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6話 予兆
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晴海に連絡先を教えてから数日後、明里のスマートフォンに一件の通知が入った。晴海からのショートメッセージだった。
「先生、今お時間大丈夫ですか?」
明里はスマートフォンのロックを外し、時間を置かずに返答する。
「大丈夫だよ。電話で話そうか?」
「いえ……、家族がいるので、メッセージがいいです。」
晴海の返答を見て、しまった、と明里は眉を顰めた。電話番号さえ教えておけば、晴海の逃げ道ができることと、明里も話に応じることで晴海の心を少しでも楽にできると考えていたが、自宅では家族の目を盗んで電話をしなければならない。そのことが、明里の頭から抜けていた。スマートフォンでショートメッセージが送ることができる状況に辛うじて救われたが、通話でコミュニケーションを取ることが難しいとなると、もう一工夫必要かもしれない、と明里は考えを巡らせた。
「そっか、ごめんね。電話できれば晴海さんの気持ちが少しでも楽になるかなと思ってたけど、家にいたらそれも難しいよね。考えが甘かったよ。」
「そんな、メッセージでやりとりできるだけでも、ありがたいです。私の方こそ、先生に頼ってばかりで、すみません。」
晴海とのメッセージのやり取りは、その後数十分ほど続いた。自室にいる時は、好きなアイドルの曲を聴いたり、動画サイトを眺めることで気持ちを晴らせているが、今日も家族から自称行為のことについて問い詰められ、耐えられなくなってメッセージを寄越したとのことだった。
まずは、晴海が家にいることで、精神的に追い詰められる状況から抜け出せる道を、一つでも多く増やすことが必要だと感じた明里は、大学に足を運ぶことを提案することにした。
「一つ提案なんだけど、夏季休暇中もよく学生は図書館を利用したり、研究室に来て勉強してたりするから、平日とか来てみたらどうかな。私の研究室に来てもらっても大丈夫よ。」
少し返信に間が空く。明里は晴海の返事を待ち続けた。
「目立ったりしませんか?」
「サークルや部活動をしてる学生なんかは毎日のように来てるし、図書館を利用してる学生も頻繁に見かけるよ。大学の中じゃ、誰が上級生、新入生か、なんて区別つかないし、学生用の研究室も常に人がいるから。もちろん、強制はしないけど、苦しくなったら、家族には勉強してくるって言えば嘘にもならないし、いい避難場所かなって思うんだけど、どうかな?」
「ありがとうございます。そうします。」
明里は晴海の返信を見て、ひとまず安心した。これでまた、晴海が悪循環から抜け出せる道が一つ増やせた、少しずつかもしれないが、こうして晴海の避難所を増やしていくことが、解決への道だと明里は考えていた。
今日のところはこのやりとりで晴海の気持ちは落ち着いたようで、メッセージを交わす程度で留まった。
夏季休暇も残り数日で終わり、となる頃には、晴海は毎日のように大学に来るようになっていた。明里もその姿を見かけては声をかけ、晴海の様子を窺っていた。時折、明里の研究室を訪れては、家族の干渉に耐えられないという苦悩や、干渉に耐えられず行為に及んでしまったと吐露することもあり、それを明里は全て否定せず受け止め、晴海の心のケアに努めた。
夏季休暇の最終日も、晴海は明里の研究室を訪れ、電車の時刻に合わせて退室したところを明里は見送った。明里は、研究テーマの材料にするために読もうとしていた論文を広げたところで、ドアをノックする音が聞こえた。訪問者は誰かと確認する前に、ノックした本人はドアを開けながら入ってきた。
「おう、邪魔するわ。」
