25 / 130
第一章
治癒魔法
しおりを挟む
殴り飛ばした男に向かってそう言ってみたけれど、ズルズルと床に崩れ落ちたあとピクリとも動かないので、たぶん聞こえていなかったと思う。
でも、ずっとニヤニヤ笑いながら女の子がいたぶられる様子を見ていた周りの男たちにも言いたいことだったので、別にいいのだ。彼らが口をあんぐりと開けて固まっているのを見て、少しだけスッキリできた。
わたしは、呆然とこちらを見ている女の子に駆け寄って、声をかけた。
「大丈夫? ……うわぁ、赤くなってるわ。痛いよね?」
「……あ、あの……」
痛そうな痣のあるほっぺたに目を向けると、戸惑うように声を震わせながら、彼女はなんとか返事をしてくれた。わたしを見つめる、まんまるで茶色い目と目が合って、初めて彼女がとても可愛らしい顔立ちをしていることに気がついた。
同い年くらいなのに、そんなふうに潤んだ目を向けられたら、なんだかわたしが守ってあげなければという気持ちにさせられる。
……こんな子を殴るなんて、本当にどうかしてるわ!
わたしが改めて男たちの行動に憤慨していると、通路の方から、誰かの低い声が聞こえてきた。
「……治療しろ」
声の主を探して視線を向ければ、ひときわ悪そうな人相をしたマッチョの男が、恐ろしい顔をして女の子に凄んでいた。他の男たちとは一線を画す、威厳のある態度である。もしかしたら、この中では一番偉い人なのかもしれない。
しかし何と言っても、彼の特徴はその頭部にある。
……つ、ツルピカだわ!
わたしはマッチョな男のハゲ頭を、思わずまじまじと見つめてしまった。初めて全く髪がない人を見たので、それも仕方ないと思う。村にいるおじいさんたちは髪が少なくなっていたけれど、この人は若いのに、どうしてこれほどツルピカなのだろうか。
しかし、すぐにそんなことを考えている場合ではなくなってしまった。
「ううっ……!」
獣人の女の子が、急に首輪を押さえて苦しそうにうずくまったのだ。
「えっ、なに? どうしたの!?」
「聞こえなかったのか? 早くソイツを治療しろ。今のお前の主人は、この俺だぞ」
「や、やめてくださ……熱、ああっ!」
男がさらに強い口調でそう言うと、首輪の模様がだんだん赤く光り始め、ジュウッという肌の焼ける嫌な音がした。命令に従わなかったので、女の子の首輪が高熱を持ち、火傷をしてしまっているようだ。
……どういうこと!? こんな状態で、他の人の怪我を治療しろって言ってるの? そもそも、どうしてこの子だけにそれを命令するの!?
「わ、わかり、ました……っ!」
わたしは混乱していたが、彼女はわたしの疑問をすぐさま吹き飛ばした。
わたしが殴り飛ばして気絶している男に向かって彼女が手を伸ばすと、淡い光が男を包み込んだのだ。そして、赤く腫れ上がっていた頬が、みるみる元の色と形に戻っていく。
「え……!?」
治癒魔法。
それは神の祝福を受けた者たちだけが使えるという、珍しい魔法だ。まさかこの子が、その使い手だったなんて。
……でも、治癒魔法が使える人は珍しくて貴重だから、例外なく教会所属の聖者や聖女として保護されるって聞いたことがあるわ。それなのに、この子はどうしてこんなところにいるのかしら?
