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クズとピアスと友達と【雉岡吉乃編】
3.笑顔に翻弄される
しおりを挟む今日の部活は騒がしかった。
何でもこの前の騒動の原因の二人が今日から復帰したからだ。二人揃って裏方にまで挨拶に来たのには驚きました。
秋山には夏休み中にあったバーベキューん時に酷い事したから俺達は謝るつもりだったけど、まさか秋山達も演劇部に謝ろうと思っていたなんて。
秋山と桐原が俺らがいる教室から出て行った後、各々作業に戻った。
「にしても秋山の奴やるじゃん♪見直したぜ」
「本当だなー。めちゃくちゃ良い奴じゃん」
「さすが茜ちゃんが認める男なだけはあるな!」
「あ、そういや茜ちゃんが今日更衣室使いたがってたな」
「まじ?衣装の直しとかあったのかな?」
「さぁ」
「それよりもさ、茜ちゃんのとこに一条が来てるぞ♪」
ニヤニヤ笑いながらそう言う誠也。だから何だって言うんだ。
「茜ちゃんと一条って仲良いんだぜ。昼休みも一緒にいるらしい」
「へー、意外な組み合わせだな」
そんな話をしていたら茜ちゃんが秋山を連れてやって来た。誠也は茜ちゃんに気付くとすぐに近寄って行き、話し始めた。
桃山がいない時じゃないと話せませんもんね~。
俺は俺で仕事に戻ろうとさっきまでやっていた事を思い出す。あ、俺薗田さんに小道具の確認しに行く所だったんだ。
俺は一人で廊下に出ると、トモがまだ倒れているのに気付く。また秋山が来たぞって言ったら飛び起きそうだな♪
俺はイタズラしてやろうかと思って横たわるトモに歩み寄ろうとして途中で足を止めた。
なんと!真っ赤な髪の桐原が再び登場!
誰かと電話をしていたのか、スマホを持ってこちらに近付いて来る。そして俺とトモに気付いてスマホをポケットにしまった。
「何だよ、猿野ってばまだそんなとこにいたのかよ」
「桐原は何してんの?裏方に用なの?」
「犬飼に呼び出されたんだよ。衣装合わせするんだと」
「あ、だから更衣室使いたがってたのか」
「んじゃちょっくら邪魔するぜ~」
桐原は倒れてるトモをそのままにして中に入って行った。こりゃトモを起こさない方が良さそうですね~。
「きじー?そこで何してるのー?」
「へ?あ、一条じゃん」
呼ばれて振り向くと、一条がニコニコ笑顔で立っていた。そういや一条が来てるって誠也が言ってたな。
倒れてるトモに気付くと、楽しそうに近寄って来た。
「あはは♪猿野ってば何でこんなとこで寝てるのー?」
「秋山に突進して失敗したんだよ」
「貴ちゃんに?そう言えば貴ちゃん衣装合わせしてるんでしょ?俺も見たかったな~」
「見ればいいじゃん。今中にいるよ」
「茜ちゃんに止められたのー。貴ちゃんが嫌がるからって。茜ちゃんも貴ちゃんも戻って来ないし帰ろうかなって思って」
「そうだったんだ。一条って茜ちゃんと仲良いの?」
「うん♪最近仲良くなったのー♪」
「ふーん」
ここで一条がニヤリと笑った。
お、久しぶりに見ましたね~。この小悪魔みたいな笑い。
「きじーってばやきもちー?」
「……それ笑った方がいい?」
「もー!冗談じゃんっ」
「やきもちってか意外だったから気になっただけ。一条と茜ちゃんとか珍しい組み合わせだから」
「そう?嫌われ者同士で良い組み合わせじゃない?」
一条は笑顔のままだったけど、少し寂しそうな笑顔に見えました。
だから俺はそっとトモを起こして中に入れました。
「トモー。今秋山が来てるぞー」
「秋山!!今度こそ抱き締めてやる!!」
さっきまでピクリとも動かなかった癖に「秋山」ってワードを出した途端起きるとか単純過ぎて笑えますわ。
ドアを勢い良く開けて中に入って行くトモを見送った。
さて、一条はどうしますかね。
「なぁもう帰るんだろ?少し付き合えよ」
「いいよー」
俺は一条を連れて少し歩いて、食堂近くのベンチに並んで座った。
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