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クズとピアスと友達と【雉岡吉乃編】
4.友達に翻弄される
しおりを挟む「さっき嫌われ者同士って言ってたけどよ」
「うん?」
「確かに二人共周りからは少し嫌煙されてるよ。でも二人の事を好きだって言う奴はいるだろ?だから嫌われ者って言う表現は間違ってねぇか?」
「何を言うかと思えば。確かにきじーの言う通りだね。でもさ、俺も茜ちゃんも万人受けするって言ったらノーだよね?むしろ嫌い派が多いと思うし」
「そんな事言ったら俺だってそうだ。元々イタズラとか好きだし、誠也の指示とは言えいろんな奴に恨まれるような事もして来た。じゃあ俺も嫌われ者って事か?」
「そうなるね。三人の中できじーの立ち位置は情報屋、補助的な役割で合ってるかな?見ている限り直接的な恨まれるような事はしていなかったと思うけど」
「……ああそうだ」
これには驚いた。一条は俺達三人の事を見ていたと言うのか?教室にいなかったのに、良く知ってんなぁと感心しました。
確かに誠也とトモが派手にやりたがって目立ってはいたと思うけど……
「きじーは見張りとかやっていたけど、それは指示されたからじゃなくて、自らそうなるように行動していたんじゃない?多分きじーはクズの事は好きだけど、自分がそうなるのは嫌なんじゃないかな」
「はは、噂通りだな一条は。自分では自覚無かったけど、確かにいじめとか興味なかったよ。いじめるあいつらを見てるのが楽しかっただけ。見てるだけとか結局いじめてるのと変わらなねぇけどな」
一条の見事な推理に俺は面白くなって笑いました。きっと一条の言う通りなんだろうな。俺は自分の手は汚さずに誰かがクズになるのを黙って見ていた。
そんなの誰よも自分がクズじゃないですか。
「この前俺が放送で謝罪したでしょ?その時俺も誰かを使って貴ちゃんといーくんを追い詰めたんだ。その前にも第三者を使って下準備をしていた。つまり俺もきじーと変わらないって事♪って事で俺達友達にならない?」
スラスラと言葉を発する一条はこの前の事件の事を軽く説明してくれました。
確かに写真をばら撒いた犯人がいたのは知ってる。てかそれを特定したのって一条でしたよね?そんでその人を裏で操ってたのが一条だったって事ですよね?
なんともまぁ知れば知る程面白い人間ですわ。
俺は嫌いじゃないですよ。
そして一条は最後は少し照れたように言いました。そんな一条がおかしくて俺は大きな声を出して笑ってしまった。
「あはは!何でそうなるんだよ!一条って面白ぇのな♪ん、いいぜ~。俺達はもう友達だ友達~」
「あ」
笑うと一条の視線が俺の口元に行った。
あ、多分コレですね。舌に付けたピアスでしょう。俺はピアスが好きで、耳以外にも良く付けてます。そろそろ他にも開けようかと思ってる所です。
一条は物珍しそうにグイッと体を近付けて俺のベロを良く見ようとしていました。
「ねぇ、それ痛くないの?」
「もう痛くねぇけど、麺類とか食べにくい」
「えー、じゃあ何で付けるの?意味は何ー?」
「ちょ、ぐいぐい来るね、意味なんてねぇよ。こんなの自己満だろ」
「ふーん。ピアスって日本人とかはファッション的な意味で付ける人が多いけど、舌とかのって見えないから意味を知りたかったの。ねぇ、もっと良く見せて?」
「はいはい」
言われるがまま、ベロをベーっとだしてあげると、子供が初めて見るおもちゃを見るかのような笑顔を見せた。そして触ろうとして来たからさすがにベロを引っ込めました。
「あ、触るのはダメ?」
「普通触らなくね?」
「どうやって付いてるのかなぁって。ねぇ他にはどこに付いてるのー?」
「一条って、勉強熱心なんだな」
「初めての事を知るのは好きだよ。俺って人より記憶力良いからずっと覚えてられるし。そこから新しい発見もあるからね~。ねぇ、ピアス見せてよ」
「はぁ、続きは後でな。そろそろ部活戻るわ。リーダーに怒られちまう」
「そっか。部活、頑張ってね」
ベンチから立ち上がると、一条は寂しそうな顔をした。この子わざとしてるんですかね?そうだとしたら才能ですけど。
俺はなんとなく罪悪感が沸いたから頭をポンとしてあげました。
すると一条は照れたように笑って立ち上がって帰って行きました。
もしかしたら一条が謝罪の時にみんなに言っていた「羨ましかった」ってのは本当なのかも知れませんね。
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