【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ3rd season

pino

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本編

平和が一番だ

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 茜が待つ部室に戻ると案の定、茜と桃山がまた床の上で格闘していた。毎日桃山も飽きねぇな。


「ほら秋山が来たぞ!離れろ湊!」

「やー♡ずっとくっ付いてるー♡」


 ベタベタと抱き付いてる桃山を引き剥がそうと必死な茜。俺はこのやり取りにもう慣れたけど、見慣れていない二人は唖然と見てた。


「ん?秋山、後ろの二人は、広瀬と……誰だ?」

「あ、初めましてー♪俺、中西直登って言います」

「ボラ部に見学に来たんだって。ほら、弓使いの」

「ああ!君が!破壊の王子か」

「そうでーす♪リアルでは挨拶した事なかったんで、良い機会だなって思って来ちゃいましたー」


 「破壊の王子」とは俺が付けた直登のゲーム内での名前だ。こいつにはピッタリだからな♪


「俺は二之宮茜だ。えっと、アカウント名は……トだ。よろしくな!」

「何恥ずかしがってんだよ~自分の名前なんだからハッキリ言えって」

「ミナトですね♪何でも彼氏の名前にしたとか、可愛い人だなーって思ってたんですよー」

「え、茜ってば俺の名前使ってんの?ヤバくね?」

「俺が決めたんじゃない!秋山が勝手に設定したんだ!」

「ムキになるなって。余計に怪しいぞ~」


 俺は弁当を持って机に座る。数馬も俺に付いて来てちょこんと横に座った。そして直登は数馬の横に座った。


「おっ!ローストビーフ入ってる!たまに当たりあるんだよなぁ♪」

「良いもん食ってんね。ボラ部はリッチだわー」

「ボラ部って結構部費貰ってるって聞いたぞ。まぁそれなりに貢献してるからだろうけど」

「え、そうなの?知らなかった。てっきり貧乏なのかと思ってた」

「だって、ボラ部って今の生徒会長が作ったんだろ?だから惜しみなく援助してるらしいぞ」

「マジかよ!数馬知ってたか!?」

「知らない……」

「何だかボランティア部って凄い団体なんだね~」


 そりゃ新事実だな!あの生徒会長が関わってたとはな!ああ、だから俺をボラ部に入れたのか?
 
 そんな話をしながらみんなで弁当を食べてると、すでにサンドイッチを食べ終わった桃山が直登の事をジーッと見ていた。


「なぁ、破壊の王子って裏校舎の壁壊した奴?」

「え……ひ、人違いですよ」

「あはは!そうそう!桃山は知ってるんだったな!破壊の王子って名前も桃山から聞いて付けたんだぜ」

「へー、アンタがそうなんだー。確かにいーくん並にイケメンだわ」

「桐原さん並だなんて恐れ多いですよ!」

「そんな事ないぞ。秋山も中西の事を二年が桐原なら一年は中西だって言ってたもんな」

「言った言った。こいつ顔だけは良いからな♪」

「えー、貴哉ってばそんな風に思ってたのー?嬉しいー♡」

「でもこの学校全体だったら桃山が一番だと思うぜ?な?茜?」

「そうだな。湊は隠れイケメンだからな」

「可愛い二人が俺の事褒めてくれるー♡二人共大好きー♡」

「桃山さんってそんなにかっこいいんですか?ちゃんと素直を見てみたいです!マスク外して下さい♪」

「えー、やだよ。面倒い」

「てかさっきサンドイッチ食ってたじゃん。ちゃんと見とけよ」

「ジロジロ見たら失礼だから見なかったんだよ。みんな見た事あるのずるーい」

「湊、見せてやったらどうだ?」

「やーだ♡茜と二人になったら外すのー♡」

「ちょーラブラブだし!羨まし過ぎるっ」

「桃山は気に入った奴にしか心開かねぇんだよ。多分数馬にもまだ厳しいと思うぜ?」

「そうだ、広瀬と言えば、何でまだ坊主じゃねぇんだよ?あ?」

「ひぃぃ!」

「ダメー!数馬くん!絶対坊主になんかしちゃダメだからな!」

「は、はいぃぃ!」


 桃山に睨まれて悲鳴を上げ、直登に強く言われてまた悲鳴を上げる数馬。可哀想だから助けてやる事にした。


「お前ら数馬をいじめるなよ。ほら数馬、二人の事はシカトしていいんだぞー?」

「そうだぞ。平和が一番だ」

「ふ、二人共好きぃ」


 既に半泣き状態の数馬は俺にしがみ付いてブルブル震えていた。そんな数馬をよしよしとしてやってると、奥にいた直登と目が合った。
 え?何か怒ってる?


「貴哉ー?空くんいるんだし、他の男とそんなにくっ付くのはどうかと思うよー?」

「大丈夫だよ。数馬の事は許してくれてるんだ」

「だとしても俺が嫌だから離れてくれない?」

「え?何で直登が嫌がるんだよ?」

「な、直登……」

「ははーん、王子、お前広瀬の事が好きなのかぁ?」


 目の前で俺達を見ていた桃山が目を細めて言った。え?誰が誰を好きだって?


「そうですよ。俺は数馬くんが好き!」

「はぁ!?直登が数馬をー!?」


 直登が数馬に向かってそう言うと、数馬はビクッと体を震わせた。直登が数馬を好きって……えー!?いつからだぁ!?全然気付かなかったぞ!


「そう言う事。だから数馬くんを返してね♡」

「わっ!」


 俺にしがみ付く数馬を引っ張って自分の方に寄せようとしている直登は本気のようだった。
 まぁ直登と数馬だし、うまく行ってくれればいいけど……数馬の様子見てると直登の片想いか。
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