「律はやり方知ってたのか?」
「やり方ってセックス?」
「うん。何かやけに慣れてんなーと思ったから」
「一応調べたからね。それと夏樹を傷付けたくなかったから試した」
「試した?……誰と!?」
「自分でだよ。ローションなんて使った事無かったから、自分のお尻で試したの」
「マジで!?」
律が冗談を言うようには思えないけど、まさかそんな事をしていたなんて……
あれ、想像したら何か悪くねぇかも?
「ちょ、律それヤバい。何か興奮する」
「夏樹の変態ー」
「だって、律が自分でとか……それもあんな事だぞ?」
今さっき律にされた事を思い出して恥ずかしくなった。そっか、律はちゃんと下調べをしてから俺にしてくれたんだな。
「律ありがとう」
「うん。ねぇ、上手く出来たかな?」
「すげぇ気持ち良かった!」
「嬉しい。これからも気持ち良くしてあげるからね♡」
「しばらくは出来そうにねぇけどな」
「えー、毎日でもしたいよー」
痛むお尻を考えて真面目に答えると律は残念そうに言った。冗談だろ?アレを毎日だと?さすがに体がもたねぇよ。
「あ、今度俺も律のお尻やってあげるからな」
「え」
「俺ばかり良くなってたら悪いだろ。やり方教えてくれよな」
「いや、俺は十分気持ち良いんだけど」
「まぁ初めは恥ずかしいけど、慣れればそんなの気にならなくなるから」
「……夏樹、そろそろ寝ようか♡」
「ん?そうだな」
何か誤魔化されたような?まぁいいか。今日ってかもう昨日か。お互い遊園地ではしゃいでその後も慣れない事して疲れたしな。
最後に律にキスをしようと思い切って寝返りを打って向き合う体勢になった。
「ふぅ、腰もやられたか」
「夏樹の腰とお尻が治るまでお世話してあげる♡」
「そりゃ頼もしいや。律、おやすみ」
「ん。おやすみ夏樹♡」
俺からキスをすると、暗がりで律の笑顔が薄っすら見えた。
俺のイケメン彼氏。いつでもカッコよくて、優しくて、何でも出来て、でもすげぇヤキモチ焼きで、俺以外にはあっさりしてるそんな彼氏。
律自身にいろいろ問題もあって不安定な男だけど、それでも俺は律がいいと思った。
面倒くさがりだった俺を変えた律。
これからもずっと一緒に居たい。
心からそう思って再び眠りについた。
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