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本編
※やっぱり血は争えないのかな?
しおりを挟む※空side
光児さんに作って貰ったナポリタンを写メって貴哉に送ってやる。それを見た光児さんはやれやれと言った顔で笑いながらオレンジジュースもくれた。
「最近の子はすぐに写真を撮るよな。映えってやつか?」
「ああ、貴哉に送るんだよきっと」
「貴哉?」
「ちょ、兄貴うるさい」
「空の友達。男なんだって」
「へー、高校生になってやっと男友達が出来たのか~。良かったじゃねぇか」
「別に全くいねぇ訳じゃねぇよ」
「女ばっかだったあの空がな。これで雪も安心だな」
「まぁね~。可愛い弟がどんな大人になるのか不安だったけど、ちゃんと同性の友達が出来たなら良かったのかな?」
「…………」
二人共友達友達言ってっけど、付き合ってるって言ったらまずいのかな?いつかは貴哉の事紹介してーし、隠したくねぇけど。
「ほら、待ち受けにまでしてるんだよ!ちょー仲良しじゃない?」
「うわ、勝手に見せんなよ!」
「どれどれ?ん?なかなかの男前じゃねぇか!」
「だろー?あと面白くて可愛いんだ♪」
「でもよ、何かこの写メ見てっと、二人って友達っつーよりアレじゃね?」
「それ俺も思ったー。やっぱり血は争えないのかな?」
「な、何だよアレって!それに兄貴、血は争えないって!?」
二人のいろいろ気になる言葉に、ナポリタンを食べるのをやめて会話に割り込む。え、もしかして兄貴も男を好きなのか?
「空よ、貴哉は彼氏なのか」
「イケメンで良かったよー」
「っ何なんだよ!貴哉とは付き合ってるけど、兄貴も男が好きなのか?」
「何だ、雪の事知らねーのか空は」
「言ってないもん。ショック受けるかと思ったから」
新事実に俺は本気で驚いた。だって兄貴は一度もそんな素振りを見せた事がなかったんだ。
いや待てよ?兄貴って女にモテるけど、付き合ってるの見た事あったか?普通に一緒にいるのは見掛けた事がある。兄貴はモテるから彼女がいないなんて思いもしなかっただけなのか。
「その……兄貴はいつからなんだ?」
「結構前だよ。空は?貴哉で目覚めた感じ?」
「目覚めたのかは分からねぇ。貴哉以外の男とか考えられねぇし」
「…………」
「…………」
本当の事を言っただけなのに二人は同じようなポカーンとした顔して俺を見てた。
「お前っ!成長したなぁ!相手なんて誰でも良い。次来た時には違う女と付き合ってるようなゲスい男は卒業したのかぁ!」
「ちょ、光児さんひどっ」
「弟よ。本当の愛に出逢ってしまったかっそれも男とはな……」
「別にいいだろっ兄貴も男が好きなんだし!」
「ちょっと俺買い忘れた物あるから行ってくる~」
「コラ雪、逃げんな」
いきなりフラッと店から出て行こうとする兄貴を光児さんが捕まえて俺の隣に座らせた。
「雪、ちゃんと話してやれよ。お前にあった出来事を。同性と付き合うって事をよ」
「えー、空にはまだ早いんじゃないかなぁ」
「なになに?兄貴何かあったのか?」
「珈琲淹れてやるから開店の時間までゆっくり話せ」
光児さんはコーヒーカップを用意して少し離れた所で珈琲を淹れ始めた。
そして兄貴は俺をじーっと見て聞いて来た。
「空さ、貴哉の事本気なのか?」
「本気だよっ」
「はぁ、俺にも同性の恋人がいたんだ。空には隠してたけどな。ここ立ち上げた時にもう一人いたのは話しただろ?そいつだ」
「聞いたけど、もしかして今のマンションに一緒に住んでたって奴か?」
「そう。俺と同い年で、光ちゃんも知ってる奴だった。そいつとは中学から一緒で、お互い惹かれてたのもあって周りには内緒で付き合ってたんだ。そんで中学卒業で道は分かれた。俺は進学せずに光ちゃんとこで働く事に、そいつは高校に進学したよ」
「なぁ兄貴が中卒なのって俺のせいだよな……」
「弟は余計な事考えなくていーのっ。話続けるけど、俺とそいつの事を知ってた光ちゃんは俺達に部屋を借りて提供してくれたんだ。寮みたいな感覚で。そいつは実家が厳しいからたまに遊びに来てた感じ。週末はずっと一緒に過ごしてたけど、そいつが大学に行くってなっていきなり振られたんだ」
「まじ?何で!?」
「そいつさ、お坊ちゃんだったんだよ。どこぞのお嬢様と婚約するからって振られたよ」
「そうだったんだ……」
「振られたっつーよりお前から突き放したんだろ。俺が聞いた感じだとワタルは別れたくないから婚約を何とかするみたいに言ってたぞ」
「ワタル?」
どこかで聞いた事のある名前が出て来て驚いた。まさかあのワタルさんじゃないよな?
光児さんの口から出た名前に一瞬ドキッとしたけど、ワタルなんて他にもいそうな名前だしと思ってそのまま聞いていた。
「雪の元彼だよ。そいつもまた男前でな。明るくていつも笑ってる奴だった。ワタルは雪の事が大好きでよく懐いてたな」
「そんな昔話はいらないでしょ」
「言う程昔でもねぇだろ。ワタルが出てったのって二年前ぐらいだよな?」
「とにかくね、俺から空に言いたいのは、異性間でもあり得る事だけど、同性の場合は好きだけじゃ幸せになれない事が多いんだよ」
「世間体ってやつだな。最近では認められて来たけど、まだ偏見の目で見る奴は大勢いるからな。お前の兄貴は弟に傷付いて欲しくねぇんだよ。分かってやれ」
「それは、分かってるよ」
「ただでさえあんな母親のせいで苦労して来たんだもん、これからは幸せになって欲しいよ」
「コラ、親の事は悪く言うなって言ってるだろ。どんな親でも親は親だ」
「はーい。分かったよ光ちゃん」
「話してくれてありがとう兄貴。光児さん」
「とにかく今度連れて来いよ貴哉を」
「ああ、紹介する」
「俺にも会わせてくれよ。飯作ってやるから」
まるで俺の親みたいに心配してくれる兄貴と光児さん。俺はこの二人がいなかったら今もあの母さんと二人で暮らしてたのかな……
母さんからはあれから連絡ねぇけど、ちゃんと生活できるんかな?最後に渡した金は結構あったから上手くやり繰り出来てればいいけど。
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