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本編

貴哉ももっとガード固くしてくれよ!

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 メロンを食べた後、みんなで庭の片付けをして、それぞれ順番に風呂に入った。今は芽依が入ってる。一人ずつとか時間かかりそうだなー。
 芽依が手配した寝具とやらが届いたからみんなで客間に布団敷いてる所だ。一部屋じゃ狭いから襖を開けて隣の畳の部屋も使う事になった。


「何か楽しいねこういうの♪ワクワクするー♪」

「てかこれ高級羽毛布団じゃね?こんなの急に大量に準備出来るとか芽依ちゃんってどんなけお嬢様なの」


 伊織が布団を触りながら言うから触ってみると確かにスベスベフワフワしてて、うちのとは比べ物にならないぐらい綺麗な布団だった。
 そして人数分のパジャマや歯ブラシやタオル、お泊まりセットが揃っていた。


「戸塚もお坊ちゃんだよな~。こんなの普通だろ?」

「用意しようと思えば出来るが」

「春くんは庶民的なお坊ちゃんだから使用人にこんな風に頼んだりしないよねー」

「芽依は乱用するがな」

「なぁ次誰が風呂行く?俺疲れたからさっさと入って寝てーんだけど」

「こうしない?このまま一人ずつだと最後の人とか日付変わっちゃうかもしれないでしょ?二人ずつ入るのはどう?」

「中西ナイス!俺貴哉と入るー♪」

「ちょ、桐原さん!俺が貴哉と入るんですって」

「ふざけんな!そこは彼氏の俺だろ!」

「お前ら馬鹿だろ?うちの風呂は一般家庭用の風呂なんだよ。男が二人でとか狭くて入れねーよ」

「貴哉、この中だったら誰と入りたい?」


 全然人の話聞いてねぇな。伊織がニコニコ笑顔で聞くから一通りこの場にいる奴を見てみた。
 どこか余裕のある感じの伊織、キラキラ王子スマイルを向けてくる直登、不安気に俺って言ってと言う顔をする空、全く興味ないと言った表情でお泊まりセットを物色している戸塚。


「やっぱり戸塚かなぁ!」

「ん?」

「はぁ!?貴哉!そこは俺って言ってくれよぉ!」

「無欲の勝利か。お坊ちゃんやるじゃん」

「春くん羨ま~!俺に譲って♪」

「待て、俺は一人でいい。最後でな」

「そう言わず一緒に入ろうぜ~!じゃないとうるせぇんだよこの三人が!」

「はぁ、何で俺が秋山と……」

「にしても芽依の奴おせーなぁ!おい戸塚早く出ろって言って来いよ」

「本気で言ってるのか?さすがに俺でもそれは出来ないぞ」

「まぁまぁ、女子だから仕方ないでしょ」

「ところで中西がさっき貴哉の元彼って言ってたけど、本当なのか?」


 伊織の何気ない言葉にギクッとした。うっかり忘れてたけど、そんな事あったよなぁ。てか直登と戸塚も付き合ってた過去あるし、俺らって結構複雑な関係じゃね?


「はい♡付き合ってましたよー♡ちゅーまでならしましたー♡」

「はぁ!?そうなのか貴哉!」

「したっけ?俺と直登って」

「もー忘れたの?最後のワガママ聞いてくれたじゃん。まぁ、それだけじゃなくて朝迎えに行った時に寝てる貴哉に何度もしたけどね」

「お前そんな事してたのか!?」

「やっぱり中西も油断出来ねぇな!」

「戸塚とはぁ?」

「ねぇよ!あったら面白いわ!」

「春くんとは初め仲悪かったって言うか一方的に敵視されてたもんね」

「そうそう。俺が直登と話すだけでギロリ睨まれてたなー」

「仕方ないだろう。直登と秋山の距離が近過ぎたんだ」

「中西と戸塚かぁ~。お似合いじゃん?」

「やだなー。もう別れて結構経ちますから~」

「へ、付き合ってたのか?お前らって結構エグい関係図になるな」

「桐原さん?結局貴哉と付き合ってるのは俺ですからね?そこは間違えないように」

「知ってるって、やきもちやきの早川だもんな」

「やきもちやかせないで下さいよ!」

「やかせねーよ。でも選ぶのは貴哉だろ。貴哉に指名されたら俺は素直に行動するぜー」

「空、お前どうせ口で負けるんだから伊織に噛み付くなって」

「貴哉ももっとガード固くしてくれよ!何でそんなに緩いんだよぉ」

「んな事言ってもこれが俺だしなぁ。ガード固めてもこいつらには効かねーからめんどくせーんだよ」

「そうそう♪これが貴哉だよねー♡」


 どうでもいいけど、早く風呂入って布団に寝転がりてぇんだけど。
 俺は立ち上がってリビングにいる母ちゃん達の所へ行こうと襖を開けた。すると、ちょうど風呂上がりの芽依が歩いて来た。


「お、出たのか。髪乾かさねぇの?」

「あら貴哉♪時間かかるからお義母様のドレッサーを借りる事になってるの」

「お前髪長えもんな。んじゃ俺も風呂入ってくるわ」

「ええ。行ってらっしゃい」


 ニコッと笑う芽依は、いつもと雰囲気が違った。通りすがる時にフワッと甘い良い匂いがした。これが女子ってやつか?


「芽依ちゃん出たの!?なら俺が貴哉と一緒に……」

「お前ら喧嘩してて時間掛かるから俺が秋山と入る。俺なら秋山から指名もあったし、やましい気持ちがないから一番適任だろう?」


 空も一緒に来ようとしたが、まさかの鉄仮面が名乗りをあげた。ちょー意外!俺は次に入れるから一人でも良かったけど、戸塚が言うんじゃなー。


「おう!まさか戸塚と裸の付き合いするとは思ってなかったけど、来いよ♪背中流してやんよ」

「結構だ」

「春くんずるーい!」

「戸塚のやろー!貴哉に興味ないからって、役得過ぎるだろ!」

「まぁまぁ、俺は凛子さんと話でもして来ようかな♪」

「俺も行きまーす♪」

「じゃ、じゃあ俺も!」


 残りの男共は母ちゃんの所へ行くらしい。今頃晩酌してる母ちゃんも喜びそうだな。
 
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