【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ3rd season

pino

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本編

高校生に混じって怪しいな

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 やっとバーベキュー会場に着いた。そこは沢山の木に囲まれた大自然で、詩音の言う通り本当にすぐ側に大きな川が流れていた。
 みんなまずは荷物を下ろしてバーベキューの準備を始めていた。道具などはレンタルするらしく、いくつかのテントが張ってあって、その近くにコンロなどが置いてあった。何ヶ所かに別れて準備するみたいだ。


「茜ー、俺水着持ってねぇんだよ。パンツのまま泳いでくるからお前のパンツ貸してくんね?」

「ふざけるなっ!自分が履いたパンツを他人に貸す訳ないだろ!そもそもそんな事をしたら俺がノーパンで帰る事になるだろ!」

「ちぇ、てかそういうのやるっての先に言って欲しいよなぁ。そしたら準備して来たのによ。仕方ねぇ、他の一年脅して奪ってくるか」

「演劇部を荒らすなボランティア部!」


 準備をしながら俺の相手をしてる茜に怒られてると、知らない大人が近寄って来た。誰だこのおっさん?高校生達が楽しそうにしてるの見て変な人紛れ込んで来ちゃった?


「安心したまえ秋山くん。水着を忘れた生徒の為に用意してあるから」

「は?誰だよアンタ。高校生に混じって怪しいな」

「コラ秋山!佐々木先生だ!てかボランティア部の顧問だろ!」

「はぁ!?先生!?ってかボラ部って顧問いたのか!?」


 突然の顧問登場に、俺は本気で驚いた。てか俺が入部してから顔出した事なくね?


「初めましてだね秋山くん。僕は三年生の担任をしている佐々木です。二之宮くんの言う通りボランティア部の顧問でもあるんだなこれが!あはは!」


 いきなり勝手に笑い出した佐々木とか言う先生は、俺達より年上ってだけで言う程おっさんじゃない。むしろ先生の中では若い方じゃね?
 へー、こんな先生もいたのか。


「おう!秋山だ。俺がボラ部で活躍してやってるから安心しな!」

「だからお前は口の聞き方に気を付けろ!」

「いいんだよ二之宮くん。秋山くんの事は君の担任から聞いているからね。ユニークで良いんじゃない?僕は気にしないよ」

「俺の担任とも話してんのか。あいつ俺が夏休みも頑張ってるのに全然顔出さねぇんだぜ?佐々先からも言っといてよな」

「ああ、でも玉山先生は君の事ちゃんと見てるみたいだよ?今日の事もよろしくお願いしますって挨拶しに来てくれたんだ」

「へー、あいつ影ではちゃんとしてんだな。てかあいつ玉山って名前だったんだ」

「あはは、本当に面白いね!あ、そうだ水着の貸し出ししてるから後で取りにおいで。ボラ部顧問として応援してるよ♪」


 ヒラヒラと手を振りながら違う奴らにも声を掛けて行く佐々先。なんか緩い先生だなぁ。俺の担任もああだったら良かったのになぁ。
 俺と佐々先の会話に何故か疲れた顔をしてる茜。そこへチワワが何かを持って走って来た。


「二之宮~!肉貰って来たよー!」

「ありがとう。って、野菜は?」

「野菜はいらないかなぁって♪あは♡」

「そこは気が合うみてぇだなチワワ!肉だけで十分だ♪」

「だろー?男は黙って肉!だよな?」

「ダメだ!肉と野菜はバランス良く摂らないといけない!俺が貰ってくる!」

「出たー、クソ真面目くん」

「二之宮っていいよなぁ♡」


 食材を配給してるテントに行った茜の後ろ姿を見てチワワが言った。
 本人の前で言ってやりゃいいのに。


「何で好きって言わなかったんだ?」

「えー、だってもう桃山と付き合ってるじゃん。それに言ったらお互い気まずくなるだろ、そしたら話もしてもらえないかもじゃん」

「ふーん。てかお前は伊織じゃなかったのかよ。あんなベタベタしてたのに」

「いーくんだからだよ。ほら、某人気テーマパークの人気キャラクターみたいな。園内で見掛けたらきゃーって近寄って抱き付いたり写真撮ったりするだろ?あんな感じ」

「分かりやすいなその例え。じゃあ茜の事は何で好きなんだ?」

「真面目なところと、たまに見せる笑顔かな。あいつ初めはあんな風に笑わなかったんだよ。今は秋山と笑ってるの良く見るけどさ、前は本当にたまーに!特に薗田さんと話してる時に笑った顔が好きだなぁ」

「ああ、あいつ詩音の事好きだったもんな」

「やっぱりそうだったんだぁ。薗田さんなら仕方ないかなって思うよ。でも何で桃山ぁ?そこ謎過ぎる!」

「お前知らねぇの?桃山って超絶イケメンなんだぜ?詩音よりもな」

「あんな奴の素顔なんて知らないよ。危な過ぎて近寄りたくもないっ」


 見て分かるぐらい嫌そうな顔をしてた。桃山も嫌われてんなー。変人だもんなあいつ。
 チワワはちょこんと座ってため息をついていた。


「俺は茜も桃山も好きだからチワワを応援はしてやれねぇけど、お前の事は嫌いじゃねぇよ。だから茜がお前を選ぶって言うならいいんじゃんって言ってやるよ」

「応援なんかいらないよ。俺は二之宮と普通に話せるようになっただけでいいんだ。ちゃんと謝れたし。二之宮が部活辞めちゃうのは残念だけどな」


 寂しそうに言うチワワはまるで恋する乙女だった。小柄で女みたいなこいつは多分男子校ならモテるだろう。ちょっとムカつくとこあるけど、根はいい奴だしな。
 小平七海か……


「七海、お前茜に告れよ」

「はぁ?だからそういうのはいいんだって」

「そんで振られろ!」

「訳分からない。やだよ」

「振られてさっさと次に行けよ。いつまでもウジウジしてるのお前らしくねぇぞ」

「…………」

「茜は真面目だからキチンと聞いてちゃんと答えてくれるからさ。スッキリした方がもっと茜と仲良くなれるんじゃね?」

「ばーか。ほんと生意気なんだよお前……」


 七海は笑ってた。俺が言った事をどう捉えたかは知らねーけど、言わないで想ってるより言ってスッキリした方がいいと思うんだ。
 きっと茜とならまた笑い合える。桃山に知られたらとんでもねぇ事になるだろうけど、幸い今はいねぇしな!

 七海と話してると、カットされた野菜がたっぷり乗ったトレイを持って茜が戻って来た。いつもの笑顔で、野菜を俺達に見せて来た。


「これ全部俺達で食おうな!」

「げぇ、肉より多く持ってくんじゃねぇよ」

「あ、そう言えば一年は集まれって。水泳大会始まるみたいだぞ?」

「ヤベ!水着借りるんだった!ちょっと俺行ってくるわ!」


 七海との会話ですっかり忘れてて、慌てて一度佐々先の所へ向かう。
 あー、一万円手に入れて戻ったら茜と七海、どうなってるかなぁ?
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