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フリーマーケットを考察せし、ペルセウス。
しおりを挟む『うわ~、楽しそう。そうだ、今日から、年に一度のフリーマーケットだ。』ペルセウスは、庭園内で、いそいそとレジャーシートをひろげたり、レジャーパラソルを広げたり、商品を並べたりする人たちを嬉しそうに眺めた。市役所内前庭園と後庭園では、毎年11月第1週の土日は、フリーマーケットを開催している。市内在住なら500円、市外の人でも1000円の出品料で比較的自由度が高く出店して良いということで、なかなか規模が大きいので、市役所のみで開かれるイベントの中で一番人気となっていた。
『いい時代になったな~、このイベント、この庭園に来た一年目から見てるけど、神様たちが横やりを入れてこないや。』ペルセウスは、前世の記憶を手繰り寄せしみじみとした。
「僕には、直接関係ないですが、トロイア戦争のきっかけになったのは、宴会に呼ばれなかった女神様のせいですね。って、何言ってんだろう。」
ペルセウスは、気を取り直してできたてのお店を観察し始めた。
『向かいのお店は、骨董市かあ、あっ懐かしい、一番右奥の食器は僕も使ってたタイプだ!』『前世で、いきいきしていた頃から、だいぶ時間がたったなー。さすがに、僕の時代の物は、少ないな。』
ペルセウスは、自分が立っている位置から右隣の店にも、目をむけた。 『こっちは、ん~となになに、人気アイドルグッズかあ。』『アイドルは、暇人さんから習ったぞ、ステージっていう台にのって、歌を歌っている仕事の人をさすんだ。』ペルセウスは、よくよく観察して、特にCDや団扇や、ペンライト、ビッグタオル、トレカ、最近流行りのアクリルスタンドには、キラキラした衣装を身に纏う複数か、あるいは、1人の女性の写真が、プリントされている。
『暇人さんと一緒に、駅前空中デッキで、アイドルっていう人が歌うのを観たけど、かなりおじさんだったな~。ギターを弾きながら歌ってたな~、暇人さんは、感動して泣いてたけど、僕は、意味がわからなくて泣けなかったな。でも、その時に暇人さんにあの人は、アイドルという職業の人だって教わっていい思い出だなー。アイドルは、グッズという自分の写真がついている商品を売るのも仕事の一つって説明してくれたけど、これが、多分グッズだなー。』『若い女性のアイドルもいるんだなー。』ペルセウスは、ふと、準備をしている店主に気が付き不思議に思って考え込んだ。『あっ、あれー、店主の人は、全く別人のしかも、男の人だ、この写真の女の人たちじゃない。少なくとも、今日、この後歌わなさそうだ。』
アイドルグッズの店主の男性が、自分で、並べた商品を前に拝み始めた。
「メロディアンのみんな、そして、推しのもゆたん、ごめんなさい!僕はラブリーメイトが、君たちより大大大好きになってしまいました!グッズやライブの費用捻出のため、お別れします!売れて下さい!」店主は、ひとしきり独白すると、いそいそとこれまた、並べた商品の左わきに自分で用意した、ボックス金庫とクッションに座った。ペルセウスは、理解できなかったものの、一生懸命自分なりに男性の一連の行動を解釈した。
『なんか、よくわからないけど、悲しそう、そっとしてあげよう!』
「中宮市のびのびフリーマーケット開店です!」
ちょうど、市役所のアナウンスが鳴りひびいた。
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