78 / 148
1章 写真ばら撒き事件編
※最強の立会人
しおりを挟む※紘夢side
葵くんの言っていた「最強の立会人」「強力な味方」って……
「やあ一条くん、君黒髪も似合うね~。うん!僕は黒髪の方がいいと思う!ね?神凪くん?」
「教頭先生の事ー!?」
葵くんについて行くと、そこは放送室で、中には既に人が一人。なんと、教頭先生が椅子に座ってニコニコ笑っていたんだ。
「実は既に教頭先生には話してあったんだ。今回の件の事全てをな。後は何とかしてお前をここに連れて来る事だったんだが、まさかの紘夢からの申し出にすんなり事が済んだ」
「神凪くんは本当に良く周りの事を考えているよね。まぁ僕もいつでも協力出来る訳じゃないからね。午後からちょっと外に出なくてはならなくてね。さっき連絡を貰って急いで来たんだよ。だから時間は限られている。それでもいいかね?一条くん」
「あ、葵くんてば凄すぎー!俺でも予想出来なかったよこれは!あ、はい!数分頂ければ十分です!お忙しいのにすみません!」
「あ、せっかくだから授業始まるまで待とうか?後少しでチャイムが鳴るから、そしたらまずは私から全校に話そう。今回の件で一条くんが謝りたがっている事をね。各担当の先生達にも理解してもらわないとだし、そしたらその後は好きに話したらいいよ」
「そうしていただけると助かります。全校生徒にも落ち着いて聞いてもらいたいですからね」
「本当はこの黒髪の一条くんを見てもらいながら聞いて欲しかったね~!体育館で全校集会ってのも悪くなかったかもね♪」
「じゅ、十分です!」
この二人は終始楽しそうに話してるけど、俺にとっちゃ一大事よ?
まぁ全校生徒の前で話すのなんて今までいろんな場所で、いろんな人達の前でスピーチとかして来たから容易いけど……でも、何だろうな。こういう事に慣れてる筈なのに、今は手が震えてる。
はは、こんなの初めてだ。
顔は見えない。だから声だけで伝えなくちゃいけない。その場合の対処方も分かってる。
だけど、俺は今までのどんな演説よりも、体が震えていて、結果も分かっているのに不安だった。
この俺をここまでにさせるなんて、みんなやるじゃん……
今のこの状況が俺にはおかしくて笑えた。
自分が見下していた人達にこんな気持ちにさせられるなんて。
ああ俺は負けたんだ。
この学校にいる全員に負けた……
初めて味わう敗北感に俺は目を閉じて深呼吸をしていた。
うん。この気持ちも悪くない。
居心地は良くないけど、次は繰り返さないようにって気持ちになれる。
綺麗事かもしれないけど、今までのどんな勉強よりも為になった気がする。
今この場にいれるのは自分一人の力じゃ無理だった。
何でも出来るなんて傲慢に考えていたから良く分かったよ。
葵くん、教頭先生、ありがとう。
そして貴ちゃん。俺をこんな気持ちにさせてくれて本当にありがとう。大好きだよ。
その後授業の始まりを告げる鐘が鳴って、教頭先生がマイクのスイッチを入れて校内放送を始めた。
俺は今までこの学校でして来た事を走馬灯のように思い出していた。
俺の記憶力は鮮明だ。
物心ついた頃からの記憶なら綺麗に覚えている。
教頭先生が話終わるのを思い出しながら落ち着いて待っていた。
「……では一条くん、どうぞ」
一通り話終わった教頭先生に席を譲られてマイクの前に座ろうとしたが、そのまま椅子を退けて俺は立ったままマイクスタンドからマイクを外して手に持った。
教頭先生はニッコリ笑って後ろに下がって葵くんの隣に並んだ。
そして俺の謝罪放送は始まった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
アルファポリスでホクホク計画~実録・投稿インセンティブで稼ぐ☆ 初書籍発売中 ☆第16回恋愛小説大賞奨励賞受賞(22年12月16205)
天田れおぽん
エッセイ・ノンフィクション
~ これは、投稿インセンティブを稼ぎながら10万文字かける人を目指す戦いの記録である ~
アルファポリスでお小遣いを稼ぐと決めた私がやったこと、感じたことを綴ったエッセイ
文章を書いているんだから、自分の文章で稼いだお金で本が買いたい。
投稿インセンティブを稼ぎたい。
ついでに長編書ける人になりたい。
10万文字が目安なのは分かるけど、なかなか10万文字が書けない。
そんな私がアルファポリスでやったこと、感じたことを綴ったエッセイです。
。o○。o○゚・*:.。. .。.:*・゜○o。○o。゚・*:.。. .。.:*・゜。o○。o○゚・*:.。.