佐々木だった。この人はドアノックの意味をわかっているのだろうか、と内心ため息をついて、突然の来訪者を迎えた。
「どうされました、佐々木先生。」
「いや、さっき出てきた学生、確か井上って言ったっけか。毎日来てんのか?」
「毎日というほどじゃないですけど、頻繁にはきてますね。」
佐々木は、明里の研究スペースにしている机に寄りかかり、そうか…と小さくため息をついた。
「それが、どうかしましたか?」
「いんや、どうかしたかと言われるとどうもしないんだけども。」
「にしては、何か言いたげな雰囲気じゃないですか。」
「うーん…、まぁ、何と言えばいいかね。まぁ、お前さんのことを心配してるんだわ。心配って言うと大袈裟かもしれんが。」
「心配されるようなことは何もありませんよ、彼女は勉強熱心ですから、私のところに質問に来ているだけです。」
「お前さんのとこだけにか?」
そう言われると、明里は少し返答に困った。確かに、学業についてなら、明里は平安文学専門で、他は畑違いだ。他にも近代文学、鎌倉文学と、いろいろある中で、明里の所にのみ来ているのは、少し違和感を覚えられてもおかしくはなかった。
「まぁ、これ以上詮索する気はないけどな。あんまり深入りしなさんなよ。俺らの仕事は、人生相談に乗ることも含まれちゃいるが、適度な距離を取るってのも必要だ。」
「……わかってますよ。ご心配なく。」
「そうかい、まぁお前さんの研究室から、あの学生が出てくるところを見かけたもんで、そんだけ言いにきただけなんだわ。わかってるならいい。」
そう言い残し、佐々木は研究室を出ていった。明里は、目の前に広げた論文をぼんやり眺め、佐々木の言葉に言い表し難い、複雑な気分に落とされた。
(佐々木先生が言いたいことはわかる。私だって、色々考えてるわよ。でも、もし私が彼女の話を聞かなくなったら、誰が理解してくれるの……?)
秋の訪れを知らせるような虫の鳴き声を聞きながら、明里は椅子にもたれかかり、深いため息をついた。
夏季休暇が明け、後期が始まった。
学生たちは、各々休暇を満喫したようで、明里は何人かの学生から、旅行の土産だとお菓子を受け取った。翠や晴海の関係も良好なようで、必修講義では翠と晴海の周りに数人の友人も加わり、講義までの時間を雑談して過ごしていた。
(夏季休暇中はどうなるかと思ってたけど、元気そうでよかった。)
明里はその日の講義を終え、久々の疲れを癒そうと研究室に戻ろうとした時。
「あ、吉田先生!」
そう呼び止めたのは、翠だった。晴海の姿はない。
「あれ、翠さん、何か質問?」
「いえ、ちょっと相談というか、んーなんていったらいいかな、話を聞いてほしいというか。」
翠にしては歯切れの悪い返答をする様子に、明里は違和感を覚えたが、明里は翠の申し出を受け、研究室に招き入れた。お茶と茶菓子の準備をしながら、後期の講義は大丈夫そうか、や、夏季休暇は楽しかったかなど雑談を交わし、用意したものを翠に差し出した。翠はいつものように、いただきまーすと言いながら、お茶を口にする。
「で、相談って?何かあったの?」
本題を切り出した明里に、翠は机に視線を落とし、んー、何て言ったらいいか…、とまた口籠るようになった。
「言いにくい話なの?ここで話したことは、誰にも言わないから安心して。」
「いや、それはわかってるんですけどね……、私の中で、まだ確信がないんで、言っていいのかなーとか思うんですけど、心配でもあるんで。」
「心配?」
「……今日、晴海があんまり元気なかったの、先生知ってます?」
そう聞かれた明里は、今日の晴海の様子に特段変わったものを感じ取っていなかった。突然の話に面食らった明里をよそに、翠はぽつぽつと話し始めた。