わたしの頭に疑問符が浮かぶ。
聖女なら、奴隷になんてなるはずがないのに。
「目を覚まさねぇが、どうなってんだ?」
「け、怪我は治っているはずです。気を、失っているだけかと……」
低い声で飛んできた質問に、女の子が苦しげに答える。けれど、首輪の温度は戻っているのか、だんだんと息が落ち着いてきていた。
「フン」
その様子を見て彼女がきちんと命令をきいたことがわかったのか、ハゲ男は彼女から興味をなくしたように視線を外す。そして、ギロリとわたしにその鋭い視線を向けた。
「つーかてめぇ、なんで首輪をしてない? 確かにマドンの奴に渡したはずだが」
マドンとは、もしかしてあの髭男のことだろうか。わたしに首輪をはめてきたのは髭男なので、きっとそうなのだろう。
「ふん! あんなの、わたしには通用しないんだから。あなたたちの思い通りにはならないわ!」
「はぁ? 何言ってんだ、てめぇ」
ハゲ男が、意味がわからないというように顔を歪める。
奴隷の首輪が通用しないなんて、考えもしないようだ。この人たちは、今まで誰も彼も首輪をつけることで従わせてきたのだろう。そう思い至って、わたしもムッと顔をしかめた。
「あっ! は、離してくださ……!」
「うるせぇ、静かにしろ!」
獣人族の女の子の声に、ハッとそちらを見ると、彼女が別の男に腕を取られ、どこかへ連れていかれそうになっていた。もしかしたら、わたしが最初に倒した髭男たちを治療させようとしているのかもしれない。
「やめなさいって……!」
わたしは、グッと拳に力を込めた。「ヒィッ」と女の子の手を掴む男が悲鳴をあげる。
「言ってるでしょお!!」
「げほあっ!」
腕を掴んだ男の顔面にパンチを繰り出せば、見事に吹っ飛んでいった。彼は気絶したのか大人しくなったが、わたしの行動はハゲ男の怒りに火をつけてしまったようだ。ピキピキと、彼のツルピカ頭に青筋が浮かぶ。
「……てめぇ、やってくれるじゃねえか。部下の報告は、どうも大げさじゃなかったらしい。チビのくせに、ずいぶんな力自慢のようだな。まさか獣人族か? そうは見えねえが」
……なんか、さっきもやった気がするわ、このやりとり。
「まぁ、別になんだっていい。お前はいい奴隷になりそうだ。特別に、売らずに手元で使ってやる。どうせお前も、首輪をつけりゃおしまいだからな」
「……さぁ、それはどうかしらね?」
ハゲ男はわたしが首輪を壊したところを見ていないので、まだわたしを従わせることができると思っているらしい。
「フン、ずいぶんと身体能力に自信があるようだし、首輪をつけられなきゃ大丈夫だと思ってるのかもしれねえが、少し考えりゃあお前の弱点なんかすぐにわかる」
ハゲ男が言っていることは全くの見当違いだが、彼の浮かべたニヤリとした笑みに、わたしはなぜか嫌な予感がした。
「ガキのくせに……いやガキだからか? ずいぶんお優しい性格のようじゃねえか。さっきから庇っているソイツは俺の奴隷だってこと、忘れてるなら思い出させてやるぜ」
でも、ずっとニヤニヤ笑いながら女の子がいたぶられる様子を見ていた周りの男たちにも言いたいことだったので、別にいいのだ。彼らが口をあんぐりと開けて固まっているのを見て、少しだけスッキリできた。
わたしは、呆然とこちらを見ている女の子に駆け寄って、声をかけた。
「大丈夫? ……うわぁ、赤くなってるわ。痛いよね?」
「……あ、あの……」
痛そうな痣のあるほっぺたに目を向けると、戸惑うように声を震わせながら、彼女はなんとか返事をしてくれた。わたしを見つめる、まんまるで茶色い目と目が合って、初めて彼女がとても可愛らしい顔立ちをしていることに気がついた。
同い年くらいなのに、そんなふうに潤んだ目を向けられたら、なんだかわたしが守ってあげなければという気持ちにさせられる。
……こんな子を殴るなんて、本当にどうかしてるわ!
