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One more time.【野崎楓編】
1.恋
しおりを挟む俺、野崎楓は中学の頃好きだった親友と仲直りが出来て心から喜んでいた。
その親友の名前は秋山貴哉だ。
貴哉とは小学校の頃からずっと一緒だった。そして俺は貴哉の事が好きだった。
だから高校が離れてしまったのは悲しかったけれど、改めて仲直り出来たから気にしないようにしている。
初めは貴哉も同じ光陽高校を受ける予定だったんだ。と言うか俺が貴哉と同じ高校に行きたくて、貴哉が選んだ光陽にしたんだけど、中学三年の大晦日の日に俺と貴哉は分裂した。
理由は俺がずっと秘めていた想いを伝えたから。その時は仲間内で酒を飲んでたって言うのもあって、勢いで告白してしまったんだけど、あの時その告白が無ければと今でも考える事はある。
そしてたまたま貴哉と再会した時に仲直りが出来たんだけど、驚く事に貴哉が謝って来たんだ。あの貴哉がだ。
と言うのも、俺の中での貴哉っていつも何をするにも面倒くさがってて、自分の好きな事しかやらないそんな人。いつもダルそうにしていて、格好とかもちゃんとしてるの見た事が無いぐらいだらしないヤンキー。でも綺麗な顔をしていて、好きな事をやってる時は子供のようにはしゃぐんだ。
俺はそんな貴哉の事が小さい頃からずっと好きだった。
でも振られた。
ちなみに貴哉はここら辺じゃトップレベルの城山高校に受かっている。貴哉は見た目と性格通り勉強は出来ない。城山を選んだ理由は貴哉の性格からして家から近いからだろう。
にしても受かった事に本当に驚いた。
貴哉が急遽進路を変えたのは俺が原因だろう。
大晦日以来一言も交わす事が無くなって、そのままお互い卒業して行ったんだ。
「あー、楓ニヤけてるー。ヤラシ~」
「恋……」
いつの間にか側にいた恋に言われて口元を隠す。
山岸恋。高校に入って仲良くなった男で、金に近い明るい茶髪で、フワッとした癖っ毛が特徴的だ。本人は気にしてるみたいだけど、俺からしたら可愛いと思う。
そう、恋は貴哉に似ていた。楽しい事があれば心から笑って、嫌な事があれば見て分かるぐらいに怒る。勉強の出来なさ具合も同じぐらいだ。
そして恋と俺は付き合っている。
初めは貴哉に振られた事もあって抵抗があったが、恋から告白されて恋人同士になった。
「あ、もしかして貴哉の事思い出してんのか!?」
ムッとした顔をして腕を組んで怒り出した。
貴哉との事は恋には話してあるんだ。恋と貴哉は直接は会った事はないけど、どうやらライバルだと思い込んでるらしい。
「違うよ。恋がテストで赤だらけだったの思い出してたんだ」
「人の不幸を笑ってやがったのか!どちらにしても許せん!」
「はは、今日補習なんだろ?待ってるからな」
「おう!」
恋といると本当に貴哉といたあの頃を思い出す。誰にでも態度を変えない所もだけど、俺とこうしてずっと一緒にいてくれる所なんかも似ている。あと、仲間思いで情に厚い所なんかも似てるな。
貴哉と似てない所を言えば、恋は結構恋愛に対して積極的だ。貴哉とはそう言う話はした事がない。高校に入って貴哉にも彼氏が出来たって聞いたから今はどうか分からないけど、貴哉はそう言うのは興味がないと思っていたんだ。
恋には二個下の妹がいて、妹に良く少女漫画を借りて読んでるらしい。そうしている内に少女漫画にハマって今では自分でも買って読んでるとか。
貴哉なら絶対やらないよなそんな事。
「あ、そう言えば、羽賀達が補習終わったらカラオケ行こうって言ってたんだ。俺らどーする?」
羽賀達とは、同じクラスの一緒に連んでる奴らの事。俺は別に構わないけど……
「恋と二人で過ごしたいな」
「!……わ、分かった!断っておくな!」
恋は顔を赤くして困ったように笑ってそう言った。こう言うと恋は喜ぶ。
周りから見たら俺はクールに見えるらしく、あまり自分の感情を出さないらしい。
その事で一度恋に怒られた事があるんだ。だから好きとかそういうのは分かるように伝えるように心がけている。
恋は何かを言いたそうにして、俺の様子を伺い聞いて来た。
「なぁ、今日家来るか?」
「行くー」
俺が答えると嬉しそうにパァッと笑って、機嫌良さそうにしていた。
俺もこれぐらい感情が出せれば怒られないんだろうなぁ。
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