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2章 球技大会
明日思い切り甘えさせてやっから!な?
しおりを挟む桃山参戦の体育で、藤野に教えてもらいながら人生初めてのテニスをやってみた。
うん、めっちゃ動くし、しんどいな!
ルールを知らないから、めちゃくちゃだったけど、本番ではダブルスって言って藤野もいてくれるから何とかなるかなーって感じか?
てか藤野の奴が驚くほどに上手かったんだ!あの何でも出来る桃山相手にあそこまでやり合うなんてな!
体育も終わり、桃山も戻って行ったから俺と藤野も教室へ戻る事にした。
「藤野!めちゃくちゃ楽しかったな!明日俺のラケット持って来てくれよな!」
「うん。持ってくるよ。秋山は放課後は部活だよね?授業以外でも練習したいと思ってるんだけど、時間作れたりする?」
「作る作る!放課後は部活あるけど、土日はねぇからよ♪」
「じゃあ土曜日とかどう?テニスコート借りられる所知ってるから予約しておくよ」
「まじ!?楽しみだな♪」
「あはは、秋山って本当子供みたいだな」
「ムッ!それ褒めてねぇよな?」
「あ、ごめん。羨ましいなって思って。楽しい事をして素直に楽しいって言える事が」
「はぁ?そんなの普通だろ?」
「…………」
「藤野もテニス楽しいだろ?桃山とやってる時のお前、すげぇ楽しそうだったぞ」
「うん。凄く楽しかったよ。でも俺、テニス辞めたからさ」
「どうして辞めちゃったんだ!?めちゃくちゃ上手いのに勿体ねぇ」
そういや、球技大会もバレーやるつもりだったんだよな?藤野とはほぼ初めて話すから何も分からねぇや。
「テニスは小学校低学年からやってたんだ。そのまま中学でもテニス部に入って、大会とかにも出てたんだ。とても好きだったよ」
「好き、じゃなくて?好きだったなのか?」
「……そうだね」
「ふーん。いろいろあったんだな。じゃあ球技大会でテニスやるの本当は嫌とか?」
「嫌ではないよ。二人と久しぶりにテニスをやって、やっぱり楽しいなって思えたし。早く秋山とテニスやりたいなって思うよ」
「本当か!?俺もだ♪正直、球技大会はダルいと思ってたんだ。でも茜と対戦出来るし、あと優勝すれば食堂の無料券貰えるんだぜ?」
「そっか。それなら何が何でも優勝しないとな」
「おう!一緒に頑張ろうぜ♪」
「俺が秋山を優勝させてあげる♪ねぇ、連絡先教えてくれない?土曜日とかの時間とか相談したいから」
「そうだな!朝早くなければ何時でもいいぜ~」
休みの日はゆっくり寝てたいからな。
にしてもちょっとテニス知れたし、藤野とも上手くやれそうだし、球技大会が楽しみだぜ~♪
教室に戻ると俺と藤野はそれぞれの席に戻ってそれぞれ着替える。既に戻って来ていた直登達はぐったりしていた。
「何だよお前ら、ダルそうじゃん」
「もー、聞いてよ貴哉~!空くんがさ~!」
「空?何かあったのか?」
空と直登と数馬はバスケだった筈。空が何かやったのか?
「何かすっごい張り切ってんの!俺達は緩く楽しみながらやりたいのに、そんなんじゃダメだーとか熱血ぶって、バスケどころじゃなかったんだよ~」
「空怖かった……俺、バスケやりたくない……」
「マジか。ちょっと説教してくるわ」
空の奴、俺がかっこいいところ見たいとか言ったから空回ってんのかよ。まぁ俺がテニスの相方に選ばなかったのも気にしてるみてぇだしな。
俺はワイシャツのボタンを締めながら、空が座ってる席の前の椅子に座る。
俺に気付いた空はスマホを見てたみたいで、パァッと笑顔で顔を上げた。
チラッと見えたスマホの画面には「初心者でも分かるバスケのルール」と出てた。
俺はそんな空が可愛いく思えて説教する気が遠のいた。
「貴哉♪テニスどうだった!?」
「楽しかったよ。お前は?直登達が悲鳴上げてっけど」
「あいつらやる気ねぇんだ。だから俺が根性鍛えてやった!」
「はは、ほどほどにしてやれよ。バスケは一人じゃ出来ねぇだろ」
「だって!真剣にやらなきゃ勝てねぇじゃん!」
「どうせなら勝ちてぇよな。でも、負けたとしても俺は空の事かっこいいって思うぜ?だったら楽しんだ方が良くね?」
「貴哉……♡」
「だからあいつらの事あんまイジメんなよ。今度様子見に行くからよ」
「貴哉好き過ぎー♡なぁ、今日貴哉んち寄っていい?」
甘えるように聞いてくる空。こいつヤリてぇんだなって分かった。
「まだ木曜じゃん。明日にしようぜ」
「貴哉不足だよ~!」
「明日思い切り甘えさせてやっから!な?」
「ううー。分かった!」
何とか空をなだめて、俺は自分の席に戻った。
明日の体育は少し様子見てやるか!
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