わたしが改めて男たちの行動に憤慨していると、通路の方から、誰かの低い声が聞こえてきた。
「……治療しろ」
声の主を探して視線を向ければ、ひときわ悪そうな人相をしたマッチョの男が、恐ろしい顔をして女の子に凄んでいた。他の男たちとは一線を画す、威厳のある態度である。もしかしたら、この中では一番偉い人なのかもしれない。
しかし何と言っても、彼の特徴はその頭部にある。
……つ、ツルピカだわ!
わたしはマッチョな男のハゲ頭を、思わずまじまじと見つめてしまった。初めて全く髪がない人を見たので、それも仕方ないと思う。村にいるおじいさんたちは髪が少なくなっていたけれど、この人は若いのに、どうしてこれほどツルピカなのだろうか。
しかし、すぐにそんなことを考えている場合ではなくなってしまった。
「ううっ……!」
獣人の女の子が、急に首輪を押さえて苦しそうにうずくまったのだ。
「えっ、なに? どうしたの!?」
「聞こえなかったのか? 早くソイツを治療しろ。今のお前の主人は、この俺だぞ」
「や、やめてくださ……熱、ああっ!」
男がさらに強い口調でそう言うと、首輪の模様がだんだん赤く光り始め、ジュウッという肌の焼ける嫌な音がした。命令に従わなかったので、女の子の首輪が高熱を持ち、火傷をしてしまっているようだ。
……どういうこと!? こんな状態で、他の人の怪我を治療しろって言ってるの? そもそも、どうしてこの子だけにそれを命令するの!?
「わ、わかり、ました……っ!」
わたしは混乱していたが、彼女はわたしの疑問をすぐさま吹き飛ばした。
わたしが殴り飛ばして気絶している男に向かって彼女が手を伸ばすと、淡い光が男を包み込んだのだ。そして、赤く腫れ上がっていた頬が、みるみる元の色と形に戻っていく。
「え……!?」
治癒魔法。
それは神の祝福を受けた者たちだけが使えるという、珍しい魔法だ。まさかこの子が、その使い手だったなんて。
……でも、治癒魔法が使える人は珍しくて貴重だから、例外なく教会所属の聖者や聖女として保護されるって聞いたことがあるわ。それなのに、この子はどうしてこんなところにいるのかしら?
わたしの頭に疑問符が浮かぶ。
聖女なら、奴隷になんてなるはずがないのに。
「目を覚まさねぇが、どうなってんだ?」
「け、怪我は治っているはずです。気を、失っているだけかと……」
低い声で飛んできた質問に、女の子が苦しげに答える。けれど、首輪の温度は戻っているのか、だんだんと息が落ち着いてきていた。
「フン」
その様子を見て彼女がきちんと命令をきいたことがわかったのか、ハゲ男は彼女から興味をなくしたように視線を外す。そして、ギロリとわたしにその鋭い視線を向けた。
「つーかてめぇ、なんで首輪をしてない? 確かにマドンの奴に渡したはずだが」
マドンとは、もしかしてあの髭男のことだろうか。わたしに首輪をはめてきたのは髭男なので、きっとそうなのだろう。
「ふん! あんなの、わたしには通用しないんだから。あなたたちの思い通りにはならないわ!」
「はぁ? 何言ってんだ、てめぇ」
ハゲ男が、意味がわからないというように顔を歪める。
奴隷の首輪が通用しないなんて、考えもしないようだ。この人たちは、今まで誰も彼も首輪をつけることで従わせてきたのだろう。そう思い至って、わたしもムッと顔をしかめた。
「あっ! は、離してくださ……!」
「うるせぇ、静かにしろ!」
獣人族の女の子の声に、ハッとそちらを見ると、彼女が別の男に腕を取られ、どこかへ連れていかれそうになっていた。もしかしたら、わたしが最初に倒した髭男たちを治療させようとしているのかもしれない。
「やめなさいって……!」
わたしは、グッと拳に力を込めた。「ヒィッ」と女の子の手を掴む男が悲鳴をあげる。
「言ってるでしょお!!」
「げほあっ!」
腕を掴んだ男の顔面にパンチを繰り出せば、見事に吹っ飛んでいった。彼は気絶したのか大人しくなったが、わたしの行動はハゲ男の怒りに火をつけてしまったようだ。ピキピキと、彼のツルピカ頭に青筋が浮かぶ。
「……てめぇ、やってくれるじゃねえか。部下の報告は、どうも大げさじゃなかったらしい。チビのくせに、ずいぶんな力自慢のようだな。まさか獣人族か? そうは見えねえが」
……なんか、さっきもやった気がするわ、このやりとり。
「まぁ、別になんだっていい。お前はいい奴隷になりそうだ。特別に、売らずに手元で使ってやる。どうせお前も、首輪をつけりゃおしまいだからな」
「……さぁ、それはどうかしらね?」
ハゲ男はわたしが首輪を壊したところを見ていないので、まだわたしを従わせることができると思っているらしい。
「フン、ずいぶんと身体能力に自信があるようだし、首輪をつけられなきゃ大丈夫だと思ってるのかもしれねえが、少し考えりゃあお前の弱点なんかすぐにわかる」
ハゲ男が言っていることは全くの見当違いだが、彼の浮かべたニヤリとした笑みに、わたしはなぜか嫌な予感がした。
「ガキのくせに……いやガキだからか? ずいぶんお優しい性格のようじゃねえか。さっきから庇っているソイツは俺の奴隷だってこと、忘れてるなら思い出させてやるぜ」
1
お気に入りに追加
686
あなたにおすすめの小説
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
もう、愛はいりませんから
さくたろう
恋愛
ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。
王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。
6年後に戦地から帰ってきた夫が連れてきたのは妻という女だった
白雲八鈴
恋愛
私はウォルス侯爵家に15歳の時に嫁ぎ婚姻後、直ぐに夫は魔王討伐隊に出兵しました。6年後、戦地から夫が帰って来ました、妻という女を連れて。
もういいですか。私はただ好きな物を作って生きていいですか。この国になんて出ていってやる。
ただ、皆に喜ばれる物を作って生きたいと願う女性がその才能に目を付けられ周りに翻弄されていく。彼女は自由に物を作れる道を歩むことが出来るのでしょうか。
番外編
謎の少女強襲編
彼女が作り出した物は意外な形で人々を苦しめていた事を知り、彼女は再び帝国の地を踏むこととなる。
私が成した事への清算に行きましょう。
炎国への旅路編
望んでいた炎国への旅行に行く事が出来ない日々を送っていたが、色々な人々の手を借りながら炎国のにたどり着くも、そこにも帝国の影が・・・。
え?なんで私に誰も教えてくれなかったの?そこ大事ー!
*本編は完結済みです。
*誤字脱字は程々にあります。
*なろう様にも投稿させていただいております。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
【完結】王女と駆け落ちした元旦那が二年後に帰ってきた〜謝罪すると思いきや、聖女になったお前と僕らの赤ん坊を育てたい?こんなに馬鹿だったかしら
冬月光輝
恋愛
侯爵家の令嬢、エリスの夫であるロバートは伯爵家の長男にして、デルバニア王国の第二王女アイリーンの幼馴染だった。
アイリーンは隣国の王子であるアルフォンスと婚約しているが、婚姻の儀式の当日にロバートと共に行方を眩ませてしまう。
国際規模の婚約破棄事件の裏で失意に沈むエリスだったが、同じ境遇のアルフォンスとお互いに励まし合い、元々魔法の素養があったので環境を変えようと修行をして聖女となり、王国でも重宝される存在となった。
ロバートたちが蒸発して二年後のある日、突然エリスの前に元夫が現れる。
エリスは激怒して謝罪を求めたが、彼は「アイリーンと自分の赤子を三人で育てよう」と斜め上のことを言い出した。
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる