【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

pino

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1章 写真ばら撒き事件

※俺のせいで乱れる茜とか最高♡

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 ※湊side

 アカン。
 アカンアカン。

 茜にビンタされた。

 茜はどうして俺を殴った?
 それは俺が暴れたから。
 ダメだって言われてたのに、楽しくてやっちゃった。
 
 正直、茜に殴られた時、ゾクゾクしたんだよ。
 あ、俺Mなんだって分かった瞬間ね。
 でもそれよりも茜に嫌われた事が頭から離れねぇ。
 もう殴らないって約束したのに、人を殴っちまったから。

 茜に殴られるのはいい。嫌われるのは嫌だ。
 でも暴れたい。楽しい事したい。
 
 俺どうする?

 そんな事を考えてたらいつの間にか放課後になっていた。
 部活に行く気にもなんねーし、今日は帰るかなー。


「どーせ茜は部活だもんなぁ」


 どうするか椅子に座ったまま考えていると、机の中にくしゃくしゃになった紙が入ってるのが目に入った。
 小平が作った署名の紙だ。
 まだ空白のままの紙。
 正直こんなの集めて意味あるのかね?
 茜がやる気満々だから合わせてたけど、こんなの俺が真面目にやる訳ねぇだろ。
 第一わらわらと人が集まり過ぎなんだ。俺と茜だけだったのに、小平が現れて、謎の三人トリオまで出て来やがって。

 ムカつく。
 あいつらのせいで俺が茜に怒られたんだ。
 あいつらが出て来なければ茜と二人で仲良く出来てたんだ。

 特に犬飼な。あいつ茜の事気に入ってやがるんだ。茜に隠れた魅力があるのは俺がよーく知ってるぜ?だけど、他の奴がそれに気付くのは許せねぇ。小平にはもう死刑宣告してあるから、執行待ちなんだけど、次は犬飼だ。
 あいつは小平と違って凶悪だからな、小平より死刑執行を早めてやらねぇと。


「湊」


 ああ、茜の事が好き過ぎて幻覚見えて来たぜ。
 茜が不機嫌そうに俺の目の前に仁王立ちしてる。
 そんな茜も可愛いくて俺はうっとり見てしまう。


「おい湊!」

「ん?幻覚じゃねぇの?」


 なんと、幻覚だと思っていた茜は本物だったようで、俺を呼んでるのに返事をしないから怒ってるみたいだった。


「って茜じゃん♡」

「じゃん、じゃねぇよ。人がずっと呼んでるのに何ボーッとしてんだ」

「どしたのー?茜から会いに来てくれるなんて珍しい」

「昼休みに殴って悪かった。それだけだ。じゃあな」


 いつもの茜だった。
 いつものように要件だけ言って立ち去ろうとする茜。
 俺はすかさず腕を掴んで茜を足止めした。


「待ってよ。俺も謝りたい」

「部活行くんだよ。お前長くなりそうだから後で聞く」

「短くするから!」

「……一緒に帰るだろ。そん時でいい」

「茜ぇ♡大好き♡」


 ちょっと小声で言う茜が可愛いくて抱きしめようとしたら逃げられた。
 うわぁいつもの茜だー♡
 自動的に俺も部活行く事になっちゃったけど、茜と帰れるならいいや~♡


「またな」

「おう!今日も迎え行くからな♪」


 なんだぁ♡茜普通じゃん♡
 心配して損した~♪
 
 俺はルンルン気分でデザイン部へ向かう。
 被服室へ入ると、みんな俺を見てゲッという顔をしたり、一度はこっち見るけど慌てて視線を逸らしたり、うん。いつも通りだな。

 気にせずいつもの奥の窓際の端っこに座って俺は持って来た鞄から雑誌を取り出して広げる。
 うーん、今年の流行りって微妙だよな~。センスねぇよ絶対。
 俺は一応デザイン系の専門に行くつもりだ。だからそれっぽい勉強はしてる。だから部活もデザインの名前で選んだ。俺は昔から服を作るのが趣味の姉ちゃんにこき使われてたからミシンとか裁縫系は一通り出来る。普通に楽しいしな。
 だからデザイン部も悪くねぇよ。

 イヤホンを取り出して音楽でも聞こうとしていると、草間に声を掛けられた。こいつは同じ二年のキノコ頭。柄物のカーディガン着たり、いつも奇抜な格好してんだ。個性的な奴は好きだよ。


「桃、これ二之宮に渡しておいてくれないか?」

「茜に?」


 茜の名前が出て来てちょっとテンション上がった。こいつは茜の事を普通のクラスメイトだと思ってるみたいだから別に嫌な気はしねぇ。

 渡された紙を見てみると、俺の机の中にくしゃくしゃになって入ってる署名の紙と同じやつだった。こっちにはいろんな奴の名前とかが書いてあった。


「何これ?今流行ってんの?」

「お前達が集めてるんだろ!今日二之宮に紙をもらったんだよ。一応デザイン部で桐原くんと秋山くんの衣装を作っているからね。デザイン部みんなの名前が書いてある」

「へー、すげぇじゃん。なぁコレ俺の手柄にしていい?」

「まったくお前は……好きにしろよ。どうせ二之宮は分かってくれるからな」


 こんなの持ってったら茜ちょー喜ぶじゃん。
 やったー♪俺が集めたって自慢しよー♪


「サンキューな草間~」

「……桃、今日の騒ぎ聞いたぞ」

「だから何ー?」

「いい加減大人しく出来ないのか?俺から言いたくないけど、午後の二之宮酷かったぞ」

「茜がどーしたの?」

「普段はミスとかしない真面目な奴なのに、教科書は間違えるわ、先生に指されても答えられないわ、あんな落ち込んだ二之宮見てられなかった」

「まじ?茜ちゃんが?ふーん」

「ふーんて、桃が原因なんでしょーよ!」

「いいじゃん♡俺のせいで乱れる茜とか最高♡」

「お前に話した俺が馬鹿だったよ……」


 草間はガッカリした感じでどこかへ消えてった。
 今の話を聞いて、ヤバい!茜が俺のせいでどうしよう!なんて事は思わなかった。
 むしろ嬉しかったよ。
 だって、好きな人が俺の事考えてくれてるって事だろ?嬉し過ぎて早く会いたいわ♡

 まぁでも約束破ったのは俺だしな。
 それは謝ろう。
 小平と犬飼の処刑は無しにはしねぇけどな。
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