【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ3rd season

pino

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本編

害はないから触らせてあげて

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 電車に揺られて目的の駅に降りて桃山行き付けのデパートとやらに入る。桃山は行き慣れてるのかどんどん進んで行き、裁縫道具とか筒状に巻かれた布とかが売ってる店に入った。
 すると、中にいた若めの男の店員が桃山に気付いてすぐに近寄って来た。


「あら~♡湊ちゃんじゃない♡いらっしゃい~」

「こんにちは♪宗りん♪また浴衣作るんだぁ」

「ちょうど良かった♪今日新しい生地入荷したとこなのよ♡あらあら、こちらの可愛いお二方は~?」


 桃山と話すオネエ口調の店員に俺と茜は何も言えずに見てると、ウインクされた。
 見た目は普通のお洒落な感じの爽やかなお兄さん。喋り方や仕草はオネエそのもの。桃山の知り合いみたいだけど、危ない人じゃないよな?


「こっちの可愛いのは俺の彼氏の茜♡んでこっちの可愛いのは後輩の貴哉♡どっちも俺のお気に入り♡」

「彼氏!?ちょっと何羨ましい事言ってるのよぉ!後輩くんは恋人いるのかしら?」

「いる!」


 俺に近付いて来たからハッキリ答えると、残念そうに肩を落としていた。


「若いっていいわね~。アタシはここの店長の宗徳よ。宗りんって呼んでちょうだい♡」

「んじゃさっさと生地選ぶぞー」

「ゆっくり見てってちょうだーい♡」


 俺と茜は桃山から離れる事が出来なくなった。あの店員っていつもあんな接客なのか?それとも桃山だからか?いろいろ疑問に思ったけど、黙って桃山に付いて行くしか出来なかった。


「大体のイメージは出来てんだ。後は貴哉に合わせて決めようと思っててさ」

「桃山ってこういうの得意なのか?」

「得意ってか好き。自分好みのになるから」

「湊ちゃん上手なのよね~♪イケメンだし、良い子だし、旦那にしたいわ~♡」

「!」


 もういないと思ってた宗りんが普通に会話に入って来て本気で驚いた。宗りんは桃山の肩に手を置いてマスクを外そうとしていた。
 桃山は慣れたようにサッと避けてそのまま生地選びをしていた。


「あ、これとかいいな♪宗りんこれ見せて」

「あら、今回は青にするのね♡若くて良い色よね♡うふふ」

「うん。貴哉に似合うの濃い青だなって。帯は銀とかかな」

「貴哉ちゃんが着るのー?見たーい♡ちょっと合わせてみましょう♡」


 宗りんは慣れた手付きで桃山が選んだ生地を広げて俺の肩ら辺に当ててくる。その時背中を撫でられたけど、どう反応したらいいのかわからなかったから我慢する事にした。


「いいねー♪イメージ通りだ。宗りん、これちょーだい♡」

「即決とか男らしくて最高~♡」


 宗りんはノリノリで生地を奥まで持って行った。
 俺は宗りんがいなくなったからすかさず桃山に近付いてさっき触られた事を話した。


「桃山!背中撫でられたんだけど!」

「宗りんは若い男が好きだから。害はないから触らせてあげて」

「いやいや、セクハラだろ!害あるって!」

「……秋山、大丈夫か?」


 茜の言葉は心配してくれてるけど、顔を背けて笑うのを堪えているのが分かった。こいつら人事だと思って!


「湊ちゃーん!準備出来たわよ~♪」

「ちょっと会計行ってくる。二人は何食べるか決めといて」


 桃山が宗りんに呼ばれてレジに行った後、茜と二人きりになったけど、茜は俺と目を合わせようとしなかった。こいつ、まだ笑ってやがるな。


「覚えてろよ茜」

「秋山、何が食べたい?好きな物を選べよ。俺と湊で奢るから」

「俺の目を見て喋れよ」

「えーだって、そんな事したら……あはは!ダメだ面白すぎる!」


 とうとう茜は声に出して笑い出した。こうなったらこいつらの財布空っぽになるぐらい美味い物食ってやる!

 会計を済ませた桃山と合流して飲食店が並ぶエリアに来た。この後空が待ってるから初めは断ろうと思ったけど、何だかんだ二人には世話になったし、奢って貰わないと気が済まないし、二人と飯を食って行く事にした。


「肉食うぞ肉ー!」

「肉かぁ、俺あんま好きじゃないんだよなぁ」

「はぁ?俺が食うもん決めていいんじゃないのかよ!」

「湊、ここは秋山に合わせよう。じゃないといつまでもヘソ曲げたままになるからな」

「まぁいいよ。肉って言ってもいろいろあるけど、どの店がいいの?」

「焼肉ー!」

「んじゃそこの入ろうぜ」

「やったー♪焼肉だぁ」

「やったーだって♡可愛すぎるだろヤンキー」

「可愛いって言うなっての!茜は肉平気か?」

「普通に食べるぞ。野菜も好きだけどな」

「よし!んじゃいっぱい食おうぜー♪」


 空には飯食って帰るって連絡したし、思う存分食うぞー!
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