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◇◇◇

「………………い」

 声が聞こえる。暗闇の中誰かが何度も自分に声を掛け、体はゆらゆらと揺れる。
 誰か……いるのか。
 少しずつ意識が覚醒していき、ゆっくりと双眸を開けると————

「すまない、ちょっといいか?」

 目の前には、風紀委員長であるディランが此方を窺っていた。
 陽の光で銀髪の髪がダイヤモンドのように、きらきらと輝いていた。

「い、委員長……何か用ですか」

 突然の出来事に、眠気が飛んでいく。
 一体何しにこんな場所に来たのだろうと首を傾げていると、ディランはただエリオットのことを凝視していた。

「……いや、確かに用はあるのだが。流石にこんな場所で寝ていたら風邪をひくぞ。昨夜、あまり眠れなかったのか?」
「ま……まぁ」

 寮に着いた時には日付が変わっていたからな。
 だからなのか、ポカポカとする太陽の暖かさに次第に眠気が襲い、この体育館裏の木陰で眠ってしまったのだ。
 人気がない場所だったのでここで昼寝をしていたが、まさかこの人はずっと俺のことを探し歩いていたりとかしていたのか? ……なんか、それは申し訳がない気持ちになる。

「それより、用とは?」
「それは——」

 ディランは口を開け言葉を発したが、突如ハッとし、そのまま口をつぐんでしまう。
 …………? どうしたんだ、なんか固まってるが……。

「…………とにかく、一緒に来てくれないか?」
「はぁ……」

 ディランの表情と言動を読み取ると、此処では話しにくいことのようだ。
 そわそわと落ち着きがなく、視線を右往左往している様子は何処か面白さが存在していた。
 相変わらず風紀委員とも関わりたくない気持ちはあるが、要件があるのなら致し方ない。
 早々に終わらせようと立ち上がり、ディランの後を着いていく。
 セドリックのことか、それともアリスティアが何かしら問題を起こしたのか……と、呑気に考えごとをしていたが、先に風紀委員室に到着していた人物を見てエリオットは絶句する。

「じゃあ、そちらに腰をかけてくれ」

 ディランは座る……足を組みエリオットのことをじっと見つめている生徒会長であるアランの横に。
 ……一体どうして生徒会長が風紀委員室にいるんだよ。俺、知らず知らずに何か仕出かしたか? それとも、昨夜の……。
 たくさんのもしかしたらが頭の中に溢れ、どうにかしてこの場を切り抜けなくてはと、二人の目の前に腰を下ろした。
 そうだ、もし昨夜のことを訊かれたとしても、何も知りませんで通せばいいのでは? シラを切り通せば、あちら側が勝手に諦めてくれるだろう。うん、そうしよう。
 エリオットが一人黙考をしている最中、ディランではなくアランが口を開けた。

「呼び出してすまないな。今回呼び出したのは、あの事件についてなのだが————」
「俺は何も知りません!!」
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