初書籍「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」が、レジーナブックスさまより発売中です。
月戸先生による可愛く美しいイラストと共にお楽しみいただけます。
清楚系イケオジ辺境伯アレクサンドロ(笑)と、頑張り屋さんの悪役令嬢(?)クラウディアの物語。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
。o○。o○゚・*:.。. .。.:*・゜○o。○o。゚・*:.。. .。.:*・゜。o○。o○゚・*:.。.
愛を乞う獣【完】
雪乃
恋愛
「愛してる、ルーシー」
違う誰かの香りをまとって、あなたはわたしに愛をささやく。
わたしではあなたを繋ぎ止めることがどうしてもできなかった。
わかっていたのに。
ただの人間のわたしでは、引き留めることなどできない。
もう、終わりにしましょう。
※相変わらずゆるゆるです。R18。なんでもあり。
アルファポリス収益報告書 初心者の1ヶ月の収入 お小遣い稼ぎ(投稿インセンティブ)スコアの換金&アクセス数を増やす方法 表紙作成について
黒川蓮
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスさんで素人が投稿を始めて約2ヶ月。書いたらいくら稼げたか?24hポイントと獲得したスコアの換金方法について。アルファポリスを利用しようか迷っている方の参考になればと思い書いてみました。その後1ヶ月経過、実践してみてアクセスが増えたこと、やると増えそうなことの予想も書いています。ついでに、小説家になるためという話や表紙作成方法も書いてみましたm(__)m
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
勇者のママは環の婚礼を魔王様と
蛮野晩
BL
『勇者のママは今日も魔王様と』の3作目です。
1作目『勇者のママは今日も魔王様と』
2作目『勇者のママは海で魔王様と』
上記2作も公開中です。
ブレイラは魔王ハウストと婚約して王妃になる為の準備を進めていた。
儀礼作法や儀式作法などを学びながら、王妃外交の一環としてハウストの視察に同行させてもらったりする。
しかし神格の存在である三界の王に嫁ぐということは簡単なことではない。普通の人間が魔王の妃になるのは有史時代初のことで、魔界は前代未聞の事態をすんなり受け入れた訳ではないのだ。
そして魔王と勇者も親子関係になることに困惑していた。
そんな中、人間界にある砂漠の都が一夜にして消えてしまった。
この奇怪な現象に人間は恐れおののき、勇者イスラに真相解明を嘆願する。モルカナ国の騒動(※『勇者のママは海で魔王様と』参照)で人間界の人々の間に勇者誕生が正式に知れ渡っていたのだ。
消えた都の謎を追って人間界の砂漠へ行くと、そこに冥界の怪物オークが出現していた。
存在してはならない世界・冥界の影がじわじわと人間界に忍び寄る……。
※タイトルは環(かん)の婚礼と読みます。
※今後ブレイラがハウスト以外に性的に襲われることが多々あります。しかし私はカプ固定派なので最後まで襲われてしまうことはありません。
表紙イラスト@阿部十四さん
Owl's Anima
おくむらなをし
SF
◇戦闘シーン等に残酷な描写が含まれます。閲覧にはご注意ください。
高校生の沙織は、4月の始業式の日に、謎の機体の墜落に遭遇する。
そして、すべての大切な人を失う。
沙織は、地球の存亡をかけた戦いに巻き込まれていく。
◇この物語はフィクションです。全29話、完結済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる