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本編
それが出来たらみんな100点だろ!
しおりを挟む21時過ぎ。空と二人でドラッグストアのローションが売ってる棚の前にいた。
俺は初めて見るコーナーに少しワクワクしていた。そういやコンドームも無かったな。使い方知らねーけど、必要だよな。
「へー、ローションてこんなところに売ってるんだな!なぁゴムっていろいろあるけど、どれも同じだろ?」
「ちょ、貴哉声大きいって。ただでさえ男二人で目立ってるんだから」
空に恥ずかしそうに笑われてハッとする。俺は何も考えて無かったけど、確かに通る人達に見られている気がする!
「って、何で男同士だからって気にしなきゃなんねぇんだっ!堂々と行くぞ」
「いや、男女でもこういうのは賑やかにはしねぇよ?まぁ貴哉らしいけど」
「てか高くね!?俺千円しかねぇよ。今機嫌が良い父ちゃんに金貰ってくれば良かった」
「あ、じゃあ一番安いローションを貴哉が買って、ゴムは俺が買うよ」
「まじ?サンキュー空♪お礼に思いっきり可愛がってやるからな♡」
「っ!だからそういうのここで大きな声で言うなっての!」
俺はワザと大きな声で言って恥ずかしがる空の反応を楽しんだ。ボケとツッコミがいつもと逆の立場も悪くねぇな。
そしてレジで男の店員に不審な顔で見られつつ必要な物を買ってチャラ男号で家まで急ぐ。
それにしても夏の夜は好きだ。昼間はクソ暑いから嫌だけど、夜なら涼しくなって動きやすくなるからな。空と過ごす初めての夏だけど、こうやって初めての事を一緒にやって行く事にワクワクするんだ。
空となら何でも楽しめる。夏休みに入ってから空以外と過ごす事が増えてこうして二人になると改めて空といるのっていいなって思う。
空とは言い合ったり、笑い合ったり、傷付けたり、泣かしたり、いろいろあるけど、これからもずっと一緒に仲良くやって行きたいって思うんだ。
俺を乗せて一生懸命自転車を漕ぐ空の背中を見ながら俺は一人で笑っていた。それが空にバレたのか、速度を緩めて話し掛けて来た。
「何で笑ってんのー?あー、俺とこれからするの想像してニヤけてんだろー?顔見たーい♡」
「よそ見すんな。あぶねーだろ」
「なぁ貴哉、これからもずっと一緒にいような!」
「……俺も同じような事考えてたから驚いた。当たり前だろ♪ずっと一緒だ!」
「嬉しいー♡ぜってー何があっても離れねー♡」
「俺が離さねぇんだよ。俺達も茜達みたいなバカップル目指そうぜ!」
「え、ああいうのはやだ!俺縛られたくない!」
「あれは俺も引いたわ。桃山がヤバすぎるんだろ」
「茜さんも普通そうに見えるけど、ちょっとズレてるよな」
「分かるー。あの二人、お互い俺となら浮気オーケーらしいぞ。しねぇけど」
「何だよそれ?訳分かんないんだけど」
「茜も桃山も俺の事が可愛いんだって。まぁ二人共良い奴だとは思うよ。変だけど」
「可愛いって後輩としてだろ?ほんと、貴哉はいろんな奴に好かれるな」
「お、やきもち焼くのかー?」
「そりゃ焼くっしょ!貴哉は俺のだもんっ」
「でもお前強くなったよな。前ほどうるさくねぇじゃん。あんなに泣き虫だったのによ」
「……やきもちの焼き方を変えてみたんだ。本当は嫌だけど、それを伝えつつ貴哉も大事にするみたいな」
「へー、やっぱり頭良いだけはあるな。俺は楽だからありがたいけど」
「そうだ、貴哉に勉強教えられるようになりたいんだよ俺」
「無理じゃん。お前教えらんねーじゃん」
「だからなりたいの!そしたら一緒にも過ごせるし、貴哉の退学の話も何とかなるだろ?」
「んー、そうだけど、出来るのか?」
「頑張る!」
「なぁお前って何で頭良いの?見た目馬鹿そうなのに」
「頭良い訳じゃねぇよ。学校のテストとかなら普通に授業受けてたら出来るだろ。だからそれ以上の事は俺も分からねーもん」
「それが出来たらみんな100点だろ!」
「難しいなぁ。そもそも貴哉ノート取ってるのか?」
「取ってねぇよ。提出する時に直登に一気に見せてもらってる」
「お前良くそれでやって来れたな!今度からちゃんと写してみ?大分違うと思うぞー」
「空って意外としっかりしてるよなぁ。目上の奴とかにも敬語だし」
「兄貴の知り合いとかと関わる事あったから上下関係はちゃんとするよ。てか貴哉ぐらいじゃん?誰にでもタメ口とか。それが通用しちゃうんだからすげぇよなぁ」
「だって、敬語って痒くなるだろっ上手く使えねぇし」
「まだいいけど、敬語も覚えて行こうな。今後絶対必要になるからさ」
優しく空に言われて俺は敬語を使う自分を想像する。うーん。悪くねぇな?でもしっくりこねぇ。
母ちゃんには目上の奴には敬語使えって怒られるけど、母ちゃんがあんなだから説得力ねぇんだ。
だからこのまま来ちまったけど、少し意識してみっかな?そしたら担任ももう少し甘くしてくれたりして?
そんな事を考えてたらチャラ男号は家に到着していた。
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