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ようこそボラ部へ♡
しおりを挟む放課後になったからボランティア部の部室を目指して歩く。早川は先に帰った。しばらく帰りは別々になりそうだな。
美術室の隣って言ってたよな?美術室は裏校舎の三階だな。滅多に来ない所だからすれ違う生徒にジロジロ見られた。
にしてもまさか俺が部活に入るなんてな。強制的にって感じだけど、面倒くさくて仕方ないぜ。しかもボランティア部って何だよ。ただの雑用じゃねぇか。
適当に参加して適当に過ごそう。成果なんか誰かの手柄横取りすりゃいいだろ。
「おーい、少年!」
「あ?」
裏校舎の階段を上がってる途中で後ろから声がして振り向くと、なんと、赤い髪の男が俺に手を振り駆け上がって来ていた。
何だあの派手なのは!この学校にあんな奴が銀髪の他にもいたのか……
「へへ!悪ぃんだけど、ちょっと付き合ってくんね?」
「はぁ?ってオイ!」
俺のすぐ下まで来たと思ったらいきなり腕を掴まれた。そしてそのまま抱き寄せられた。階段で足場が悪くてバランスを崩して俺はそのまま赤い髪の男にもたれ掛かるように倒れちまった。
「何すんだテメッ……」
「しー。少しだけだから♡」
「ちょ、ヤメロ!」
すぐに引き剥がそうとすると、更にキツく抱きしめられた。そしてしばらくの間そのままの体勢が続いた。
一体何なんだこいつは?何がしてぇんだ?
「そろそろ大丈夫かな」
ボソッとそんな事を言ったと思ったらパッと離された。ぶん殴ってやる!
「テメェ覚悟しやがれ!」
「ちょ、悪かったって!でも助かった!ありがとう」
「訳わかんねー!何でいきなりあんな事しやがったんだ!てかお前誰だ!」
「そんな怒るなよー。俺にギュッてされてラッキーって思わなきゃ♪」
「はぁ?」
「いや実はさ、今ストーカーに追いかけられててさ!誰かとイチャイチャしてれば諦めてくれっかなぁって♡」
「ストーカーだぁ?ここ男子校だぞ?そんなのいる訳ねぇだろ」
「それがいるんだって!君も気を付けた方がいいよ?結構カッコいいから。あ、俺用があるから行くな!」
赤髪は一人で話を切り上げてそのまま階段を登り始めた。くそー、悔しいが俺も早くボランティア部に行かなきゃだし堪えるか。
俺も階段を登って目的地まで向かう。
しばらく歩く。赤髪の後を追うように。
「少年、何で付いて来るんだ?」
「俺もこっちに用があるんだよ!」
「あ、そうなの?」
「誰がお前の後なんか付いて行くかよ」
「随分と元気のいい少年だな。気に入ったぞ♪」
「やめろよ。気に入るな」
「なぁお前一年だろ?名前なんてーの?」
「教えねーよ」
赤髪とそんなやり取りをしていたら目的地に到着した。美術室の隣ってここだよな?あ、ドアんとこにちゃんとボランティア部って書いてある。手書きだけど。
ドアを開けようとしたら赤髪がジッと見てる事に気付いた。
「何だよ、さっさと行けよ」
「いやいや、俺もここに用があるから」
「はぁ?お前まさかボランティア部か?」
「えー、もしかして新入部員って少年の事かー?」
「お前がいるとか最悪!」
「俺は最高♡ようこそボラ部へ♡」
機嫌良く赤髪がドアを開けると、既に中に居た奴らが一斉にこちらを見て来た。あ、昼間の小さいのとデカいのもいる。そして副部長も……
「秋山くん!待っていたよ!」
「秋山って言うのか。下の名前はー?」
「いーくん、貴ちゃんと一緒に来たの?知り合い?」
「いんや、そこで会った。貴ちゃんってゆーの?」
「変な呼び方すんな!」
「だって怜ちんが呼んでんじゃん」
「まぁまぁ、二人共座って。主役が来たから始めるよー」
副部長が仕切ってみんなをまとめていた。
窓の方にホワイトボードがあって、それに向かって三人ぐらい座れる長い机が三つ並んでた。副部長はホワイトボードの前にいて他の奴らは机に座っていた。
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