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本編
俺も人間だからな、やきもちぐらい焼くさ
しおりを挟むまさかの焼肉を食える事になってテンション上がってる俺は、好きな肉をどんどん注文してやった。桃山は気にしてない感じだけど、茜は呆れたように見てた。
「お前本当に食べ切るのか?結構頼んでたけど」
「もちろん!今日の弁当、野菜ばっかで食った気しなかったしな」
「野菜美味いのに」
「なぁ、桃山?聞きてー事あんだけど」
「何ー?何でも答えるよー」
「いつもマスクしてるけど、何で?」
「ああ、何かもう癖みたいなもんだよ。中学ん時の俺って女子から結構モテてたんだよこれでも。中には可愛い子もいたから付き合ったりしたんだけど、みーんな何か違うって言っていなくなりやがるんだ」
うん。何となくその女達の言いたい事分かるぞ。
「そんで可愛いいけどちょっと気の強い子にさ、別れ際にあんたは顔だけだって言われてフラれたの。そこで初めてみんな俺の顔を好きなんだって気付いたんだ。顔を好きになって告白してくる癖に性格を知ると離れて行くとかムカつくから顔を隠すようにしたって訳。そしたら誰も寄って来なくてちょー楽になったー」
「モテる男も大変なんだな」
「まぁね。楽になったけど、マスクしてっと俺が好きになった人には不評だけどな。変な人だと思われて避けられる」
「変な人だろ桃山は」
「えー、俺って変かなぁ?茜はどう思う?」
「変だとは思うよ。でもそれが湊だろ?俺は変でもいいと思うよ」
「そうなんだよ。さすが俺の彼氏♡分かってんねー」
「俺も似たようなものだからな。モテた事はないけど、変人扱いには慣れてるよ」
「茜は変じゃねぇよ!目付きが悪いだけだ」
「ちょ、貴哉ってば俺には否定してくんなかったよな?何で茜だけ?」
「だからお前は変な人だってば」
話してる内に運ばれて来た肉達を焼きながら桃山と茜を見る。確かに二人は周りとは少しだけズレてるよな。それは俺もなんだろうけど、それでも良い奴に変わりはない。
だからもし、目の前で二人の事を悪く言う奴がいたとしたら俺は許せないと思う。
「秋山、肉焼けてるぞ」
「おう!いただきまーす♪」
「食え食えー奢ってやるけど、お礼は体で払ってもらうからな♡」
「彼氏の前でそう言う事言うなよ変態」
「茜も貴哉ならいいって言ってたもん」
「はぁ!?」
咄嗟に茜を見ると、ニッコリ笑って言った。
「秋山ならな。湊も俺が秋山と浮気するなら許せるって言ってたぞ」
「てか自分の推しの可愛い同士がイチャイチャしてんのって何か良くね?萌えるわ♡」
「お前らやっぱ変!」
「貴哉以外と浮気なんかしたら茜もそいつも外歩けない顔にしてやるけどな」
「それはお前もだからな湊。あんま調子に乗っていろんな奴に可愛いだの好きだの言ってると泣かすからな」
「え、桃山って結構いろんな奴の事好きって言ってね?伊織とかなっちとか。良く今まで普通にしてたな」
「そういうのは許せる。でも浮気は別だ。俺も人間だからな、やきもちぐらい焼くさ」
「やきもち焼いてー♡俺束縛されるの大好き♡」
「うーん、束縛ってどういうのが束縛なんだ?なぁ秋山達はどうだ?」
「え?どうって、何が?」
「秋山と早川はどういう付き合い方をしてるんだ?」
「そう聞かれると難しいなぁ。あ、でもお前らと違って俺達は相手が誰だろうと他の奴とイチャつくのは許せないぜ。特に空はやきもち焼きだ。すぐにやきもち焼いて拗ねて泣くぞ」
「あのチャラ男泣くのかよ!ウケる」
「俺の前ではな。最近は強くなったみてーだけど、伊織に対しては凄かったぞ。あと、少し前だと同じクラスの直登ってやつと俺のダチの楓にはやきもち焼いてたな」
「秋山、お前やっぱりモテるんだな♪」
茜がキラキラした笑顔で嬉しそうに言ってくるけど、正直微妙な気持ちだ。だってみんな男だもん。あ、芽依がいるけど、あれも特殊だからなー。
「直登?どっかで聞いたなぁ。どこだっけ?」
「直登なんて名前珍しくもないから人違いじゃないか?」
「そうなのかなぁ?部活の奴らだったかな?何か一年に王子がいるって騒いでたような」
「王子!そうそう直登ってすげーイケメンなんだよ。二年が伊織なら一年だと直登が一番じゃねぇかな」
「そんなにかっこいいのか。俺はそういうのに疎くて良く分からないが」
「思い出した!破壊の王子だ!」
「ぶ!何だよそれ!確かにあいつ馬鹿力だけど……あ!あれか!裏校舎の壁に穴開けたやつ!」
「そうそう!可愛い見た目してめちゃくちゃつえーらしいじゃん。それ喰らった奴が部活で自慢してたぜ?ちょーかっこよかったって」
あったなー。直登が告って来た奴にキレて壁壊して担任に呼び出されてたの。破壊の王子か。イケメンは何してもイケメンなんだな。俺が壁なんか壊したらあいつやべー奴だって思われて終わりだろ。
確かに直登は学年問わず告られてるみてぇだしな。なんせあの鉄仮面も虜にしたぐらいだしな。
「秋山の周りはイケメンだらけだな。あ、もちろん秋山もかっこいいぞ」
「え、可愛いだろ貴哉は」
「可愛いはやめろって。嬉しくねぇ。かっこいいは嬉しい!」
「秋山は本当にかっこいいよ。見た目もだけど、中身もな」
「茜ってばいつも秋山秋山だもんな~」
「でも俺も茜とここまで仲良くなれるとは思ってなかったな。ぜってーこいつとは合わねぇと思ってたもん」
「それは俺もだ。今では秋山と過ごせる時間が楽しくて仕方ないんだ」
「俺も。茜といるの楽しいぜ♪」
「お前ら両想いじゃん。可愛い同士付き合っちゃえよ」
「お前はまた変な事言いやがって。茜はそういうんじゃねぇの!」
「でも前に秋山言ってくれたよな?俺となら付き合えるって」
「言ったっけ?」
「出たー。俺の茜に手を出したから貴哉死刑~」
「はぁ!?てか俺ならいいんじゃなかったのかよ!」
桃山の相変わらずなテンポにも慣れて来て、それに突っ込む俺に、笑う茜。本当にこいつらといるのは楽だし楽しい。
浴衣もだけど、今週末にある祭りもすっげー楽しみだ。
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