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貴方凄かったわ♡
しおりを挟む待ち合わせ場所のカフェには戸塚と芽依、そして楓も居て俺以外が揃ってた。
うわー、芽依の奴キツい目を更にキツくさせて綺麗な顔が台無しだぜあれじゃ。
「待たせたな」
「待たせたなじゃないわよ!どうしてこんなに遅くなる訳!?貴方やる気あるの!?」
「芽依、落ち着け。秋山は今日追試だったんだ」
「それはさっき聞いたわよ!これだから馬鹿は嫌なのよ!」
「まぁまぁ、これで揃ったし本題に入ろうぜ?」
このままでは俺と芽依が喧嘩になると思ったのか楓が間に入って何とか収まった。
俺も言われっぱなしはムカつくからな。さすがに女には手出さねぇけどな。
「では改めて作戦を確認する。まず、野崎、急だったのに協力してくれて感謝する。改めてよろしくな」
「貴哉の頼みだ。お安い御用だ」
戸塚が仕切って、楓に言った。
やっぱり楓だなぁ。
中学の頃一緒に馬鹿してたのが懐かしいぜ。
「この後秋山と芽依、そして野崎の三人で荻野の所へ行ってもらう。荻野は野崎が捕まえてくれた。芽依が直接話たがってると嘘をついて、まんまと騙された荻野は一人でここから少し離れたカフェで待っている状態だ」
「なぁ楓、荻野って普通なんだろ?話し合ってなんとかならねぇの?」
「どうだろうな。俺も話したのは今日が初めてだから。その時は普通だったけど」
「とにかく初めは話し合いに持ち込むんだ。そして秋山と芽依が付き合っていると告げて諦めてもらう。それでもゴネるようなら、秋山が外に連れ出して脅す。という手筈になっているんだが、秋山大丈夫か?」
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「それは控えた方がいい。学校にバレでもしたら即退学だぞ」
「それはマズイな」
「ま、そこは俺が出るよ。貴哉の手下って事にしてさ」
「さっすが楓~♪」
「ふんっ馬鹿はお気楽でいいわね。アイツがまともに話し聞く訳ないじゃない」
「とりあえず行ってみようぜ。あんま待たせて帰られたら困るからな」
戸塚はここに残り、俺達三人は目的のカフェに向かった。
楓とこう言う事するのって久しぶりだから何かワクワクするなー。
「なぁ楓、あの頃思い出すな!」
「ああ、貴哉とは良くヤンチャしたな」
「今はやってねぇの?喧嘩とか」
「やらないかな。光陽にはそういう連中山程いるけど、俺が出るまでもないからな」
「随分余裕だなー。どれぐらい強くなったのかやり合いたいぐらいだぜ」
「貴方達知ってる?そう言うの、どんぐりの背比べって言うのよ」
「あ?」
「何でも暴力で片付けようとして、頭を使わないからどんどん馬鹿になるのよ。そう、紘夢みたいにね」
「お前は相変わらずだな~。その馬鹿に助けてもらうのにな」
「私だってもう限界なのよっあんなストーカー!」
「なぁ実際何されたんだ?警察には行ったのか?」
楓が普通に聞いていた。
特に興味無かったから聞かなかったけど、確かに警察に言えば注意ぐらいしてくれるだろうに。
「跡を付けて来たり、私の学校まで来て待ち伏せしたりされたのよ。警察には家の事情で話せないの。だから春樹に頼っていたんだけど、それも効かなくなって来て……」
段々元気の無くなる芽依。
まぁ女からしたら男にそんな事されたら怖いのかもな。少しかわいそうになって来たな。
「安心しろ。俺と楓が何とかしてやっから」
「女性に嫌がる事するなんて許せないもんな」
そして、目的のカフェに到着した。
中に居るっぽいけど、光陽の制服を着てるアイツっぽいな。店の奥に一人で座ってスマホをいじってる男がいた。
店員に話してその席まで向かう。
そして芽依に気付いたその男は立ち上がって、一緒にいた俺達を睨んで来た。
「芽依!何だよその男達……あ、お前」
楓に気付いたのか、訳が分からないと言った顔をしておどおどしていた。
荻野は見た目こそ普通。いや、俺からしたら普通よりちょっと暗そうな……漫画とかアニメとか好きそうな男だった。
「やあ荻野。ちょっと四人で話そうぜ」
「え、どう言う……えっ」
「単刀直入に言う。お前芽依の事好きなのか?」
「な、何だお前っ!芽依の何なんだ!」
俺が喋ると大きな声で返された。
お前こそ芽依の何なんだよ。
「俺は芽依の彼氏だよ。だからこれ以上付き纏うってんなら容赦しねぇぞ」
「め、芽依に彼氏なんか居ない!なぁ、そうだろ?芽依っ」
「この人は私の恋人よ」
「そんな……嘘だ……」
「おい、もう芽依に近づかねーって誓え。ぶん殴るぞ」
「俺が証人になるからな。お前が勝手な事しないようにしばらく張らせてもらうぞ」
「ちっ……なぁ芽依、こいつら追い払ってくれよ。二人で話し合おう」
「嫌よっ貴方と二人きりになるなんて」
「お前さ、芽依のどこが好きな訳?」
「は?」
「ちょっと!変な事聞かないで!」
「気になったんだよ。おう、どうなんだよ?」
「お、俺は……芽依のその長くて綺麗な黒髪と、整った顔が……リリカみたいで好きなんだ」
「リリカ?」
「誰だそりゃ?」
「リリカだよ!魔法少女リリカ!ほらこの子だ!」
そう言って興奮しながらスマホでリリカとか言う女を見せて来た。
ゲッ女ってかアニメのキャラクターじゃねぇか!
