24 / 178
1章 写真ばら撒き事件
※俺の大事な友達だもん!
しおりを挟む※七海side
俺は焦っていた。
いーくんと、秋山の件なら噂で聞いて知ってる。元々二人が仲良いのは知ってたけど、まさか写真に写ってるような関係だったのは知らなかった。バスの中でキスしてたけど、それはノリとかそういうのだと思ってたし、そんなの馬鹿な男子が集まれば普通にふざけてやるもんだと思ってたんだ。でも二人が本当にデキてたなんて……
そもそも秋山に彼氏がいるなんて知らなかったから聞いた時は驚いたよね。だってあの秋山だよ?生意気だし、馬鹿だし、口悪いし、何でそんなにモテるのって。まぁ顔は悪くないんじゃない?
でもそんなのはどうでも良かった。俺には関係ないしね。
俺が興味あるのは二之宮だけ。周りには話してないからこの事を知ってるのはごく一部だけど、俺は二之宮の事が本気で好きだ。
でも!そんな大好きな二之宮に!今回写真ばら撒いた犯人扱いされて俺はちょー焦ってるのー!
何で俺!?てか二之宮よりも桃山が疑ってんだよ!あいつこえーんだよ!関わりたくないのに、二之宮に前に嫌がらせしたせいで嫌でも目付けられてるんだよぉ!
だから俺はそんな大好きな二之宮からの信頼を取り戻す為に頑張ってるって訳!
「まずは俺のクラス!ここは余裕でしょ!だって俺が声掛ければみんな言う事聞くしね!」
自慢じゃないけど、俺は周りから愛されてる。誰とでも仲良く出来るし、良く声も掛けてもらってる。同じクラスの桃山以外にはね……
幸い、今は桃山は二之宮の所に行ってていないみたいだからとっとと署名集めちゃうよー!
「みんなー!注目ー!お願いがあるの!聞いてー!」
俺が黒板の前に立って教室にいる人達に声を掛けると、みんな何だ何だと集まって来てくれた。
そして俺は昨日の夜に家で作って来た署名してもらう紙と、ペンと朱肉を教卓の上に置いた。丁寧にウェットティッシュまで用意したんだから!
そう、俺がしようとしている事はいーくんと秋山の処分を軽くしてもらう為の署名集め!聞けば二之宮と桃山も昨日からやってるみたいだけど、人気のない二人はかなり苦戦してるみたいなんだ。
そこで人気者の俺がたっぷり集めて二之宮の信頼を取り戻そうとしてるって訳♪
「いーくんがヤバい事になってるのはみんな知ってると思うのー!みんないーくんの事、好きだよね?だからみんなでいーくんを助けよう!ここに紙を用意したから、学年、組、名前、それと拇印押して欲しいんだー!」
「でもさー、桐原って悪い事したんだろ?俺、一年を無理矢理犯したって聞いたけど」
「俺もそれ聞いた!」
「誰だよそんな事言ったの!そんなの嘘に決まってるじゃん!みんなもいーくんの事知ってるでしょ!?」
「七海ちゃんの気持ちも分かるけどさー、自業自得じゃね?」
「それとー、写真に写ってた一年も生意気だから俺協力したくねぇなぁ」
「なっ、どうしたんだよみんな!」
予想外の展開に俺は動揺していた。すぐに快く署名してくれると思ってたのに、これはマズい!
そっか、いーくんの事を良く思ってない人もいたんだ……秋山もあんな奴だから好かれてなくてもおかしくないよね。俺も初めは嫌いだったもん……
でも、でもさー!
「いーくんも秋山も良い奴だもん!俺の大事な友達だもん!署名したくない奴はいい!その代わり、俺の大事な友達をそんな風に言った事、絶対忘れないからな!」
俺はバンっと教卓を叩いてみんなに言うと、驚いていた。
そりゃそうでしょ。俺って愛されキャラだし、こんな風にキレた事なんてないもん。
何でかな、俺って一人になるのが苦手でどんな時でも誰かと一緒にいたいって思っちゃうんだ。だから誰にでも良い顔してくっ付いてたけど、今は違う。
二人の事をそんな風に言われて本当に腹が立ったし、もう愛されキャラとかどうでも良くなった。
ふと我に返って自分のした事にハッとした。
俺、みんなに何て事言ったんだ……
ヤバい、これじゃみんなが離れて行っちゃう!
「はいみんな小平に拍手ー♪」
ここで誰かが教室に入って来て、教室中に響くぐらい大きな音を立てて拍手をしていた。
なんと、強敵の桃山だった。
変人の桃山登場でみんなザワザワし始めたけど、誰一人として拍手をする人なんていなかった。
「小平やるじゃん♪見直した♪さっきのスピーチ、センスあるじゃん。俺、センスある奴好きよ」
「え、も、桃山ぁ?」
「お前が犯人じゃねぇって分かったんだ。ちょっと来いよ」
「えー!どう言う事ぉ!?」
俺は桃山の言う事に驚いて、そのまま教室から出て行く後ろ姿を追った。
それってどういう事だよ!?てか俺にもアリバイあるんだけどな!
でも良かった!これで二之宮の信頼を取り戻せる!
10
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
いとしの生徒会長さま
もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……!
しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる