27 / 43
彼氏と喧嘩してぼっちなんだろ?
しおりを挟む「何でお前がいんだよ?」
広瀬を連れて廊下に出ると、桐原がニッコリ笑って立っていた。ふと朝の出来事が頭をよぎる。
「てめぇ!何話しかけてんだ!おかげで早川と喧嘩しちまったじゃねぇか!」
「あ、やっぱりあれが彼氏なのかー。挨拶したかったんだけど残念だなぁ」
「何が挨拶だ!あれだけ言ったのに!」
「まぁまぁ、それはともかく。おめでとう♪」
「あ?」
「広瀬の事だよ。まさか初回から成功するとは思わなかったから本当に驚いた」
桐原に言われてチラッと広瀬を見ると、ササっと俺の後ろに隠れた。
「みんな病気だの何だの大袈裟なんだよ。話してみたら広瀬は普通じゃねぇか。特別扱いなんかするから余計に殻から出られねぇだけじゃん」
「あのな、普通の風邪とかの病気と違うんだぞ。って今は貴哉には頭上がらないか。広瀬の心を開くの俺でも無理だったもんな」
「ハッ!てめぇなんかに負けるかよ。行くぞ広瀬」
早く教室に行きたくてさっさと歩いて行こうとすると、広瀬がピッタリ後をついて来た。親鳥の後をついて行くヒヨコみたいだな。
そして当たり前かのように桐原もついて来た。
「なぁ貴哉、彼氏とは付き合ってどれぐらいなんだ?」
「誰が教えるかよ」
「じゃあどっちから?」
「うるせぇなぁ!今急いでんだよ!ってうわ!」
あまりのしつこさに一発殴ってやろうと思い切り振り返ると、思ったより近くに居た桐原にぶつかってしまった。
そして自然な流れで桐原は俺を抱き抱えた……
「て、めぇ!何してんだ!」
「貴哉が飛び込んで来たんだろ♡可愛いなーもう」
「離せ!広瀬!助けろ!」
「っ……でもっ」
「広瀬は俺の味方だよなー?なぁ貴哉、今日一緒にランチしよ?」
「誰がするか!」
「いいじゃん。彼氏と喧嘩してぼっちなんだろ?」
「ぼっちじゃねぇ!広瀬がいる!」
「秋山っ」
俺が桐原に捕まってもがいてると、広瀬が入って来てくれた。これには桐原も驚いたみたいでパッと俺から離れた。
「桐原さんっごめんなさい!秋山と俺、教室に行かなくちゃだから……」
「ふーん。広瀬が言うなら仕方ないか」
「サンキュー広瀬♪よし!走るぞ!」
桐原から逃れた俺達は走って階段を駆け上がり、教室に飛び込んだ。
すると、既に中にいた奴らが一斉にこちらを見て来た。やべ、広瀬が……
「広瀬!」
「……はぁはぁ」
慌てて広瀬を見ると、走ってなのかこの状況になのか分からないが、とにかく息を荒くしてうずくまっていた。
これじゃまた第二会議室行きじゃねぇか!
「落ち着け広瀬!俺を見ろ!」
「はぁはぁ、あき、やまっ」
広瀬の肩を掴んで落ち着かせようとするけど、既にパニックになってるっぽかった。
こんな時どうしたらいいんだよ!どうにかして落ち着かせねぇと……落ち着かせる?俺が落ち着くって言ったらどんな時だ?
「……あ」
「……はぁはぁ」
とにかく今は思い付いた事をやるしかねぇ!俺はガタガタ震える広瀬を思い切り抱き締めてやった。
「広瀬っ大丈夫だ!俺がいる!」
「っ秋山……」
広瀬も俺にしがみついて必死に堪えようとしていた。頑張れ!今は落ち着くのを待つしかねぇ。
俺が思いついたのは温もりだった。ガキの頃とか親に抱き締められると温かくて安心出来たのを覚えてる。だからってそれが効果あるかは分からなかったけど、今の俺にはそれしか出来なかったんだ。
「ちょ、貴哉?大丈夫?」
一連のやり取りを見ていた直登が近寄って声を掛けてくれた。すると、広瀬の呼吸は更に荒くなった。やっぱり広瀬にはこの人数はまだ早かったのか。
「直登、担任が来たら伝えといてくれ。俺と広瀬が保健室行ったって」
「うん!分かった!」
この場は直登に任せて広瀬の肩を支えながら保健室へ向かった。
20
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる