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本編
食ったら運動運動〜♪
しおりを挟む伊織達四人でバッティングを楽しんでから近くのファミレスで各々食いたい物を選んで食っていた。
なっちに誘われてのこのこ出て来たけど、初めは驚いたぜ。だって伊織までいやがるんだもんな。怜ちんは別にいいけど、伊織とはあれから会ってなかったし、連絡さえ一切取ってなかったからどんな顔して会えばいいのか分からなかったんだ。
「うまー♡ねぇこの唐揚げ美味しいよー♡みんな食べてみてー♡」
「どれどれー?美味い!もう一皿頼もうぜ!」
「なっちどんだけ食うの?もう五人前は食ってね?」
「那智は大食いなんだよ。部活で出てた弁当も一人だけ二人前用意されてたんだぞ」
「秋山ももっと食えよ!じゃないと大きくなれないぞ♪」
「なっちみたいにデカくなりたい!いっぱい食う!」
「貴哉はそのサイズでいいだろ。俺よりデカくなられたらやだし」
「貴ちゃんて大きい方だよねー。その内いーくん抜かれそうだよね」
「すぐに抜いてやるよ♪」
「え?貴哉が俺を抜いてくれるって?ほんとーにエロいなぁ貴哉は」
「馬鹿野郎!何言ってんだっ!」
伊織がニヤニヤ笑いながら変な事言うもんだから慌てて誤魔化そうとすると、二人もニヤニヤし出した。な、なんだよ?何が面白いんだ?
「貴ちゃーん♡俺達もう知ってるんだよねー♪いーくんとしたんでしょ?」
「秋山、隠す事ないだろ。悪い事じゃない。セックスはスポーツだ!」
「なっ!テメェ伊織!何言いふらしてんだ!」
「二人にはなんでも話してるんだよ。実は貴哉と早川には悪い事したなーって思ってたんだって」
「…………っ」
空の名前が出て俺は何も言えなくなった。
実は俺と空はあれからギクシャクしていた。毎日のように一緒にいたのに、空はいきなり兄貴の店を手伝うと言って全然会ってくれねぇんだ。連絡もすれば返してくれるけど、空からは無し。
その事で俺は悩んでいて、家でずーっと不貞寝してた所になっちから遊びの誘いが来たんだ。
ちょうどスカッとしたかったから喜んで出て来たんだけど、伊織がいるとは思ってなかった。
「貴哉、ごめんな?」
「もういいよ。終わった事だし」
「あれれー?貴ちゃん元気なくなぁい?」
「バッティングして疲れたんだっ」
「秋山はスタミナがないんだな。俺が鍛えてやるよ♪」
「なっちみたいになれるか!?」
俺は気付かれたくなくて、なっちの話に無理矢理食い付いた。正直スタミナとかどうでもいい。ただ今は空の事は考えたくねぇし、それをみんなに知られたくもなかったからだ。
「なれるぞー。よーし、まずはいっぱい食え!そして運動してカロリーを消費するんだ!食って動く!そして睡眠もしっかりな!」
「お、おう!それなら俺にも出来そうだな!」
「貴哉、時間大丈夫か?送って行くよ」
「え、まだ平気だけど」
「あっもうこんな時間だね~!那智くん!俺達も帰ろうか~」
なんだ?俺となっちで話してたら急に二人が帰るような事を言い出した。俺は今一人になりたくなかったから、帰りたくなかった。
「なっち!まだ平気だよな?」
「俺は全然暇だぞ?」
「なら一緒にどこか行かねーか!?次はボーリングとか!?」
「いいな♪食ったら運動運動~♪」
「那智くん!この後は俺に付き合ってくれる約束でしょ?ほら、帰ろう!」
「へ?そんな予定あったか?いてて、引っ張るなよ!」
おかしい。怜ちんはわざとなっちを席から立たせようとしてる。
そして伊織も黙ってそれを見ていた。
「ちょ、俺まだ帰りたくねぇよ!」
「貴哉は俺とな♪」
「はぁ?」
ここで伊織にギュッて手を握られた。
もしかしてバレたのか?
じゃなきゃいきなりおかしすぎる。
なっちはいつも通りで気付いてねぇみてぇだけど、二人は絶対俺の事分かってんだ。
「秋山~!悪いけど、怜ちんがうるせぇから、ボーリングはまた今度な!」
「なっち……うん。またな」
怜ちんに引きずられるように店から出て行くなっちを見送った。
残された俺は伊織とそのまま座っていた。
「なんか飲む?持って来ようか?」
「コーラ」
「了解」
伊織は立ち上がってドリンクバーに向かった。
伊織と二人きりとかどうしたらいいんだよ……
絶対空の話になるじゃんか。
気まず過ぎてこのまま伊織が戻って来なきゃいいのにとか考えちまった。
コーラとアイスコーヒーを持って戻って来た伊織は、四人で食った皿とかを二人がいた場所にまとめてそこに飲み物を置いた。
「ありがと……」
「どういたしまして」
「……なぁこれ飲んだら帰る」
「だーめ。少し話そうぜ」
「話す事なんかねぇよ」
「早川となんかあったのか?」
「っ……」
やっぱりな。
二人がいなくなったから相向かいの席が空いてんのに俺の隣に座ってずっと手を握ってくる伊織。
空の名前が出て反射的にギュッて強く握り返すと、伊織はため息をついた。
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