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本編

※最近の俺ってば魅力ないの!?

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 ※直登side

 俺が数馬くんにキスをすると、意外な事に叫ぶ事も暴れる事もしなかった。しばらくしてから少し顔を離して数馬くんの様子を見るけど、ギュッと目を閉じていた。
 あはは、唇が硬い訳だー。てか唇に付けてるピアス邪魔だったなぁ。


「数馬くん、大丈夫?」

「……ん……直登、何で?」


 そっと目を開いてこちらを見てくる数馬くんの目はまだ潤んでいて、それを見たらキュンとしてしまい、俺は数馬くんをギューって抱きしめた。
 すると、叫びはしないけど、震えて耐えてるようだった。


「な、なお、とっ!」

「大丈夫だよ。俺は数馬くんの味方だよ。怖くないよ」

「…………」


 ポンポンと優しく背中を叩いてそう言うと、数馬くんもゆっくりと俺に腕を回して来た。ぎこちないその腕は弱々しくて、力の無い抱擁だった。でもぎゅっと俺の服を掴んでちゃんと応えてくれた事が嬉しくて俺は数馬くんのほっぺにキスをした。


「あのっ直登!」

「はい?」

「ど、どうして抱き付いたり、キスしたりするんだ?これは何の協力なんだ?」


 数馬くんからの素朴な疑問に俺は何て答えようか迷っていた。そりゃしたかったからに決まってる。でもそう言ったら傷付いたりしないかな?何て言えば数馬くんは安心してくれるかな?


「協力ってか……うーん」

「?」


 体を離して数馬くんの肩に手を置き、見つめ合う。しばらくして数馬くんはハッとしてパッとそっぽ向いた。


「え?どした数馬くん?」

「な、直登かっこいいから、見られてると……恥ずかしい……」

「何だそれ!今更!?」

「ごめん……」

「謝るなよ。俺がキスしたのは数馬くんにしたかったからだよ。数馬くんが泣いてあんな事言うから、可愛いなって」

「か、可愛い?」

「こんな見た目なのに、あんな風に泣かれたら俺ドキドキしちゃうよ♡」


 数馬くんの唇に付いたピアスを触りながら言うと、数馬くんの顔は見る見る赤くなっていった。
 もう何なのこの子ー!さっきから俺のストライクゾーンにバシバシ入って来るんだけどぉ!


「ねぇ、唇のピアス外してよ。もっとキスしたい」

「……うんっ」


 俺が言うと唇に付いたピアスを二個外してくれた。言う事聞く所可愛いなぁ♪
 てか外してくれるって事はキスされてもいいって事だよな?


