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2章 球技大会
目が腫れてる。泣いてたの?
しおりを挟む鐘が鳴った後に教室へ戻ると、授業は既に始まっていて、授業を見ていた先生に注意された後机に着くと、直登と数馬に心配された。
「貴哉?どうしたの?何があったのー?」
「ちょっとな……」
「目が腫れてる。泣いてたの?」
数馬に心配そうに聞かれて、俺はそのまま机に伏せた。それ以上は何も言われなかったから午後の授業はずっとそれで過ごしていた。
散々泣いたから酷ぇ顔してんだろうな俺。他のクラスの奴もチラチラ気にしてやがる。
そういや空どうしたかな……
ちゃんと寝てっかな?
俺からも連絡してねぇから今日本当に泊まりに行っていいのか分からねぇや。
でも今は空に連絡する気が起きなかった。
今は一人でいたかった。てか何もしたくねぇ。
ずっとボーッと過ごしてたらいつの間にか放課後になってた。
数馬に声を掛けられて気付いたけど、俺寝てたのか?ってぐらい記憶がねぇや。
「貴哉、部活だよ」
「んー、そうだな。演劇部行くかぁ」
「一人で行ける?一緒に行こうか?」
今度は直登が心配そうに聞いて来た。
行ける訳ねぇだろ。伊織もいるんだから。
「やっぱ今日は帰るわ。ボラ部の部長に言っといてくんね?演劇部には茜に連絡しておく」
「貴哉……」
二人はそれ以上は何も言わなかった。
俺は一人で教室を出て廊下を歩いた。
あ、茜に連絡しなきゃ。スマホを出して茜の連絡先を出す……
はぁ、何やってんだ俺。
文化祭までもうすぐなのに、今部活休んだりしたら演劇部の助っ人の意味ねぇじゃん。
すげぇダルくて面倒くせぇけど、行くか~。
スマホをズボンのポケットにしまって演劇部部室を目指す。
伊織と顔を合わせるかもしれねぇけど、普通にしてりゃいい。いつもみたいにしてれば……
あいつはいつもみたいにしてくれるかな?
たまにわざと冷たくしたりするけど、それやらねぇよな?
もし今そんなのされたら俺、みんなの前で泣いちまうぞ?
あ、伊織の事考えたらまた泣きそう。
くそー、あと少しで茜の部屋に着くのに。
こんなんで文化祭までやり遂げられるんかなぁ。
演劇部部室に近付いて行く中、いつもより静かに感じる廊下だった。
誰もいない廊下。
ふと中庭が見えた。
誰かが花壇で何かをしていた。
あ、元ボラ部部長だった三年の渡辺だ。
メガネを掛けているけど、結構雑な性格で部長らしい事をしてる所は見た事がないけど、いつもああやって花壇とか草むしりしてる姿は良く見かけた。
「…………」
俺はふと歩いて行く方向を変えてその渡辺がいる花壇へ向かっていた。
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