【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ2nd season

pino

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アンタら一体何なんだ?

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 昼休み、早川を連れて生徒会室へ向かう。
 また美味い弁当が貰えると思うと足取りが軽いぜ。早川は不安そうだけど、周りが言う程悪い奴らじゃないと思うんだけどな。


「早川は銀髪と生徒会長嫌いなのか?」

「嫌いって言うか、あまりいい噂聞かないからなぁ」

「ふーん。弁当くれるし悪い奴らじゃねーよ」

「確かにあの弁当は美味かったけど」

「まぁヤバそうなら逃げりゃいいだろ」

「貴哉、俺達ずっと一緒だよな?」

「は?何いきなり」

「何かさ、貴哉が遠くに行っちゃう気がして」

「どこに行くってんだよ。引っ越す予定なんかねぇぞ」

「そう言う意味じゃねぇよアホ」

「……安心しろ。俺はまだお前の事嫌いになってない。むしろ好きだ。だから遠くになんか行かねぇよ」

「貴哉ぁ♡ほんとツンデレなんだから♡」

「そう言うお前こそ平気で離れて行きそうだけどな。やっぱり女がいいとか言ってさ」

「あ、俺が居なくなったらやだ?ねぇやだ?」

「うるせぇなぁ。いちいち喜ぶんじゃねぇよ」

「貴哉にそう言う事言われるの好きなんだよ。もっとヤキモチとか妬いて欲しいな」

「ヤキモチとか面倒くさくね?」

「全然!愛されてる感じがして好き♡」

「変態め。ほらもう着くぞ」


 相変わらずな早川で少し安心した。
 さて今日の弁当は何かなー?ワクワクしながら生徒会室のドアを開けると、知らない男が数人ソファに座っていて、一斉に俺達を見て来た。


「おーい生徒会長いるかー?」

「なになに君たち?葵くんに用なの?」


 構わずに中に入って生徒会長の名前を呼ぶと数人の一人が立ち上がり声を掛けて来た。
 見た目こそ普通な感じの男。他には小柄の男とその隣には大きな男がいた。


「呼ばれたんだよ。いねーのか?」

「ちょ、貴哉この人達多分先輩だぜ」

「知るか。あっちの部屋にいるんかー?」

「もしかして君、秋山くん?」


 名前を呼ばれてもう一度その男を見ると、笑顔でこちらを見ていた。何で俺の名前知ってるんだ?


「やっぱり!俺達も葵くんに呼ばれてるんだ。待ってればもう少しで来ると思うよ」

「しつもーん!そっちの子は?聞いてたのは一人だけど」


 ここでもう一人の男、小柄の方が手を挙げて喋った。早川の事だ。


「連れだ」

「連れねー、俺知ってるぜ!お前ら付き合ってるんだろ?」


 俺が答えると、大きな男が自慢げに言った。まぁ俺と早川が付き合ってるのは公開告白もあってほとんどの奴らが知ってる事だから不思議じゃねぇけど。


「そうだよ。付き合ってるよ」

「堂々としてて凄いな~。うん、秋山くん良いね!」

「?」


 初めに喋ってた普通な男が俺に向かって親指を立ててイイねってポーズをして来た。訳が分からないからシカトして空いてたソファに座ると、早川も隣に座った。


「秋山くんの彼氏くんは何て名前なの?」

「早川です」

「早川くん!君もルックスいいよね!うんうん」

「なぁアンタ、何で俺の名前知ってたんだ?」

「葵くんに聞いたからだよ。秋山くんは聞いてない?」

「知らね。アンタら一体何なんだ?」

「ふふふ。実は僕達はね……」


 普通な男が話し出そうとした時、扉が開いて生徒会長が入って来た。と、銀髪もいた。
 呼び出しておいて遅れてくるなんてな。


「あー、みんな揃っちゃってるー!遅くなって悪いなー!」

「まったく、弁当如きに隣町まで行く事無かったんだ」

「だって、貴ちゃんにどうしても食べてもらいたかったんだもん」

「へー、今日の弁当それ?何弁当?」


 どうやら遅刻した理由は二人で弁当を買いに行っていたらしい。生徒会長の両手にはここにいる人数分であろう弁当が入った紙袋があった。なら許してやるか。


「じゃじゃーん!隠れた名店の牡蠣飯弁当だよー♪会員じゃないと買えないレアなお弁当だよー」

「牡蠣!?」

「あれ、牡蠣食べられない?」

「好き!食う!」


 俺と銀髪がそんなやり取りをしているのを早川も含めた四人がポカーンと見ていた。


「紘夢、弁当は話しながら食べるとしよう。配ってくれ」


 生徒会長が銀髪に言って、牡蠣飯弁当がそれぞれに配られた。もちろん早川にも。急に来たのに早川の分もあって良かった。


「空くん来るの知らなかったけど、那智の分二個買っておいて良かったなー!」

「さすが紘夢!俺の分二個買っておいてくれたのか」

「当たり前だろー。那智は人の倍食べるもんな」


 どうやら大きな男の分を一つ早川に回したらしい。
 今日は弁当を食べながらって話だけど、勉強とかする訳じゃなさそうで安心した。早速牡蠣飯弁当を食べてると、生徒会長が話し始めた。


「えー、みんな食べながら聞いてくれ。三人には話したが、そこにいる秋山貴哉は最低のE評価だ。俺の指導の他に、ボランティア部にも協力してもらいたいと思っている」

「ボランティア部?」


 聞き慣れない部活に、早川を見るが知らないらしく首を横に振っていた。


「秋山、お前の担任と話し合った結果、追試の他にボランティア部へ参加すれば夏休みを与えてくれる事になった。そこで夏休み中に成果を出せたら退学や進級の件も考えてくれるそうだ」

「ボランティア部に参加だと!?俺に部活に入れって言うのか?」

「そうだ。難しい事ではないだろう」

「めんどくせぇよ!大体ボランティア部って何だよ!」

「ここからは俺が説明するよーん♪」


 とんでもない話になっている事に驚いてると、普通な男がニッコリ笑って話し始めた。


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