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本編
※なぁ数馬くんって貴哉の事好きなの?
しおりを挟む※直登side
夏休みに入って二週間が過ぎた。八月に入って毎日暑くて今日は冷房の効いた自分の部屋でパソコンをいじっていた。まだ15時前かぁ。
何だか最近何もやる気が起きないんだ。だから前から貴哉達に誘われてたソシャゲにとうとう手を出したんだけど、正直興味無かった。本当に暇つぶしだと思ってやり始めたんだけど、まぁ集中出来ないよね。
今貴哉は空くんとデート中らしいし、もう一人二年の人もやってるっぽいけど、今はログインしてないみたい。だから数馬くんに教わりながらやってるんだけど、装備とかパラメーターとか良く分かんないし、何よりすぐ死んじゃうの!その度にいちいち初めのとこに戻されてもう面倒くさーい!
「ちょっと数馬くん!もっと俺を守ってくれないかな!?」
『ごめん……えっと、これアドバイスなんだけど、空は弓使いだからガンガン前に行くのはやめた方が……』
「だって貴哉は前に出てたじゃん」
『貴哉は剣士だから……』
「え!?何ぃ!?良く聞こえなーい!てか数馬くんどこ行っちゃったのさぁ!」
『俺はどこにも行ってないっ空がHP無くなって戻っちゃったの!』
あーなんかやたらイライラするなぁ。こんなちまちましたゲームなんかじゃなくて、こうスカッとする事したいなぁ。
「ねぇ数馬くん、今から出掛けない?暇だろ?」
『…………』
「あーはいはい。外出は無理ですよねー」
『た、貴哉がいるなら大丈夫だけど……』
「貴哉ぁ?」
本当に数馬くんは貴哉にだけは懐いてるよなー。初めて数馬くんを教室に連れて来た時は本当に驚いたなー。貴哉2号とか思ったっけ。
数馬くんの見た目もだけど、あのパニクり方にはみんなも何が何やらって感じだったもんなー。
「なぁ数馬くんって貴哉の事好きなの?」
『そりゃ好きだよっ』
「それってちゅーとかしたい好き?」
『それ、は……』
「へー、面白い事聞いちゃった♪」
『……貴哉には言うなよ!』
「それはどうかなー?言われたくなかったら俺に付き合ってよ♪」
『……直登、酷い』
あらら?ちょっと意地悪し過ぎた?
マイク越しに話してるから顔は分からないけど、何となく泣きそうな顔してるのが分かる。
あは、ちょっと面白いかもー♪
何とか数馬くんを外に引っ張り出せないかなぁ?でも貴哉呼ぶと空くんも来るだろうしなぁ。
「そうだぁ!俺が数馬くんち行けばいいんじゃん♪」
『!?』
「ねぇ、数馬くんち教えてー。パソコンも持って行くからそこで教えてよ」
『ま、待って!今から来るのか!?』
「そーだよ。俺暇なんだよ。ちょっと準備するから住所メッセージしといてねー。じゃねー」
『ちょ、直登っ』
数馬くんに拒否権を与えず、ゲームも切って俺は家を出る準備をした。
そして外に出て暑いのを我慢して歩いて駅に向かった。数馬くんからはちゃんと住所が送られて来てたしね。電車使うけど、そんなに遠くないから良かったよ。
数馬くんの家がある駅に着いて、近くのコンビニで軽く手土産を買ってから再び歩く。
さてさて、数馬くんちはどこかなー?
スマホを見ながら進むと、指定された場所に辿り着く。そこにはそれはそれは大きな日本家屋が建っていた。木で出来た門の表札にはちゃんと広瀬の文字。おおー、数馬くんってばなかなかの豪邸に住んでんじゃん。
インターフォンを鳴らすと、しばらくして門からひょこっと数馬くんが顔を出した。
「よっ!遊びに来たぞ♪」
「ほ、本当に来た……」
「化け物が来たみたいに見ないでよ」
「今誰もいないから……どうぞ」
俺の事警戒してるみたいだけど、ちゃんと中には入れてくれた。
門をくぐると、写真とかで見るような日本庭園が広がっていた。
「すごーい!ちょー綺麗ー!」
「……あっちが家だけど、俺の部屋はこっちだから……ついて来て」
数馬くんに言われて家と言った建物とは違う方向へ歩いて行く。もしかして数馬くん専用の家があるの?
辿り着いたのは、家の隣にあった小さな家。中に入ると意外と洋風で、玄関開けてすぐに広い部屋があった。奥には扉があったけど、トイレとかかな?へー、ここが数馬くんの部屋かー。
「自分専用の家があるとかリッチじゃん♪羨まー」
「…………」
「あ、お土産買って来たんだ♪一緒に食べようよ」
「……飲み物、冷蔵庫にあるから」
「冷蔵庫まであんの!?やばー!」
さっき買って来たプリンを部屋にあったテーブルに出して、部屋の隅にあった冷蔵庫を開けると、ほとんど飲み物しか入って無かった。
「じゃあお茶貰うね」
「どうぞ」
「さぁ数馬くんも食べて♪」
「……ありがとう」
数馬くんはずっと部屋の隅にいたままボソボソ喋っていた。病気の事は知ってるから気にならないけど、これじゃ遊びに来たのに何も出来ないよ。
どうにかして俺に慣れてもらわないとなー。
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