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お前ってメンタル強いよな
しおりを挟む中西の家から出て来た俺の顔を見て早川は目を丸くして驚いていた。
「どうしたのそんなゲッソリした顔して」
「マジ俺らの中で一番めんどくせーよアイツ」
「その様子だと仲直り出来なかったのか?」
「いや、仲直りは出来た」
「苦戦したんだ?」
「ああ大分な」
「まぁ良かったじゃん仲直り出来たなら」
早川はそう言うけど、全然良くない。面倒くさい事になったのは早川には話さない方が良さそうだな。もっと面倒な事になりかねない。
俺を乗せて自転車を漕ぐ早川の後頭部を見ながらそんな事を考えていた。
「はぁ、どいつもこいつもなんなんだよ……」
「えー、それって俺も含まれてんのー?」
「ったりめーだろ。大半はお前だ」
「あは♪貴哉の中の大半は俺って事?何か嬉しい~」
「喜んでんじゃねぇよ。とうとうイカれたか?」
「なんかね、貴哉とこうして居られるだけで嬉しいんだ俺」
「ふーん。ま、俺は後ろ乗ってるだけだからいーけどよ」
「貴哉の特等席だよ」
「…………」
早川といい中西といい、何でこう前向きなんだ?俺、結構ひでぇ事言ってると思うけど、全然へこたれないんだよな二人とも。
そこんとこは楽だからいいんだけどな。
「貴哉?どうしたんだよ黙って」
「いや、お前ってメンタル強いよな」
「そうでもねーよ?俺ってナイーブだから」
「あ?何訳の分かんねー事言ってんだ」
「あ、貴哉には意味が分からないか」
ケラケラと楽しそうに笑ってる早川。
茶化された筈なのに何も言い返せなかった。
それだけ今の俺は追い詰められていたんだ。
早川はこうしていつも通りにしてくれてるけど、問題は中西だ。明日からどうなるのかそんな事ばかり考えていた。
メンタルが強い事はいい事だけど、それを相手するってなると面倒くせぇなぁ。
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