36 / 52
2章
心の変化
しおりを挟む律の住むマンションに着くなり抱き締められた。身動きが取れず困ってると、首にキスをされた。
「律、とりあえず中入ろ?」
「んー、ずっとくっ付いていたい」
「分かったから。今日はずっとくっ付いていような」
「うん♡」
俺がそう言うと、嬉しそうにニッコリ笑った。そんな律が可愛いくて俺からギューってしてやった。
「もーお前可愛い!」
「可愛い?かっこいいじゃなくて?」
「何か今可愛いって思った」
「悪くないかも?でもかっこいいがいいなぁ」
「律のかっこいいは標準装備だろ」
「あは、装備って何ー?夏樹面白い」
話しながらリビングに行く。律んちにも慣れたもんで、もう勝手に風呂まで沸かせるようになった。湯張のタイマーを掛けてその間に寝室に行って着替えたりいろいろ済ませる。
その間も律は俺にベッタリ張り付いていた。
「律さーん、ちょっと動きにくいんだが」
「今日はずっとくっ付いてるって言ったじゃん」
「言ったけど、限度があるだろ。これじゃ何も出来ねぇよ」
「何かしたいなら俺がしてあげる♡」
「全く、じゃあ喉が乾いたからコーヒー作ってよ」
「はーい♡」
俺が言うと嬉しそうにリビングに向かう律。やっと離れたか。離れて欲しい訳じゃないけど、くっ付かれてると動きにくい時があるから着替える時とかはこうして一人の方が効率がいいんだ。
着替え終わってリビングに行くと買っておいたインスタントコーヒーのいい匂いがした。
「夏樹出来たよー♡」
「サンキュー。っと、また電話?」
淹れて貰ったコーヒーを飲もうとカウンターのとこに行くと置いておいたスマホが光ってるのに気付いた。
今度はメッセージだったみたいだ。
「メッセージ?澪かな」
「なんてー?」
「……あ、違う」
「誰から!?」
「大和だ」
「…………」
俺が名前を言うと律の顔が強張った。内容は「こんばんは!大和だよ。番号、澪くんに聞いちゃった♪さっきの電話も俺だよ。今日誕生日だったんだね。おめでとう♪これからもよろしくね」ってメッセージだった。
相手が誰だか分かったから俺はホッとしたけど、律はそう言う訳にはいかないみたいで、メッセージの内容も見せたけど、少し元気が無くなったように見えた。
「律、この通り大和は悪い奴じゃないんだ。律も仲良くなれるから」
「俺は夏樹がいればいい。仲良くなれなくてもいい」
「はぁ、分かった。俺が悪かったよ。今度からは一緒にいる時はスマホとか見ないようにするよ。そうすれば律も気にしなくて済むだろ?」
「ううん。俺が悪いんだよ。緊急の時もあるだろうし、見てもいいよ。……ごめんね」
「律ー!元気出せよ!ほら、まだ俺の誕生日は終わってないだろ?律の笑顔見せてくれよー」
しょんぼりする律に近寄って頭を撫でてあげると、俯いたまま上目遣いで見て来た。
いつもと違う律の表情にドキッとしてしまう。
本当にかっこいいなこいつ。
「なぁ律、キスしたい」
「えっうん!」
俺の言葉に驚いた顔をして慌ててキスをしてくれた。誤魔化すとかじゃない。本当にしたかったからだ。
「律!早くお風呂入ろう!」
「え、コーヒーは?」
「出たら飲む!」
律の腕を引っ張ってお風呂に連れて行く。
なんだろう、やけに律とイチャイチャしたい気分だ。
律と風呂に入るのはもう慣れたけど、俺から引っ張って行く事はないから変な感じで、律も驚きながらも嬉しそうだった。
この時の俺はまだ気付いていないけど、きっと俺も律の事が欲しかったんだと思う。
律のいろいろな表情に心が動いて、改めて大切さに気付く。
俺の配慮が欠けていたのかもな。律を傷付けないように、もう少し気をつけよう。
1
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる