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本編
一年生トリオ来た来たー!
しおりを挟む部室に入ると皆んな揃っていた。
二年生の香山那智は既に運動部の助っ人に行ってるからこの場には居なかった。
「一年生トリオ来た来たー!」
「おはよう三人衆♪さて揃った事だし始めようか」
二年生の平塚怜が嬉しそうに騒いでいた。朝から元気とか子供みたいだな。この中で一番小柄でいつもはしゃいでる。髪色はピンクっぽい茶髪。
次に副部長の風間裕一が立ち上がりホワイトボードの前に立つ。ボラ部を仕切っているのは風間で、いつも連絡してくるのも風間。三年生でみんなの世話してる優しいお兄さんって感じだ。
同じく三年はもう一人いる。一番前の席に座ってる部長の渡辺梓だ。メガネをかけていて、黒髪で見た目は普通。いつもそこに座っていてあまり部長らしい事をしてるのは見た事がない。話しても結構いい加減な感じで、正直どんな奴かはまだ分からない。
部屋にはホワイトボードに向かって長い机が三つ並んでいて、一番先頭に三年、二番目に二年、そして一番後ろの机に俺達一年が座るようになった。
俺を真ん中に右に空、左に数馬が座った。そして真ん中に右に座るもう一人の二年の桐原が後ろを向いて俺に言った。
「貴哉ぁ、今日は嬉しい任務があるみたいだぜ♪」
「あ?嬉しい任務?」
桐原伊織。赤い髪でとにかくどこにいても目立つ男。ファンがいるぐらいのイケメン。その上何でもこなすスーパー高校生らしい。俺は桐原に気に入られててちょっかい出される事が多いんだが、空が嫌がるから迷惑している。
ちなみに空と付き合ってる事はここにいる全員どころか学校中が知っている。
「秋山くん、それは俺から説明しよう♪これが成功すれば君のミッションもクリア出来るんじゃないかってぐらいの仕事だよ」
「マジか!なになに?どんなやつー?」
「秋に行われる文化祭に向けて演劇部から助っ人が欲しいと言われているんだ。それには秋山くんといーくんにお願いしようと思っている」
「演劇部だぁ?」
「うちの学校は文化部が強いのは知っているね?特に演劇部は本格派でね。部員も大勢いる。今回は映画部と音楽部、他にもいろんな部活に協力をしてもらって超大作を作っているらしいんだ三つの部活が協力し合うなんてとても素敵だよね!是非うちも参加して活躍しようじゃないか!」
「ふーん」
文化部が強いのなんて初めて知ったけど、めんどくさくなければ何でもいい。それで生徒会長に言われた課題がクリア出来るんならな。
適当に聞いてたら隣にいる空が手を挙げて質問してた。
「待って下さい。それ、貴哉じゃなくて俺じゃダメですか?」
「早川くんには他の仕事を用意したんだ。怜ちんと一緒に美術部の助っ人に行って欲しいんだよ。でも美術部の方って主に絵の指導なんだよね。それは怜ちんがやるんだけど、早川くんには怜ちんの補助をしてもらいたいんだ。それだと秋山くんのミッションクリアにはちょっとインパクトが足りないかなって思うんだよ。それと、いーくんと秋山くんは演劇部部長からの指名でもあるんだ」
「そうですか……」
「早川、俺がいるから嫌なんだろ?」
「はいそうです」
桐原がニヤニヤしながら空に言うと、不機嫌そうに答えた。
どっちかって言ったら美術部の方が楽そうでいいなと思うけど、課題クリアし易い方選んだ方がいいよなー。ここは空には我慢してもらうか!
「空!俺、演劇部の方行くぜ!」
「決まりだな♪貴哉頑張ろうなー」
「…………」
「まぁまぁ、元気出してよ空くん♪美術部も俺達で頑張ろう?」
「……はい」
怜ちんが慰めるように言うと、渋々返事をしていた。空の気持ちも分かるが、俺はとっととクリアして早く自由になりたいんだ。そうすりゃ桐原ともこうして会わなくて済むだろ?
「那智には引き続き運動部の方をお願いしてるから、当分は今説明した感じの活動で行こうと思うんだ♪その間に入った依頼とかは俺と部長と広瀬くんで対応するね。いーくんと怜ちんはそれぞれ初めてじゃないからリーダーになって二人を引っ張ってあげてね~」
「任せとけって♪貴哉、早速演劇部に挨拶に行くぞ」
「おう」
「空くん、俺達も行こうか~?」
「……はい」
空の奴、元気ねぇなぁ。部活が終わったら励ましてやるか!
俺と桐原は二人で演劇部が活動している一階の食堂に移動した。
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