「なんか、元気ないなって思って、『何かあった?体調悪いの?』って聞いても、大丈夫、としか言わないんです。でも、明らかに元気ないんですよね。元から積極的に話す子でもないし、気のせいかなとは思ったんですけど……」
「翠さんには、何か引っかかるものがある、と。」
「そうなんです。だって、元から少食だった晴海が、今日のお昼ほとんど食べれてなかったし、教室に行く時の足取りも、普通に歩いてはいるんですけど、なんか覚束ないというか……」
翠は、学内で一番晴海の近くにいる存在。晴海の微かな変化にも気づけたのかもしれない。明里の感じた不安が伝わったのか、翠は不安そうな表情になった。
「やっぱり先生も、気づいてました?」
「え、ああ、そうね……、話を整理すると、翠さんが晴海さんに体調悪い?って聞いても、大丈夫としか答えないってことなのね?」
「そうですね…、前から、家族との折り合いが悪いってことは聞いてたんですけど、そのことが関係してるのかなって。でも、体調悪そうな時にその話掘り返すのも、晴海がしんどいかなって思うと聞けないんですよね。」
そこまで話すと、はっとした表情で翠は会話を止めた。おそらく、晴海は家族との関係性について翠にも話しており、それを他言してしまったと思ったのだろう。
「すみません、晴海と家族のこと、私が先生に話したことは……」
「心配しないで。晴海さんには言わないし、私も晴海さんからその話は聞いてるから。」
「あ、そうだったんですね。」
よかった、とほっと胸を撫で下ろす翠。一方で明里は、晴海の体調不良(本人は否定しているようだが)の方が気に掛かった。
「晴海さんも、良く私のところに来ては、相談しに来るから、今度来た時にそれとなく聞いてみるよ。」
「よかった!…晴海のこと心配なので、先生が聞いてくれるなら安心です。」
そこからは雑談もそこそこに、翠はすっかり安心した様子で研究室を後にした。明里は雑談の間も、晴海の体調が思わしくなさそうだという話が頭の中で引っかかり、晴海の身に何が起こっているのか、と夏季休暇中に研究室を訪れていた晴海の様子を思い起こしては逡巡し続けた。
(少なくとも、夏季休暇中は翠さんが言うような、体調不良の様子は感じられなかった…。それとも、私が見落としていた…?)
今持つ明里の記憶だけでは、晴海の体調不良疑惑を連想する糸口が見つからず、明里は1人研究室で頭を抱えた。
「先生、今お時間大丈夫ですか?」
明里はスマートフォンのロックを外し、時間を置かずに返答する。
「大丈夫だよ。電話で話そうか?」
「いえ……、家族がいるので、メッセージがいいです。」
晴海の返答を見て、しまった、と明里は眉を顰めた。電話番号さえ教えておけば、晴海の逃げ道ができることと、明里も話に応じることで晴海の心を少しでも楽にできると考えていたが、自宅では家族の目を盗んで電話をしなければならない。そのことが、明里の頭から抜けていた。スマートフォンでショートメッセージが送ることができる状況に辛うじて救われたが、通話でコミュニケーションを取ることが難しいとなると、もう一工夫必要かもしれない、と明里は考えを巡らせた。
「そっか、ごめんね。電話できれば晴海さんの気持ちが少しでも楽になるかなと思ってたけど、家にいたらそれも難しいよね。考えが甘かったよ。」
「そんな、メッセージでやりとりできるだけでも、ありがたいです。私の方こそ、先生に頼ってばかりで、すみません。」
晴海とのメッセージのやり取りは、その後数十分ほど続いた。自室にいる時は、好きなアイドルの曲を聴いたり、動画サイトを眺めることで気持ちを晴らせているが、今日も家族から自称行為のことについて問い詰められ、耐えられなくなってメッセージを寄越したとのことだった。
まずは、晴海が家にいることで、精神的に追い詰められる状況から抜け出せる道を、一つでも多く増やすことが必要だと感じた明里は、大学に足を運ぶことを提案することにした。
