上 下
36 / 55

いつものチャラ男じゃないような?

しおりを挟む

「貴哉おはよ」

「はよ……」


 廊下で直登と言い合ってると、早川が登校して来た。意外と普通?てっきり直登が何か言ったのかと思ってた。


「なぁ貴哉、話があるんだ」

「何だ?」

「空くん、ここで話せよ」

「やだね。二人で話したい」

「ダメ。貴哉は渡さない」

「貴哉、来て」


 早川に手を差し出されてこっちへ来いと言われる。反対に、直登には腕を引かれて行くなと言われる。
 何この状況?一体どうしたらいい?


「あー、早川悪い。あんま直登の機嫌悪くさせたくねぇんだ。ここで話せるか?」

「貴哉……」

「そうだよ空くん。話せないような内容なの?」

「……明日も、中西と学校行くのか?」

「え、早川?」

「そうだよ!」


 ちょっと待て。早川の様子変じゃね?何か無表情で、暗くて、いつものチャラ男じゃないような?
 俺の代わりに直登が答えるけど、変わらず暗い顔のままだった。


「ふーん。分かった」

「おい早川!」


 呼び止めようとするがそのまま教室に入って行ってしまう。
 あいつどうしたんだ?
 やっぱり直登が余計な事言ったのか?


「直登、朝あいつに連絡した時何て言ったんだ?」

「普通に今日から貴哉の送り迎えは俺がするって言っただけだよ」

「それだけか?」

「…………」

「おい!」

「貴哉と付き合う事になったからもう近付くなっとも言った」

「何ぃ!?」 


 早川があんなんになってんのはそれが原因じゃねぇか!てかもっと言い方あったんじゃね?
 はぁ、何かもう疲れたから何も考えたくねぇや。


「だって本当の事だろ?それと、俺本気なんだよ。だったら貴哉も本気で向き合ってよ!」

「んー……」

「まだ好きじゃないのは知ってる。でも少しぐらいは俺を優先してよ!何でも嫌々じゃなくて、せめて優しくするぐらい、してよ……」

「直登……」


 今度は俯いて元気なくしてた。
 確かに一週間付き合うってのに乗ったのは俺だ。途中で放棄する気はねぇけど、もう少し直登の事も考えるべきだったか。
 しょげる直登の頭をポンポンとしてやった。


「悪かった。言っとくが俺は誰かと付き合った事がねぇ。だから何をしたらいいとか普段とどう変わればいいとか分かんねーんだ。改めてここから一週間は直登と向き合う。それでいいか?」

「うん!ありがとう!貴哉大好き♡」

「おわっ」


 抱き付かれて反射的に避けようとしたけど、さっき言われた事を思って敢えて抱き付かれてみた。
 んー、こう言うのも受け止めなきゃいけねぇんだよな?

 俺の身が持てばいいけど……


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「優秀で美青年な友人の精液を飲むと頭が良くなってイケメンになれるらしい」ので、友人にお願いしてみた。

和泉奏
BL
頭も良くて美青年な完璧男な友人から液を搾取する話。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

有能社長秘書のマンションでテレワークすることになった平社員の俺

高菜あやめ
BL
【マイペース美形社長秘書×平凡新人営業マン】会社の方針で社員全員リモートワークを義務付けられたが、中途入社二年目の営業・野宮は困っていた。なぜならアパートのインターネットは遅すぎて仕事にならないから。なんとか出社を許可して欲しいと上司に直談判したら、社長の呼び出しをくらってしまい、なりゆきで社長秘書・入江のマンションに居候することに。少し冷たそうでマイペースな入江と、ちょっとビビりな野宮はうまく同居できるだろうか? のんびりほのぼのテレワークしてるリーマンのラブコメディです

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

人気者達に何故か俺が構われすぎてます。

どらやき
BL
「誰にも渡したりしない。」 そう言いよってくる学校人気者達は、主人公ではなく俺という悪役に声を掛けてくる。

市川先生の大人の補習授業

夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。 ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。 「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。 ◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC) ※「*」がついている回は性描写が含まれております。

処理中です...