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これで俺達また友達だな
しおりを挟む次の日の朝、珍しく自分で起きる事が出来た。そろそろ直登が来る時間だから外に出て待ってると笑顔の直登が歩いて来るのが見えた。
「あれー、自分で起きられたのー?」
「おう!何か目が覚めた!学校行こうぜ」
「うん!」
本当はあまり眠れなかったんだ。昨日の事や直登の事とかを考えてたら気付いたら朝方になっててそのまま起きてた感じ。
今日俺は直登に正直に話すつもりだ。話すなら今がいいと思ってるんだ。
「直登ー、真面目な話なんだけど」
「んー?なにー?」
「俺、直登とは付き合えない。ごめんな」
「……それは何で?」
「正直に言う。俺は早川の事が好きだ」
「…………」
あれ、意外と驚かないな。まぁ落ち着いて話せるからちょうどいいか。
「だから直登とはもう付き合えない」
「はぁ、まだ約束の一週間経ってないんだけど」
「それは……分かってる。でも俺の気持ちは変わらない」
「その事は空くんは知ってるの?」
「ああ。でもまだ付き合ってない。それは直登とキチンと別れてからじゃないとダメだと思ったからだ」
「分かった。ちゃんと話してくれてありがとう」
「ああ……」
「実は昨日春くんに説教されちゃったの」
「戸塚に!?」
「あんな春くん初めてだったよ。直登のワガママに秋山を振り回すんじゃない!って」
戸塚の真似をしながら言う直登。あの鉄仮面が直登にそんな事を?信じ難いが、直登の態度を見てると本当なのかもな。
「それと、春くんは完全に俺の事を諦めたんだって。だから一緒に前に進もうって励まされたよ」
「戸塚もたまにはいい事言うんだな」
「うん。貴哉よりはまともな考えしてるからね」
「イラッとするがそうみてぇだな」
「本当は別れたくないよ!だって、貴哉の事大好きだもん!」
「うん。それは分かってる」
「あーあ!悔しいなぁ!やっぱり空くんなのかぁ!」
「自分でも驚いてるよ」
「貴哉、最後にワガママ聞いてくれない?」
「おう、何だ?」
立ち止まって真っ直ぐ俺を見てくる直登。最後ぐらい素直に聞いてやろう。直登にもいろいろ勉強させてもらったしな。
そしてニコッと笑ってグッと近づいてきて一瞬チュッとキスをされた。
「なっ!お前こんなとこで!」
「えへへ~♡これで俺達また友達だな」
無邪気に笑って先に歩いて行ってしまう直登。
俺はビックリし過ぎてしばらく立ち尽くしていた。俺の考えをちゃんと聞いて受け入れてくれた直登。もっと面倒くさくなるかと思ってたけど、お互い後腐れなく別れられた気がする。
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