「一つ提案なんだけど、夏季休暇中もよく学生は図書館を利用したり、研究室に来て勉強してたりするから、平日とか来てみたらどうかな。私の研究室に来てもらっても大丈夫よ。」
少し返信に間が空く。明里は晴海の返事を待ち続けた。
「目立ったりしませんか?」
「サークルや部活動をしてる学生なんかは毎日のように来てるし、図書館を利用してる学生も頻繁に見かけるよ。大学の中じゃ、誰が上級生、新入生か、なんて区別つかないし、学生用の研究室も常に人がいるから。もちろん、強制はしないけど、苦しくなったら、家族には勉強してくるって言えば嘘にもならないし、いい避難場所かなって思うんだけど、どうかな?」
「ありがとうございます。そうします。」
明里は晴海の返信を見て、ひとまず安心した。これでまた、晴海が悪循環から抜け出せる道が一つ増やせた、少しずつかもしれないが、こうして晴海の避難所を増やしていくことが、解決への道だと明里は考えていた。
今日のところはこのやりとりで晴海の気持ちは落ち着いたようで、メッセージを交わす程度で留まった。
夏季休暇も残り数日で終わり、となる頃には、晴海は毎日のように大学に来るようになっていた。明里もその姿を見かけては声をかけ、晴海の様子を窺っていた。時折、明里の研究室を訪れては、家族の干渉に耐えられないという苦悩や、干渉に耐えられず行為に及んでしまったと吐露することもあり、それを明里は全て否定せず受け止め、晴海の心のケアに努めた。
夏季休暇の最終日も、晴海は明里の研究室を訪れ、電車の時刻に合わせて退室したところを明里は見送った。明里は、研究テーマの材料にするために読もうとしていた論文を広げたところで、ドアをノックする音が聞こえた。訪問者は誰かと確認する前に、ノックした本人はドアを開けながら入ってきた。
「おう、邪魔するわ。」
佐々木だった。この人はドアノックの意味をわかっているのだろうか、と内心ため息をついて、突然の来訪者を迎えた。
「どうされました、佐々木先生。」
「いや、さっき出てきた学生、確か井上って言ったっけか。毎日来てんのか?」
「毎日というほどじゃないですけど、頻繁にはきてますね。」
佐々木は、明里の研究スペースにしている机に寄りかかり、そうか…と小さくため息をついた。
「それが、どうかしましたか?」
「いんや、どうかしたかと言われるとどうもしないんだけども。」
「にしては、何か言いたげな雰囲気じゃないですか。」
「うーん…、まぁ、何と言えばいいかね。まぁ、お前さんのことを心配してるんだわ。心配って言うと大袈裟かもしれんが。」
「心配されるようなことは何もありませんよ、彼女は勉強熱心ですから、私のところに質問に来ているだけです。」
「お前さんのとこだけにか?」
そう言われると、明里は少し返答に困った。確かに、学業についてなら、明里は平安文学専門で、他は畑違いだ。他にも近代文学、鎌倉文学と、いろいろある中で、明里の所にのみ来ているのは、少し違和感を覚えられてもおかしくはなかった。
「まぁ、これ以上詮索する気はないけどな。あんまり深入りしなさんなよ。俺らの仕事は、人生相談に乗ることも含まれちゃいるが、適度な距離を取るってのも必要だ。」
「……わかってますよ。ご心配なく。」
「そうかい、まぁお前さんの研究室から、あの学生が出てくるところを見かけたもんで、そんだけ言いにきただけなんだわ。わかってるならいい。」
そう言い残し、佐々木は研究室を出ていった。明里は、目の前に広げた論文をぼんやり眺め、佐々木の言葉に言い表し難い、複雑な気分に落とされた。
(佐々木先生が言いたいことはわかる。私だって、色々考えてるわよ。でも、もし私が彼女の話を聞かなくなったら、誰が理解してくれるの……?)
