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1章 写真ばら撒き事件
やっぱ明日迎えに来て
しおりを挟む空とのセックスの後、空に体を綺麗に拭いてもらって、お互い裸のままベッドにゴロゴロしていた。
空が髪切ったからセックスの時邪魔じゃなくなったなー。今日は座ってヤったからあまり気にならなかったけど、正常位の時は俺の顔にツンツンしてて邪魔だったもんな。
仰向けになってそんな事を考えてると空が戯れて来た。
「貴哉ぁ♡だぁいすき♡」
「…………」
「貴哉?」
「お前辛くねぇの?」
「なんで?」
「俺にあんな事された上に別れたのにこんな事までしちゃってさ、良く好き好き言えるなぁって」
「貴哉を失うぐらいなら我慢出来る事が分かったからな」
「失ってんじゃん」
「なぁ、それさぁ……もういいんじゃね?俺達が別れたの知ってる人いないんだろ?今日何も聞かれなかったし」
「なにがいいんだ。面倒くせーからやだ」
せめて今回の写真の件が落ち着くまでは誰とも付き合う気は起きなかった。
「面倒くさい事言ったりやったりしないからさぁ。また付き合おうって」
「もういい加減な事言ってお前を傷付けたくねぇんだよ」
「気持ちは嬉しいけど……実を言うとな、昨日会うまで俺貴哉の事スルーしてたじゃん?迷ってたんだよ。手放すかどうか。でも、桐原さんからあんなメッセージ来てそんなの吹っ飛んだ。やっぱり貴哉を手放すなんて出来ねぇよ。傷付いたっていいんだ。貴哉が俺といてくれれば」
「……お前とは一緒にいるよ。俺もお前の事手放したくねぇもん」
「それなら付き合おう♡」
「空の事が大事だから、中途半端なまま付き合いたくねぇんだ。お前頭良いんだからさっさと理解しろよ」
「やだやだやだ!貴哉の彼氏になるー!」
「すっかり元のお前だな!でも、この方がお前らしくていいや」
駄々をこねる空がおかしくて、懐かしくて笑うと、空も笑った。
俺達は出会った時から言い合っていた。
まだ「早川」だった頃、俺に対してやたら挑発的な態度だったのを覚えてる。
俺はこんな性格だから対抗してたんだけど、それがいつの間にかお互い好きになって、付き合ってて、セックスまでして。
本当にどうなるかなんて分からないもんだな。
「あー!なぁ貴哉!」
「うるせぇな!大きな声出すんじゃねぇよ!」
「あの絵の横にあるのってさ!」
「あ?んだそりゃ?」
空が何かに気付いて嬉しそうに言ってるのを見ると、空が描いた絵の横に最近部屋で拾ったダークブルー色の石のキーホルダーがあった。歩いてたら踏んで痛くて捨てようと思ったけど、コレの事を思い出して画鋲に刺して飾っといたんだ。
確かあれはお守りらしいけど、俺のはなんだっけ?
「ああ、アレな。お前と直登が買って来たやつ」
「貴哉まだ持ってたんだな!てっきり失くしたのかと思ってたぜ!」
「そ、そんな事するかよっお前と直登がせっかく四人でお揃いって言って買ってくれたのにっ」
一瞬捨てようとはしたけどな。コレは秘密だ。
そう、大分前に喧嘩した空と直登が俺の機嫌を取るんで慌てて買って来た物だ。俺と空と直登、そしてなんと戸塚とまで色違いのお揃いだ。
「俺は自転車の鍵に付いてるぜ♪あれ効果あるよな!俺の金運アップだけど、兄貴の店手伝ったらお小遣いくれたし、貴哉は一万取って来たし!それに、中西の恋愛運も数馬と付き合ったりで、上手くいってるだろ?戸塚も最近笑うし、夏休み中にお泊まり会参加するし、コミュ力付けて来てんじゃん」
「え、そうなのか?俺のってなんだっけ?」
「勉強運アップだろ?」
「……ちょっと待て。俺だけ効果出てなくね?期末全部赤だったぞ」
「おかしいなぁ?間違えて買ったのかなぁ?」
「はぁ?適当に選びやがったな!今度はちゃんと買って来いよなぁ」
「分かった!今度はデカいやつにしよう!」
「辞めろ!邪魔になるだけだ!あれぐらいのサイズでいい!」
「それならさ、今度一緒に買いに行こうよ♡ね♡」
「そうだな。自分で選んだ方が早いな」
「わーい♡貴哉とデート~♡」
「デートって言うな!付き合ってるみてぇだろ!ん?付き合ってると言えば、直登と数馬って付き合ってるのか?」
「え、付き合ってねぇの?」
「俺何も聞いてねぇけど」
「お互い好き合ってるし、付き合ってるようなもんだろ。俺達みたいだな♡」
「全然ちげぇだろ」
いつものノリで会話をしてると、空が服を着だした。なんだ、もう帰るのか……
服を着て髪を気にしてる空を見てると、俺に気付いてニコッと笑った。
「なんだぁ?貴哉ってばそんな見つめちゃって♡良い男だなぁって思ってたのかぁ?」
「うん」
「ありゃ、素直じゃん」
「空は普通にかっこいいと思うぜ。だから女にモテるんだろうし」
「女に言われてもなんとも思わねぇけど、貴哉に言われるとちょー嬉しい♡」
「……気を付けて帰れよ」
「おう。また明日学校でな」
「…………」
「貴哉?」
「なに?」
「いや、元気なくね?」
裸のままベッドに寝転がる俺をゆする空。
空が帰っちゃうのが寂しい。そんなの言える訳ねぇだろ。黙ってると空に仰向けに起こされて、キスをされた。
俺は目を開けたままキスを受けてた。
空の匂いがしてキュンとした……
あ、やべ。なんか泣きそう……
離れていく空は俺を見て困ったように笑った。
「そんな顔するなよ。帰りづらいじゃん」
「空ぁ、俺……」
「うん。どした?」
優しい空の声に俺は涙を流した。
何で泣いてるのかは自分でも分からない。
空が帰っちゃうのが寂しいから?
今日写真ばら撒かれたから?
明日会議室に呼び出されるから?
もう全部がごちゃごちゃしてて本当訳分からねぇ。
「やっぱ明日迎えに来て……」
「うん♡喜んで♡」
嬉しそうに笑う空に俺はホッとした。
ただ今は一人になりたくなかった。
空に甘えるのは間違ってると思うけど、今側にいて欲しいのは空だから。
最後に俺からキスをして、部屋から出て行く空を見送った。
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