「数馬くん、俺とキスするの嫌じゃないの?」

「嫌じゃないよ?あ、直登は嫌なのか!?」

「嫌だったら俺からしないでしょ。数馬くんが可愛いくて仕方ないの。数馬くんも嫌じゃないなら良かった」

「んっ……」


 またキスをすると今度は慣れたのか唇が柔らかくなっていた。ピアスも無くなってキスがしやすくなったから、俺は舌を入れてみた。
 すると、数馬くんがビクッと反応した。


「あ、ごめん。大丈夫?」

「……ビックリした」

「あはは、もしかして数馬くん初めてするとか?」

「……う、うんっ」

「可愛いなぁ♡じゃあエッチもした事ないよね?」

「……無い」


 ああヤバい♡こんな数馬くんってどんなエッチするんだろう?気になるし、目の前で顔を赤くしてる数馬くん見てると何かムラムラしてくるんだよなぁ。


「したいと思う?」

「えっ」

「だって数馬くんも男の子だろ?そういうのって興味ないの?」

「ある、けど……俺にはそんなの無理だから……」

「まぁ人に触れられないんじゃエッチなんて出来ないよね。でも俺ならどう?触れられるし、キスだって出来ちゃうよ♡」


 数馬くんの左手を取って自分の右手を絡めて触る。大分慣れたのかこれぐらいならもうビクッとしなくなったね。


「うん。直登はもう平気」

「じゃあエッチ、してみる?」

「えっ!それは……」

「俺とじゃ嫌?」

「嫌って言うか……そういうのって、す、好きな人とするもん……じゃないのか?」


 上目遣いでオドオドして言う数馬くんは純粋その物でこれまた俺の心を鷲掴みにして来た。
 残念ながら俺は誰とでも出来ちゃうんだよね。嫌いな奴とは無理だけど、見た目が良くてちょっと好きかもって相手とでもね。

 これ以上は数馬くんの夢を壊しちゃうからやめとこうかな。


「そうだね。ごめんね数馬くん。可愛いくてつい意地悪しちゃった」

「ううん。直登優しい。ありがとう」

「って、普通に喋れてるね♪あはは、何か嬉しい~」

「直登から来てくれたから。直登は貴哉みたいで好き」


 照れながら言う数馬くん。キュンとしたけど、貴哉と比べられて少し戸惑った。
 貴哉って特殊だからなぁ。まぁみんなに好かれてる人と似てるって言われたら悪い気はしないよね。


「ほんと?貴哉みたいって言われて嬉しいー♡俺も数馬くん好きー♡」

「直登、なんか可愛い……」


 数馬の事をギューってすると、頭を撫でられてそう言われた。
 あれ?可愛いなんて散々言われて来て慣れてるはずなのに、何だろうこの引っかかる何かは……
 

「ねぇ数馬くん」

「ん?」


 すっかりくっ付いているのに慣れた俺達はそのままの体勢で目と目を合わせていられるまでになった。
 俺が見つめてると、数馬くんは優しく笑って俺の言葉を待っていた。
 うわぁ、数馬って良くみたらかっこいい!


「えっと、一応聞くけど、数馬くんって恋人いる!?」

「えっい、いないよ!」

「だよね!じゃあさ、俺と付き合って♡」

「えっ……え!?つ、付き合う!?」

「だって、数馬くん可愛いくてかっこいいんだもん♡ギャップもあるし、俺、数馬くんの事好きになっちゃった♡」


 俺は良く告白されるから慣れてるけど、俺から告白するなんて滅多にない。だからちょっと照れ臭かったけど、数馬くんが欲しくなっちゃったから言っちゃった♡
 俺からのちょーレアな告白なんだから!まぁそれを断るなんて貴哉ぐらいだけど。

 自信満々な告白をすると、数馬くんは困ったようにオドオドしていた。


「えー、どうしたの!?早くオーケー出してよ」

「……ごめん。俺、分からない」

「!?」


 まさかの答えに俺は言葉を失った!
 ちょっと最近の俺ってば魅力無いの!?
 何でこう立て続けに告白が失敗するかな!?

 これはショックで、泣きそうになったよ。


「あの、直登……嬉しいんだけど、俺なんかと付き合っても、いい事ないよ……直登をガッカリさせて、嫌われたくないんだ」

「何だよそれぇ!そんなの付き合ってみなきゃ分からないじゃないか」

「それに、俺付き合うってした事ないから良く分からないんだ」

「はぁ、俺の事は好き?」

「うん!好きだよ!」

「ならいっか。今回は数馬くんに合わせてあげる。数馬くんが付き合えるようになるまで待つよ」

「えー!そんなの悪いって!」

「うるさい!数馬くんは黙って俺と早く付き合えるようになればいいのー!」


 焦ってる数馬くんの腕にしがみついて密着してやると、少し距離を取ろうとしたから離れてやらなかった。
 貴哉といい、数馬くんといい何で俺を拒否するかなぁ?俺って追われるの専門で、追うのって好きじゃないのに。まぁでも数馬くんなら貴哉と違ってライバルいないし、押していけばなんとかなるでしょ!

 この日から俺は数馬くんに猛アタックを始めた。
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