こいつやっぱそういう系じゃねぇか。
見せられたキャラクターは確かに芽依に似てた。
「リリカは俺の嫁なんだ!そのリリカが芽依なんだ!芽依!そうだよね?」
「そんな訳ないでしょう?気持ち悪いっ」
「おい、残念だが芽依はリリカじゃねぇ。他当たれよ」
「うるさい!リリカなんだ!」
「貴哉、外連れて行こう。ここじゃ迷惑になる」
楓の言う通り、時々荻野が大声出すから店員や他の客に嫌な顔で見られてた。
店を出て暴れる荻野をカフェの裏に連れてった。
さて、この手の男はどうやって撃退すればいいのかね?
「貴哉、コイツはアニメの世界と現実の境目が分からなくなってんだ。それを分からせてやればいい」
「どうやって?」
「リリカって女が絶対やらないような事を芽依ちゃんがやれば、リリカじゃないって気付くんじゃねぇか?」
「えっ」
「なるほどな!リリカがどんな女か知らねーけど、魔法少女ってぐらいだからきっと清純派なんだろ。現実の芽依は魔法なんかに頼らない暴力サイボーグなんてのはどうだ?」
「人で遊ばないで!」
「一発ビンタしてやれよ。目冷めるんじゃね?」
「そんな野蛮な事出来ないわよっ貴方がやって!」
「俺がやってもリリカじゃないって気付けねぇだろ。お前がやるしかねぇよ」
「なぁ貴哉、もう一つ思い付いたぜリリカがやらなそうな事」
「ん?どんな事だ?」
「清純派ならきっと処女だ。荻野の目の前で芽依ちゃんとイチャイチャすれば効果あるかも?」
「んな事出来るか!!」
「絶対嫌よ!!」
「もー、芽依ちゃんもこいつ撃退したいなら少しは我慢しなきゃー。こいつとキスするよりは貴哉との方がマシだろ?」
「っ……」
「楓!勝手に話進めんな!」
「お、お前ら!芽依を困らせるんじゃない!」
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「分かったわ。やるわよ貴哉」
「はぁ?ちょっと待ってくれよ!俺は……」
振りだったとしても芽依とキスなんて出来るか!
腹を括った芽依は俺に向き合う形で立って、キッと睨んで来た。そして目を瞑って顔を上げて来た。
く、くそっ!何で俺が好きでもねぇ女と!
「ちくしょ!おい荻野!良く見とけ!」
ヤケクソだった。俺は目の前の芽依を抱き寄せてキスをした。
目を瞑って早川とするみたいに。
あー、早川が知ったら怒るだろうなー。
また喧嘩になったらどうしよ。
許せ早川……
いや、ここに居るメンバーでバラすような奴はいねぇか?
「ん……」
「あ……芽依……リリカ……嘘だぁ!リリカは男とチューなんかしないっ」
「嘘じゃねぇよ。荻野が知ってるリリカはあんな事しねぇだろ?だから芽依はリリカじゃねぇんだ。分かったか?」
「嫌だ嫌だ!」
「こいつ!おい貴哉!もっとしろ!早く!」
「荻野のヤロー、後でぶっ飛ばしてやる!芽依いくぞ」
「ええ!」
今度は強く芽依を抱き締めて濃いキスをしてやった。
芽依だって考えると上手くできねぇから、早川とするのを想像してやった。
早川、終わったら会いに行くからな!
そんでちゃんと話して謝る!
一回唇が離れたからすぐにもう一度角度を変えて見せ付けてやった。
「ああああっリリカじゃないっそんな女っリリカじゃないいぃぃ!」
「よし!効果あったぞ!貴哉!もういいぞ!」
楓の叫び声に、くっついていた芽依とバッと離れて唇を袖で拭く。
さて、どうやってボコボコにしてやろうか荻野くんよぉ。
「待って!貴哉っ」
「あ?んだよ!め、い……?」
芽依に呼び止められて振り向くと、そこには顔を赤くして目を潤ませてる色っぽい女がいた。
あ?コレ、あの芽依か?
「貴哉……貴方凄かったわ♡」
「はい!?」
気付いたら荻野は既に逃げていて、ずっと荻野を押さえていた楓は地面に座り込んで俺達をニヤニヤと見ていた。
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