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本編
今言ったやつ日替わりで頼む!
しおりを挟む今日の活動が終わって俺は急いでボラ部の部室に向かう。みんなで集合写真を撮るからだ。その後茜達と浴衣の生地を選びに行くから、二人には少し待っててもらう事になっていた。
部室に入ると、既に他のメンバーが揃っていた。いないのは伊織となっちだけか。
手鏡を見ながら髪をいじっている怜ちんに出迎えられた。
「貴ちゃんお疲れ様ぁ」
「お疲れー。なぁ写真ってどこで撮るんだ?」
「部室じゃない?みんなで写真とかワクワクする~♪」
珍しく部長がいるから弁当のおかずの事話しておこう。
「なぁ部長ー、明日の弁当は肉系にして欲しいんだ。頼む」
「ちょ、貴哉まだ言ってるのかよ」
空に呆れられたけど、やっぱり肉が食いたい。
メガネを拭いてた部長に声を掛けると、表情を変えずに答えた。何か久しぶりに話す気がするな。
「肉系って何がいいのよ?トンカツ、焼肉、唐揚げ、ハンバーグ、チンジャオロース、いろいろあるけど」
「どれも美味そう♪今言ったやつ日替わりで頼む!」
「いいけど、毎日はダメだからな。ちゃんと野菜も食べなきゃ」
「明日肉にしてくれるなら何でもいい♪」
「本当に秋山はおかしな奴だな。どうだ?演劇部は」
「順調だぜー?鬼コーチとも仲良くやってるしな」
「二之宮くんの事?話は詩音から聞いてるよ。彼と仲良くなるなんてやるじゃん」
「だろー?って詩音と話したのか?」
「話す話すー。だって俺と詩音は親友だもん。何でも話す仲だぜ」
拭き終わったらメガネを掛けてキラリといった表情で俺を見てくる部長。詩音と仲良いのは意外だった。なんつーか、うちの部長の渡辺って詩音と違って華やかさが無いし、部活の事もほとんど副部長の風間がやってて詩音とは大違いって言うか……
うるさくないし、緩くていい奴だけどな!
「あいつ秋山の事かなり気に入ってるみたいだけど、何したんだよ?久しぶりなんだぜあんな張り切ってる詩音は」
今度は嬉しそうにニシシと笑う部長。何をしたって、二階から飛び降りただけなんだけど……もうこの話をするのも面倒だったから説明は省略しておいた。
「まぁ俺の魅力に気付けるって事は詩音も相当の手練れって事だろうな」
「手練れ?何でもいいけど、今度詩音と飯行くんだけど、秋山も来るか?詩音が喜びそうだからさ」
「行くー!空もいいか?」
「おういいぞ」
「空ー♪三年生が今度飯奢ってくれるって~」
「本当か!?やったー♪」
「お前、んな事でけぇ声で言うなって。そんな事したらみんな来るじゃねぇか」
俺の声に、空だけじゃなく怜ちんと、パソコンをいじっていた数馬も顔を上げてこちらを見て来た。副部長はやれやれと言った顔で見てた。
「俺も行くー♪先輩ごちそーさまでーす♪」
「怜ちんも参加なー!もちろん数馬も来るだろ?」
「た、貴哉がいるなら……」
「こりゃあ梓も詩音くんも破産しちゃうね。俺も三年生だし、行って助けてあげるよ」
「助かるぜ裕一ぃ。秋山ぁ、頼むからこれ以上は増やすなよー」
「おう。ここにいる奴らだけにしとくわ」
「でも詩音くんも喜ぶんじゃない?賑やかな方が息抜きにちょうどいいでしょ」
「だな。あいつ結構切迫詰まってるみてぇだからな」
「なんだよ、詩音やべーのか?」
「一応受験生だからね。詩音くんは今でも演劇部に協力してるから勉強と両立させるのに苦労してるんだよ。本当は夏休みも毎日参加したいと思うよ」
「そうそう。あいつ本当部活大好きだからなぁ」
「って、部長と副部長も受験生だろ?いいのかよまだここにいて」
「俺達は就職組だからね。夏休みいっぱいはここにいるよー♪さすがに8月にはいーくんと空くんに引き継ぐけどね」
「は?空?」
「あ、桐原さんに聞いたんですね」
「おい空、どう言う事だよ?」
「秋山くんは聞いてなかったんだね。次の部長はいーくん。副部長は空くんに決まったんだよ」
「マジで!?空がやるのかよ!」
これは驚いた。先週伊織に副部長をやらないかと誘われたけど、ボラ部を辞めるつもりだったから断ったんだ。そしたら空に話が行ってたとは……
「それ俺も初耳ー!空くん副部長頑張ってね~♪」
「こき使わないで下さいよ先輩」
「まぁ早川が妥当だろうな。残りのメンバーで考えたら」
メガネの部長が俺達を見てニヤリと笑った。確かに今の副部長並みの働きをするって言ったら、消去法で空が一番適任な気がするけど、えー、それじゃあ俺も辞められないって事かぁ?
「空、本当にやるのか?」
「おう。やってみる。俺って今までそういう大役って任された事無かったから上手く出来るか分からないけど、貴哉もいるし頑張ってみようと思うんだ」
笑顔の空は迷いのない目をしていた。そっか。空が決めたんなら応援するしかねぇな。
ここ最近の空の変化にちょいちょい驚くけど、良い方に成長出来てるんだし、俺も喜ばねぇとな。
「分かった!なら俺も空を応援する♪頑張れよ空」
「ありがとう貴哉♡頑張る~♡」
「あーあーもうっ羨ましいんでいちゃつかないでくれます?俺も彼氏欲しいなぁ」
怜ちんは不貞腐れたようにプゥっとほっぺを膨らませていた。
その後伊織となっちが来て俺達は無事仲良く集合写真を撮る事が出来た。
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