秋の訪れを知らせるような虫の鳴き声を聞きながら、明里は椅子にもたれかかり、深いため息をついた。
夏季休暇が明け、後期が始まった。
学生たちは、各々休暇を満喫したようで、明里は何人かの学生から、旅行の土産だとお菓子を受け取った。翠や晴海の関係も良好なようで、必修講義では翠と晴海の周りに数人の友人も加わり、講義までの時間を雑談して過ごしていた。
(夏季休暇中はどうなるかと思ってたけど、元気そうでよかった。)
明里はその日の講義を終え、久々の疲れを癒そうと研究室に戻ろうとした時。
「あ、吉田先生!」
そう呼び止めたのは、翠だった。晴海の姿はない。
「あれ、翠さん、何か質問?」
「いえ、ちょっと相談というか、んーなんていったらいいかな、話を聞いてほしいというか。」
翠にしては歯切れの悪い返答をする様子に、明里は違和感を覚えたが、明里は翠の申し出を受け、研究室に招き入れた。お茶と茶菓子の準備をしながら、後期の講義は大丈夫そうか、や、夏季休暇は楽しかったかなど雑談を交わし、用意したものを翠に差し出した。翠はいつものように、いただきまーすと言いながら、お茶を口にする。
「で、相談って?何かあったの?」
本題を切り出した明里に、翠は机に視線を落とし、んー、何て言ったらいいか…、とまた口籠るようになった。
「言いにくい話なの?ここで話したことは、誰にも言わないから安心して。」
「いや、それはわかってるんですけどね……、私の中で、まだ確信がないんで、言っていいのかなーとか思うんですけど、心配でもあるんで。」
「心配?」
「……今日、晴海があんまり元気なかったの、先生知ってます?」
そう聞かれた明里は、今日の晴海の様子に特段変わったものを感じ取っていなかった。突然の話に面食らった明里をよそに、翠はぽつぽつと話し始めた。
「なんか、元気ないなって思って、『何かあった?体調悪いの?』って聞いても、大丈夫、としか言わないんです。でも、明らかに元気ないんですよね。元から積極的に話す子でもないし、気のせいかなとは思ったんですけど……」
「翠さんには、何か引っかかるものがある、と。」
「そうなんです。だって、元から少食だった晴海が、今日のお昼ほとんど食べれてなかったし、教室に行く時の足取りも、普通に歩いてはいるんですけど、なんか覚束ないというか……」
翠は、学内で一番晴海の近くにいる存在。晴海の微かな変化にも気づけたのかもしれない。明里の感じた不安が伝わったのか、翠は不安そうな表情になった。
「やっぱり先生も、気づいてました?」
「え、ああ、そうね……、話を整理すると、翠さんが晴海さんに体調悪い?って聞いても、大丈夫としか答えないってことなのね?」
「そうですね…、前から、家族との折り合いが悪いってことは聞いてたんですけど、そのことが関係してるのかなって。でも、体調悪そうな時にその話掘り返すのも、晴海がしんどいかなって思うと聞けないんですよね。」
そこまで話すと、はっとした表情で翠は会話を止めた。おそらく、晴海は家族との関係性について翠にも話しており、それを他言してしまったと思ったのだろう。
「すみません、晴海と家族のこと、私が先生に話したことは……」
「心配しないで。晴海さんには言わないし、私も晴海さんからその話は聞いてるから。」
「あ、そうだったんですね。」
よかった、とほっと胸を撫で下ろす翠。一方で明里は、晴海の体調不良(本人は否定しているようだが)の方が気に掛かった。
「晴海さんも、良く私のところに来ては、相談しに来るから、今度来た時にそれとなく聞いてみるよ。」
「よかった!…晴海のこと心配なので、先生が聞いてくれるなら安心です。」
そこからは雑談もそこそこに、翠はすっかり安心した様子で研究室を後にした。明里は雑談の間も、晴海の体調が思わしくなさそうだという話が頭の中で引っかかり、晴海の身に何が起こっているのか、と夏季休暇中に研究室を訪れていた晴海の様子を思い起こしては逡巡し続けた。
(少なくとも、夏季休暇中は翠さんが言うような、体調不良の様子は感じられなかった…。それとも、私が見落としていた…?)
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